はじめに
本記事では、光伝送に関する標準仕様であるOpen ROADMの技術についてまとめます。
本記事で取り扱う範囲
ROADMについて
ROADM(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)は光伝送装置の一種です。多重波長の光信号を最適な伝送経路をリモートで選択・切り替えることが可能な高度なデバイスです。
ROADMには課題があります。それは、メーカーごとに独自の仕様で作られている場合、ベンダロックインが発生してしまうことです。
ベンダロックインが生じると、例えば富士通社のROADMとNEC社のROADMを直接つなぐことができなくなってしまい、柔軟性が欠けてしまいます。
Open ROADMの概要
Open ROADMは上記のような課題を解決するため、光伝送装置をメーカーに依存せず繋ぐための標準仕様のことです。Open ROADMには以下のような特徴があります。
Open ROADMの技術要素
Open ROADMを支える技術要素は、大きく分けて下記の2つに分類されます。
- 光の物理的なルール(データの送り方)
- ソフトウェアの共通言語(装置の操り方)
これらが標準化されているため、例えばA社のトランスポンダ(端末)から出た光を、B社のスイッチ(ROADM)が正しく認識して中継できます。
物理レイヤー(光伝送)の技術要素
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デジタルコヒーレント技術 (Digital Coherent):
光の振幅だけでなく位相(波のズレ)も利用して情報を乗せる超高速伝送技術です。Open ROADMでは、400Gbpsや800Gbpsといった高速信号の変調方式(16QAMなど)を共通化しています。 -
共通FEC (Forward Error Correction / 前方誤り訂正):
伝送中に発生したデータの化けを、受信側で計算して直す技術です。メーカーごとに計算式が違うと通信できないため、Open ROADMではoFECなどの共通アルゴリズムを採用し、他社製品間でもエラー訂正ができるようにしています。 -
波長割り当て (Flexible Grid):
光の通り道を固定の幅で区切るのではなく、通信量に合わせて柔軟に幅(スロット)を調整する技術です。これにより、光ファイバーの帯域を無駄なく使えます。
制御レイヤー(ソフトウェア)の技術要素
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YANGデータモデル:
装置の設定情報を記述するためのテンプレートです。Open ROADMプロジェクトでは、ROADM、トランスポンダ、光増幅器などのあらゆる装置の構成をYANGモデルで定義しています。 -
NETCONFプロトコル:
APN-C(コントローラ)が各装置(APN-G/T)に対して、YANGモデルに基づいた設定を書き込んだり、状態を取得したりするための通信プロトコルです。 -
光パスの計算アルゴリズム:
光は物理的な性質上、距離が長くなると信号が劣化します。Open ROADMでは、信号の劣化度合い(OSNR:光信号対雑音比)を共通の計算式で予測し、接続の可否を判断できるようにしています。
ハードウェア・インターフェース
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可変波長トランシーバ:
出力する光の波長を自由に変えられるモジュールです。APN-Cからの指示一つで、使用する波長を瞬時に変更します。 -
WSS (Wavelength Selective Switch):
ROADMの心臓部で、特定の波長だけを取り出したり(Drop)、別の方向に曲げたり(Route)する光学素子です。
Open ROADMとIOWNの関係
IOWN Global Forum内で検討されているOpen APNはOpen ROADMの仕様をベースの一つとしています。Open APNの技術はOpen ROADMのような標準化仕様を採用しながらアーキテクチャを定義しています。