Zabbix では4.0以降 スクリーンではなくダッシュボードへの新機能追加が行われるようになっています。
ダッシュボードのグラフウィジェットなら、これまでZabbixのテンプレートで設定していたグラフでは出来なかったような様々な分析が行えるようになりました。
##クラシックグラフ
以前から存在するホストやテンプレートに紐付くグラフはクラシックグラフと呼ばれます。
クラシックグラフでは具体的にアイテムを指定してグラフを作成します。
なお、グラフの中でワーキングタイムを表示する機能はクラシックグラフのみの機能となります。新しいグラフウィジェットではワーキングタイムの設定は反映されないので、ダッシュボードでクラシックグラフとグラフウィジェットを縦に並べるのをお勧めします。
##Zabbix 4.0以降のダッシュボードウィジェット
Zabbix 4.0から新しくスクリーンではなく、ダッシュボードというグラフやZabbixのステータスなどを表示出来るページが追加されました。
グラフウィジェットでは、クラシックグラフのようなフッターの最大・最小・平均・最新値表示がありませんが、マウスオーバーすることで、同一タイミングでの値をポップアップ表示することが可能です。
データセット
ダッシュボードで利用できるグラフウィジェットでは、個々のアイテムを指定する事もできますが、*
を利用して部分一致するアイテムを対象とするデータセット
を指定する事が出来るようになりました。
この機能のおかげで、全てのアイテムを列記しなくても例えば*温度*
と指定する事で、温度データを一覧表示するグラフを作成することができます。
データセットでは基本色を決めると基本色を元に少しづつ色調を変えながらデータセットに該当する全てのアイテムをグラフ化します。
タイムシフト
Zabbix ではこれまでもタイムシフト関数があり、トリガーを作成するときに過去の値と現在の値を比較したり、計算アイテムを使ってあらかじめ前日のデータを示すアイテムを作っておくことで、現在と過去を比較する事が出来ました。
グラフウィジェットでは、あらかじめ計算アイテムを使う事無く、グラフを描画する際に、タイムシフトを設定することが出来るようになりました。
これにより、事前にデータを準備することなくグラフの設定だけで、今日のデータと昨日のデータや先週のデータと比較を行うグラフを作ることができるようになりました。
あらかじめデータを作っておかなくてもグラフにタイムシフトを使う事が出来るので、WEBページの監視で前回のキャンペーンと比較するなど柔軟な比較分析を行う事ができます。
##Zabbix 5.0の新機能
Zabbix 5.0 ではさらにグラフおよびグラフウィジェットの機能が強化されました。
アグリゲーション
これまでのZabbix のアグリゲーション機能では、ホストグループに対して
そのグループの同じアイテムキーをまとめて、最大・最小・平均などを出す機能でした。
Zabbix 5.0 ではこのアグリゲーションがホストグループだけではなく、グラフのデータセットを対象に利用する事が出来るようになりました。
ホストグループにかかわらず、データセットとして選択したアイテムのデータをどれだけのデータ範囲単位で計算するか
先頭値(最古値)、最後尾値(最新値)、最大、最小、平均、データ個数、のどの値を利用するかを選択できます。
これにより、タイムシフトで複数データを比較するときに多くなり過ぎるデータをグループ化して表示する事などが可能になります。
クラシックグラフの一覧表示
これまで、クラシックグラフを並べて表示するにはスクリーンを使う必要がありましたがZabbix 5.0 ではクラシックグラフの機能も強化されました。
監視データ>ホスト>グラフを選択するとそのホストに設定されたクラシックグラフが一覧表示されます。
これで、スクリーンを作る労力を掛けずにホストの全体像を簡単に把握することが出来るのではないでしょうか。
Zabbix の新機能を活用してデータ分析力を高めてはいかがでしょうか。