【線形性の例】
( a f(x) + b g(x) )’ = a f’(x) + b g’(x)
現実例:
音響工学で、マイクに二つの信号が同時に入力される。
f(t) = sin(2π440t) (ピアノのラ)
g(t) = sin(2π880t) (倍音)
入力信号 y(t) = 2f(t) + 3g(t)
微分すると y’(t) = 2f’(t) + 3g’(t)。
→ 実際の音響解析では「和音の波形」を解析する際、微分の線形性を利用して周波数成分を個別に取り扱う。
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【積の微分の例】
(f g)’ = f’ g + f g’
現実例:
機械工学での運動エネルギーの変化。
運動エネルギー E = 1/2 m v^2
ここで m = m(t)(燃料が減るロケット)
E’(t) = 1/2 m’(t) v^2 + m v v’
→ ロケットの燃料が減る(質量変化)+速度が増える(加速)の両方を考慮するために積の微分を使う。
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【商の微分の例】
(f / g)’ = (f’ g – f g’) / g^2
現実例:
電気工学での抵抗分圧回路。
出力電圧 Vout = Vin R2 / (R1 + R2)
R1 を変化させたときの dVout/dR1 を求める。
f(R1) = Vin R2, g(R1) = R1 + R2
Vout’ = (0·g – f·1) / g^2 = – Vin R2 / (R1 + R2)^2
→ 可変抵抗を回したときの電圧変化の敏感さを示す。
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【合成関数の微分(連鎖律)の例】
{ f(g(x)) }’ = f’(g(x)) g’(x)
現実例:
物理学で単振動の変位 x(t) = A cos(ωt)。
速度 v(t) = d/dt [A cos(ωt)] = –A sin(ωt) · ω
→ 角速度 ω が外側の合成関数の微分で現れる。
ニューラルネットワークの例:
活性化関数 σ(x) = tanh(wx + b)
σ’(x) = (1 – tanh^2(wx + b)) · w
→ 誤差逆伝播での勾配計算に必須。