はじめに
現代のシステム構築において、コンテナ化はもはや一過性の流行ではなく、不可欠な技術要素となりました。迅速なデリバリと柔軟なスケーラビリティを両立させる「最適解」として、今やエンタープライズ領域における標準的なアーキテクチャへと定着しています。リソース管理の抽象化がもたらす恩恵は、開発と運用の境界をより滑らかなものとし、ビジネスの変革を力強く支えています。
前回の記事では、このコンテナ化がもたらすパラダイムシフトと、その構造的な優位性と共に、HULFTサーバのコンテナ化のタイミングについて、詳しく紐解きました。アーキテクチャの真の価値は、具体的なソリューションとの融合によって初めて具現化されるものです。
そこで本稿では、前回の議論をさらに一歩進め、HULFTの世界観におけるこのモダン・アーキテクチャのポテンシャルを最大限に引き出す「HULFT10 for Container Services」をご紹介いたします。
対象読者
基本的には、HULFTサーバの設計・構築・保守・運用に携わる方々です。具体的には、下記を検討中の方々には、特に参考になると考えます。
・HULFTサーバを含めたシステム全体のコンテナ化を検討中の方
・AIエージェント(MCP)の導入を検討中の方
HULFT10 for Container Servicesとは
HULFT10 for Container Servicesは、HULFTのデータ転送機能をコンテナ環境で利用可能にするソリューションです。この製品は、特にクラウドネイティブなアプリケーションやマイクロサービスアーキテクチャを採用する企業に最適です。HULFT10は、DockerおよびKubernetesとの互換性を持ち、ユーザーは軽量なコンテナを通じて迅速にデータを転送できます。
また、データ転送時のセキュリティ機能も強化されており、暗号化された通信を行うことで、機密情報を安全に扱うことが可能です。
コンピューティングエンジン
ビジネスの要件に合わせ、最適化された2つのプランからお選びいただけます。
- ECS on EC2
Amazon EC2インスタンス上で動作し、ユーザーがインフラの設定や管理を行えるフルマネージドな環境を提供します。ユーザーがインスタンスのサイズやタイプを選択できるため、特定のビジネスニーズに応じた細かなリソース管理が可能です - Fargate
サーバーレスでコンテナを実行できるため、インフラ管理の負担が軽減されます。ユーザーは必要なリソースを簡単に指定でき、スケーラビリティが向上します。煩雑なインフラ管理という制約から現場を解放し、事業拡大に即応する柔軟なスケーラビリティを確保します。現在、多くの企業様がFargateを採用される傾向です。
環境構築
AWS Marketplaceより提供されるCloudFormationテンプレートが、煩雑なセットアップ工程を削ぎ落します。
専用のCloudFormationテンプレートは、コンピューティングエンジンのECS on EC2やFargateを中心に、堅牢なVPC、高可用性を担保するALB、そして信頼のデータ基盤であるAurora MySQLまでを、一気通貫で組み上げることが出来ます。
手作業によるノイズを排除し、コード一振りで最高水準の周辺リソースまでを自動生成する。インフラの完成形を即座に手にする、インテリジェントな選択です。
システム構成
CloudFormationを実行するだけで、HULFT10導入VPC内に最適化されたリソース群を自動展開。即座に実稼働可能な環境が整います。
なお、下記の構成図右下の『HULFT8導入VPC』におけるHULFT8のインクルードは、任意となります。お客様の要件に応じた柔軟なコンポーネント構成が可能です。
回線種別
オンプレHULFTとの回線種別について、AWS上に構築されたHULFT10 for Container Servicesとオンプレミス環境を、Direct Connect等の閉域網でダイレクトに直結。パブリックインターネットを経由しないセキュアな専用経路により、強固なデータ保護と安定した通信品質を両立します。
その他、機能の詳細および技術仕様については、後述の仕様書をご参照ください。なお、本資料は運用負荷を最小化する『Fargate』に準拠しています。
API連携の真価
インターフェース
HULFT10 for Container Servicesのインターフェースは、従来の CUI から直感的な Web API へと進化。自動化や外部連携を加速させ、エンジニアの工数を最小化する『使いやすさ』を追求しました。
アプリケーション制御から、AWS APIと連携したログ管理・保守運用まで。すべてのライフサイクルをAPIで統合し、人手を介さないフルスタックな自動運用を実現します。
アプリケーションログ
CloudWatchによる一元的なログ管理。標準提供される API を通じて、リアルタイムなログ抽出から高度な分析まで、シームレスなデータ連携を実現します。
- CloudWatch
- Amazon Elastic Container Service
- 製品動作ログ(アプリケーションログ)
- Amazon Elastic Comupute Cloud
- Amazon ECSエージェントの起動出力
- Amazon ECSエージェントの出力
- IAM認証情報プロバイダーのリクエストログ
- Amazon Aurora MySQL
- エラーログ
- スロークエリログ
- 全般ログ
- 監査ログ
- Amazon Elastic Container Service
API連携例
HULFTサーバの転送ログを自動的に日次で報告書にまとめることができます。このように、AI、MCP、HULFTコンテナ版、APIを組み合わせることで、AIの活用が一層進み、HULFTを含めた自動化の仕組みが促進されることを期待できます。
終わりに
システムのコンテナ化は、単なる「インフラの載せ替え」ではありません。
それは、ビジネスの俊敏性と拡張性を手に入れるための、デジタル変革の本質的な一歩です。
製品HULFT10 for Container Servicesが提供するのは、長年培われたオンプレミス版の堅牢さと、コンテナ技術がもたらす柔軟性の完璧な融合です。
AWS Marketplaceからの迅速なデプロイ、ECSやFargateを活用したシームレスなスケーリング、そして、最新のWebAPIインターフェースを通じてMCPサーバやAWSネイティブサービスとの高度な連携を実現する。
これらが組み合わさることで、これまでの境界線は消え去ります。
閉域網にも対応したセキュアな環境下で、次世代のAPIエコシステムを構築する。
その中心に製品HULFT10 for Container Servicesを据えることは、将来の不確実性に立ち向かうための最良の選択となるはずです。
最後に、エンタープライズ領域で信頼されるOpenShiftに対応したHULFT10 for Container Platformの紹介です。
自社構築のシステムをはじめ、Red Hatの国内パートナーが提供するオンプレミス環境や、海外の主要クラウドが提供するフルマネージドサービスなど、Red Hat OpenShiftが稼働するさまざまな環境でHULFT10が利用できます。
クラウド・ネイティブのその先へ。


