はじめに
2026年11月5日、Cursor は Live Apps 機能の提供を開始しました。cloud agent に「作りたいもの」を伝えるだけで、アプリの構築、Postgres データベースの用意、認証設定、ホスティング、デプロイまでを任せられ、発行されたリンクでそのまま共有できます。cloud agents が有効な全有料プランで利用できます。
これまで社内ツールやデモ用アプリは、実装に加えてインフラ、認証、公開手順の整備が必要でした。この負担をエージェントが肩代わりする点が今回の要点です。公開前のセキュリティチェックと管理者向けの統制機能も同時に提供されています。
📌 影響を受ける人
- 営業・オペレーション・法務・財務など、エンジニア以外で社内ツールを欲しい人
- 社内ポータルやダッシュボードを短期間で作りたいエンジニア
- Cursor を全社導入していて、公開物のガバナンスを担うチーム管理者
変更の全体像
変更内容
1. Live Apps の提供開始(severity: high)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象プラン | cloud agents が有効な全有料プラン |
| 開始方法 | cloud agent を起動し、アプリを構築したいと明示的に伝える |
| 自動で行われること | Web アプリ雛形の作成、Postgres 起動(必要時)、Cursor SSO 認証、ホスティング |
| 社内システム連携 | データウェアハウスなどへ接続する場合、必要なシークレットの入力を求められる |
| 公開 | 一意のドメインを選ぶとライブリンクが発行される |
| デプロイ元 | Cursor Origin、GitHub の新規または既存リポジトリ |
| 未対応 | GitLab など他の Git プロバイダー(近日対応予定) |
| 前提 | Cursor のアップデートが必要 |
Cursor 社内では営業、オペレーション、法務、財務、エンジニアリングの各部門が利用しています。
主なユースケース
- 社内業務ツール: イベント登録、アカウント割り当て、座席管理
- 顧客向けプレゼン: スライド・動画・インタラクティブデモを組み合わせたもの
- 新入社員向け: トレーニング、イネーブルメント、オンボーディング
- 営業支援: パイプラインや商談機会を把握するライブダッシュボード
- エンジニアリング: サービス管理ポータル
2. 公開時のセキュリティチェックと管理者統制(severity: medium)
公開前に決定論的チェックとエージェントによるセキュリティチェックが走ります。チェックを通過し、ユーザーが明示的に公開操作をするまで、アプリは公開されません。
- 検出対象: アプリファイルに書き込まれたシークレット、露出した認証情報などの一般的な問題
- 失敗時: 修正すべき内容をエージェントが伝える
チーム管理者は次の操作ができます。
| 管理者の権限 | 内容 |
|---|---|
| 可視化 | チーム内の全アプリとシークレットを確認 |
| ルール追加 | セキュリティレビューに独自ルールを追加 |
| 承認 | レビューでブロックされた公開を承認 |
| 取り消し | 任意のアプリの公開を取り消し |
3. 共有範囲の指定と API キーアクセス(severity: medium)
- チェック通過後、アプリはユーザーが選んだ URL にデプロイされます。
- 共有先は特定のユーザー、グループ、チーム全体から選べ、いずれも Cursor サインインで保護されます。
- 個人プランでは一般公開も可能です。
- スクリプトや Grok Bot から使わせたい場合は、Cursor API キーを発行できます。
4. 参考: Rollouts and Security Review エントリの消失(severity: low)
Changelog の監視差分から、2026年9月23日付の「Rollouts and Security Review」の記事が消えました。新規エントリの追加と同時に起きており、古い記事が一覧から押し出された可能性があります。差分に廃止や提供終了を示す記述はありません。
参考として、消えた記事に書かれていた内容は次のとおりです(Teams / Enterprise 向けの Cursor ボット)。
| ボット | 概要 |
|---|---|
| Rollouts | PR ごとに監視を付け、環境別に「verified healthy」「regression detected」「inconclusive」を報告。リグレッション時は疑わしい変更を特定して作成者に通知。自動マージ・ロールバックは行わない |
| Security Review | PR を読み、SQL・コマンド・テンプレートのインジェクション、認証・認可のバイパス、コミットされたシークレット、SSRF、安全でないデシリアライズ、脆弱な依存関係などを1件のレビューコメントにまとめて報告 |
💡 Tips
機能の廃止と断定できる情報はありません。利用中の方は、automations タブで有効状態を確認し、公式 Changelog とドキュメントで現状を確かめてください。
影響と対応
action_required はいずれも false で、既存の挙動が壊れる変更ではありません。ただし、導入前に決めておくべきことがあります。
一般ユーザー
- Cursor をアップデートする(利用の前提です)。
- cloud agent に「アプリを構築したい」と明示的に伝える。
- 社内システムに接続するときは、読み取り専用など権限を絞った認証情報を渡す。
- 共有範囲は最小から始める(特定ユーザー → グループ → チーム全体)。
チーム管理者
- 全アプリとシークレットを定期的に確認する。
- 自社のポリシーに沿った独自ルールをセキュリティレビューへ追加する。
- ブロックされた公開を承認する基準を決めておく。
- 不要になったアプリや問題のあるアプリは公開を取り消す。
注意点
- 個人プランでは一般公開が可能です。業務データを扱うアプリは公開範囲を確認してください。
- スクリプトや Grok Bot 向けに発行した Cursor API キーは、通常の API キーと同様に管理してください。
- セキュリティチェックは一般的な問題を検出するものです。重要なアプリでは人による確認も併用してください。
- 公開の可否は、データの機密度と共有範囲で決めてください。
コード例
今回の入力データには、API 仕様やコード例は含まれていません。Live Apps は cloud agent への自然言語の指示で始めます。以下は指示文の一例です(Cursor が定める書式ではなく、筆者が作成した例です)。
Before(従来)
1. フロントエンドとバックエンドを実装
2. DB を用意しスキーマを設計
3. 認証基盤を組み込む
4. ホスティング環境を構築しデプロイ
5. 公開 URL とアクセス制御を設定
After(Live Apps)
営業チームが商談パイプラインを確認できるライブダッシュボードを構築したい。
データウェアハウスのデータを使う。認証は Cursor サインイン。
必要なシークレットを求められたら入力し、セキュリティチェックの結果を確認したうえで公開操作に進みます。詳細な手順は Cursor のドキュメントを参照してください。
まとめ
- Live Apps: cloud agent が、アプリ構築、Postgres、Cursor SSO 認証、ホスティング、デプロイまでを担当し、リンクで共有できる。cloud agents が有効な全有料プランが対象。
- 公開前のチェック: 決定論的チェックとエージェントのチェックを通過し、明示的に公開するまでアプリは公開されない。
- 管理者統制: 全アプリとシークレットの確認、独自ルールの追加、公開の承認・取り消しができる。
- 共有と API: ユーザー、グループ、チーム全体へ Cursor サインインで共有できる。個人プランでは一般公開も可能。スクリプトや Grok Bot 向けに Cursor API キーも発行できる。
- 制約: デプロイ元は Cursor Origin と GitHub のみ。GitLab などは近日対応予定。
- Rollouts / Security Review: 差分から記事が消えたが、廃止を示す記述はない。
まずは Cursor を更新し、小さな社内ツールで試してみてください。導入時は、管理者が公開範囲とシークレットの扱いを決めておくと運用しやすくなります。