この記事は、OculusやVIVE等のVRデバイスを持っている人を対象としています。
(6Dof以上、VRコントローラーがあるのが望ましい)
また、個人の主観による実験結果のため、学術的な価値はありません。
はじめに
前回の記事、"VRChatを用いた「現実感」の編集"で大雑把な「現実感」を仮定しました。
今回からは、これを細かく分けていきます。
「現実感」の中でも特に馴染み深いのが「触覚」です。
皆さんは、こう思うかもしれません。
「触覚は皮膚下の感覚神経によるもので、SFに出てくるような触覚デバイスがないと感じることはできない。」
ですが触覚スーツなどを着なくても、VR内で物に触れたような感覚を得ることは可能です。
経緯
前回の記事で、「目の前にあるCGのテーブルが実際に存在しているかのような錯覚があった」と書きました。
(Oculus Questのチュートリアル「First Steps」)
私にとってこの錯覚はとても不思議だったので、その正体を調べるためのVRを作りたいと思うようになりました。
目的のコンテンツを作るために、その時遊んでいたVRChatを用いることにしました。理由は作成とテストがとても簡単だからです。
私は、次の3つのワールドを作成しました。
・圧迫感を調べるワールド
・先端恐怖症を調べるワールド
・ハグしたときの気持ちを調べるワールド
上記の3つを選んだのは、錯覚が人間の本能によるものではないか?という直感からでした。
結果
実験の様子を動画にしました。
YouTube:VR感覚の実験 (圧迫感/先端恐怖症/ハグ)[VRChat]
詳細
###VR感覚の実験 - その1 (圧迫感)
圧迫感を調べるための動くトーラス。
胸部から喉元にかけてと、上腕部から肩にかけて圧迫感と息苦しさを感じた。
この時感じた圧迫感と息苦しさは、画像で表すと以下のような範囲と強さでした。
(赤:圧迫感が強い ⇔ 青:何も感じない
頭部は実験の範囲外のため、無視してください。)
もう気づいている方もいるかもしれませんが、これは呼吸器系の器官(肺や気道、口や鼻)が存在している範囲と重なっています。
また、私が使用しているOculus Questでは頭部と左右の手の3つのみをトラッキングしていることも重要かもしれません。
###VR感覚の実験 - その2 (先端恐怖症)
尖った物を避けようとする原始的な反応のテスト。
痛みはなかったけど、何とも言えない違和感・苦しさを感じた。
体験後、手の平にだけその感覚が残っていたのが印象的だったが、よく調べるとそれは軽い腱鞘炎の間違えだった。(!)
尖ったCGにアバターを近づけたときに感じたのは、言葉には表せないような違和感でした。
またその時、軽い腱鞘炎とVR内の感覚を間違えるという事態も発生しました。
感覚の取り違いは、この時だけのレアケースなのでしょうか?
それとも頻繁に発生している現象なのでしょうか?
###VR感覚の実験 - その3 (ハグ)
やわらかい物体をハグしたときに、何か感じるかと思ったけど、ハッキリとした感覚はなかった。
ただ「息苦しさはあるものの、嫌ではない」と思った。
暖かさもあったが、部屋の温度との区別はつかない。
モデルによって印象が大きく変わるのかもしれない。
ここで実験したかったのは「ハグの行動が感情にどう影響を与えるか?」ですが、
意義のある結果は得られませんでした。
(この後、かわいい女性の3DCGをハグしたら、めちゃくちゃドキドキして戸惑ったのは、内緒です)
まとめ
ここまで読んでもらった方には、私がこれからどのような実験を行おうとしているかが、多少は分かってもらえたのではないのでしょうか?
「これらの錯覚が人間の本能によるものではないか?」という直感が正しかったのかはまだ不明ですが、大まかな方向性は確認することができました。
まだまだ詳細な実験が必要なようです。
習慣の力:
https://qiita.com/pipe_render/items/49a15c51e945849745b5