#はじめに
健全な日常生活を送っているみなさんならば、最低でも一年に一回は法律案や、規則・規約を作らなければいけない状態になると思います。ところが日本の法律というのは昔から続くかなり特殊な書き方に則って書かれています。
というわけで、中身以外の“本質的ではない”部分を肩代わりするパッケージを作りました。
置き場所はGitHubです
#機能紹介
目次(自動ではなく、中身は手打ちです。いつか半自動、もしくは完全自動にしたいものです。)と、編・章・節・款・目・条・項・号と、附則をサポートしています。また、枝番号と削除にも対応しています。今のところ、イロハなどのかなり下の方の項目は付けていません。
番号については、きちんと全角数字にするところは全角数字に、漢数字にするところは漢数字になっています。しかし、漢数字は色々な事情があった結果、最大で2千までしか使えません。まあ日本にある法律で最も多いのは民法の1044条らしい(なんか中央省庁等改革関係法施行法とかいうものは、1344条まであるとかなんとか?)のでたぶん大丈夫でしょう(どうにかしてきちんとしたアルゴリズムを実装したいものです。)。
横組みだけではなく、縦組みにもきちんと対応しています。このパッケージには直接は関係しませんが縦組みと横組みのどちらが正当なのでしょうね?国としては。
#コマンドについて
2018/02/24現在、コマンドの命名規則はよくわからないローマ字式です。ここらへんをきちんと整理したらその他の機能もつけたり内部処理をすっきりさせたりして新たにパッケージとして公開する予定です。
編・章・節・款・目・項・号については単純に、\hen{<中身>}
とか\syou{<中身>}
とかです。単純ですね。
条については、\jou[<(見出し)>]{<中身>}
です。見出しについては括弧も付けて書いてください(実力不足ですね。すみません。)。
附則と目次については環境です。そして、その中に\jou{<中身>}
とか\kou{<中身>}
とか\hen{<中身>}
とか書くわけです。つまり
\begin{mokuji}
\hen{あれ}
\syou{アレ}
\setu{アレ}
\kan{ああれれ}
\moku{アレアレ}
\hen{ア・レ}
\end{mokuji}
\begin{husoku}
\kou{附則については項番号を用いるらしい}
\jou{でも最近では条を用いることも多いとか}
もちろん一つしかないときは地の文ですが
\end{husoku}
とか書けば良いわけです。ちなみに、\hen
とか\kan
とかのコマンドは本文内で使うものと同じです。環境内だけで定義を少し変えています。
#使い方
実際に少し書いてみます。入力と出力を載せておきます。
入力
%pLaTeXじゃないと使えません。
\documentclass{jsarticle}
\usepackage{joubun}
\begin{document}
\begin{mokuji}
\hen{債権}
\syou{総則}
\setu{多数当事者の債権及び債務}
\kan{保証債務}
\moku{賃金等根保証契約}
\hen{親族}
\husoku
\end{mokuji}
\hen{債権}
\syou{総則}
\setu{多数当事者の債権及び債務}
\kan{保証債務}
\moku{賃金等根保証契約}
\jou[(共同保証人間の求償権)]{第四百四十二条から第四百四十四条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。}
\kou{第四百六十二条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。}
\edajou[(貸金等根保証契約の元本の確定事由)]{次に掲げる場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。}
\gou{債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。}
\sakujo{gou}
\gou{主たる債務者又は保証人が死亡したとき。}
\sakujo{jou}
\jou{債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。}
\hen{親族}
\begin{husoku}
\kou{削除}
\kou{この法律に定めるもののほか、この法律の施行に伴う経過措置及び関係法律の整備その他必要な事項については、別に法律で定める。}
\end{husoku}
\end{document}
結果
#問題点等
現在、このパッケージは不充分であることは十分に自覚していますので、以下に書いておきます。
- 定義がぐちゃぐちゃで空白幅なども適当すぎる
- 号の部分の定義をもっと適切にしなければならない
- 号の下を作らねばならない
- 各ドキュメントクラスに依存しすぎている
- 漢数字への置き換えが力技すぎる
- ローマ字の書き方
#今後の展望
定義や漢数字やローマ字、号の下は後で追加できると思います(漢数字についてはかなり微妙ですが)。
ですが、号の形を適切にするにはlist環境の勉強をきちんとしなければならないと思います。が、あまり情報がなくて困っています。
また、目次部分は一つのコマンドでできるようにしたいと思っています(実は第n章 hoge(第m条―第l条)とのように書かなければいけないようなのでそれも実装したいのです。)。
後は、joubunクラスを作る必要があると強く感じました。しかしあまりにも知識がなさすぎて困ってもいます。まあボチボチ作成すれば良いのかもしれませんが。
ということでまだまだ先は長いですが、一つの区切りとしてここに完成品を作りましたので、後はこれを参考に発展させる方がいればお願いします。(これからも開発は続けていく予定ではありますので楽しみにしていてください……)最初はCTANにもあげるつもりでしたがあまりにも酷い出来なので見送ります。