インパルス応答と畳み込み積分
- インパルス応答とは
• システム(電気回路、フィルタ、ばね、壁など)に 瞬間的な入力(インパルス) を加えたときの出力。
• そのシステムが持つ「減衰」「共振」「時間遅れ」などの特徴が一度に現れる。
数式:
h(t) = A · exp(−p t)
• p が実数:指数関数的に減衰(音がすぐ消える)。
• p が複素数:振動しながら減衰(音が響く)。
例(設計者がイメージしやすい例)
• ウレタン枕:叩くと「ぼふっ」としてすぐに収まる → 過減衰(非振動)。
• ギターの弦:はじくと「ビーン」と鳴り、少しずつ小さくなる → 振動減衰。
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- 畳み込み積分(叩き込み積分)
任意の入力信号を インパルスの集まり とみなし、
各インパルスに対する応答をずらして足し合わせたものが出力となる。
数式:
y(t) = ∫ x(τ) · h(t−τ) dτ
ここで、
• x(t):入力信号
• h(t):システムのインパルス応答
• y(t):出力信号
つまり、「過去の入力が、どのくらい残って今の出力に効いているか」を積分で表す。
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- フィルタの種類とインパルス応答
• ローパスフィルタ:インパルス応答はゆっくり減衰する波(低域が残る)。
• ハイパスフィルタ:インパルス応答は符号が変化する波(高域が残る)。
• バンドパスフィルタ:特定周波数の振動が残る。
設計者の直感で言えば、
「インパルス応答を見れば、そのフィルタがどの周波数を通すかがわかる」。
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- ラプラス変換との関係
インパルス応答 h(t) をラプラス変換すると、伝達関数 H(s) になる。
h(t) ←→ H(s)
• 極(pole):指数減衰や振動の性質を決める。
• 零点(zero):特定の周波数を打ち消す。
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- 設計者が持つべきイメージ
• インパルス応答を見る → システムの「声」がわかる。
• 畳み込み積分で考える → 任意の入力から出力を設計できる。
• 極と零点を操作する → 「どの周波数を通すか/消すか」をデザインできる。
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