はじめに
2026年10月28日〜29日に、Anthropic の API まわりで次の3つの変更がありました。
- Usage and Cost Analytics API がベータ公開されました(10/29)。組織のトークン使用量とコストを取得できます。
- 新APIの公開に合わせて、旧 Usage and Cost API と Claude Enterprise Analytics API の使用量・コストレポート4エンドポイントがレガシー扱いになりました(サポートは継続)。
- ファーストパーティの Claude API で、Messages API と Token Counting API の最大リクエストサイズが 32MB から 128MB に拡大されました(10/28)。
いずれも今すぐ動かなくなる変更ではありません。ただし、コスト管理の仕組みを作っている人や、画像・PDF などの大きな入力を扱う人にとっては、設計の選択肢が変わります。この記事では、何が変わったのか、誰が何をすべきかを整理します。
📌 影響を受ける人
- Claude Console / Claude Enterprise の組織で、使用量・コストを集計している管理者や基盤担当
- 旧 Usage and Cost API、または Enterprise Analytics API の
usage_report系を使った自動集計・ダッシュボードを運用している人- 画像や PDF などの大きなファイルを Messages API / Token Counting API に送っている人
変更の全体像
変更内容
1. Usage and Cost Analytics API(ベータ)【severity: high】
Claude Console と Claude Enterprise の組織向けに、トークン使用量とコストを取得できる新しい API です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2026年10月29日(ベータ) |
| 使用量エンドポイント | /v1/organizations/analytics/usage |
| コストエンドポイント | /v1/organizations/analytics/cost |
| 対象 | Claude Console の組織、Claude Enterprise の組織 |
| 必須ヘッダー |
analytics-usage-cost-2026-08-24(ベータヘッダー) |
結果は、次のような軸で絞り込みとグループ化ができます。
- モデル
- ワークスペース
- API キー
- リクエスト元のユーザーまたはサービスアカウント
なぜ重要か:「どのワークスペースが」「どの API キーで」「誰(またはどのサービスアカウント)が」使ったかを軸にコストを見られるため、部門別の費用配賦や、想定外に使われているキーの特定といった運用に役立ちます。
💡 Tips
元データには、レスポンスの詳細なフィールド構成やページネーション、認証に使うキーの種類は記載されていません。実装前に公式ドキュメントで確認してください。
2. 旧 API のレガシー化【severity: medium】
次のものがレガシー API になりました。
| 対象 | 状態 |
|---|---|
| 既存の Usage and Cost API | レガシー(サポート継続) |
Enterprise Analytics API: usage_report
|
レガシー(サポート継続) |
Enterprise Analytics API: cost_report
|
レガシー(サポート継続) |
Enterprise Analytics API: user_usage_report
|
レガシー(サポート継続) |
Enterprise Analytics API: user_cost_report
|
レガシー(サポート継続) |
移行手順として、次の2つの移行ガイドが案内されています。
- 「Migrate from the Usage and Cost API」
- 「Migrate from the Claude Enterprise usage and cost reports」
⚠️ Breaking Change ではありません
どれも引き続きサポートされるため、すぐに動かなくなることはありません。ただし将来の廃止に備え、移行計画は早めに立てておくのがおすすめです。廃止時期は元データには書かれていません。
3. 最大リクエストサイズが 32MB → 128MB【severity: medium】
2026年10月28日の変更です。ファーストパーティの Claude API(Anthropic が直接提供する API)で、次の2つの API の最大リクエストサイズが4倍になりました。
| API | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| Messages API | 32MB | 128MB |
| Token Counting API | 32MB | 128MB |
画像や PDF などのファイル、長い入力を1回のリクエストで送りやすくなります。
📌 注意
元データに記載があるのはファーストパーティ API のみです。クラウドプロバイダー経由で利用している場合に同じ上限が適用されるかは分かりません。該当する場合は、各プロバイダーのドキュメントで確認してください。
影響と対応
| 立場 | 推奨アクション | 緊急度 |
|---|---|---|
| 旧 API の利用者 | 移行ガイドを読み、移行計画を立てる。サポートは継続するので急ぐ必要はない | 低〜中 |
| 新規に集計基盤を作る人 | 最初から Usage and Cost Analytics API を使う(ベータである点に注意) | 中 |
| 大きなファイルを送る人 | 分割していたリクエストを1回にまとめられないか検討する。ファーストパーティ API 限定 | 中 |
| チームの CLAUDE.md を管理している人 | API の使い方とリクエストサイズ上限の記述を更新する | 低 |
特にリクエストサイズは、元データ上の影響度が最も高い項目(直接影響)です。ファイルを分割して送る実装や、サイズ超過を避けるための前処理を入れている場合は、見直しの余地があります。
💡 Tips
ベータヘッダーは機能名のあとに日付(2026-08-24)が付く形式です。ベータ期間中は仕様が変わる可能性があるため、本番の課金管理など止められない用途では、旧 API と並行運用して結果を突き合わせる方法が安全です。
CLAUDE.md には、たとえば次のように追記しておくと、AI コーディングアシスタントが古い API を提案しにくくなります。
## API / 使用量・コスト管理
- 使用量とコストの取得には Usage and Cost Analytics API(ベータ)を使う
- ヘッダー: `analytics-usage-cost-2026-08-24`
- エンドポイント: `/v1/organizations/analytics/usage`, `/v1/organizations/analytics/cost`
- モデル、ワークスペース、APIキー、ユーザーまたはサービスアカウント単位で絞り込み・グループ化できる
- 旧 Usage and Cost API と Enterprise Analytics API の usage_report / cost_report /
user_usage_report / user_cost_report はレガシー(サポート継続)。新規実装では使わない
## API 制限 / リクエストサイズ
- Messages API と Token Counting API の最大リクエストサイズは 128MB(ファーストパーティ Claude API のみ)
コード例
新 API を呼び出す際の最小限の例です。エンドポイントとベータヘッダーは元データのとおりです。認証ヘッダーやクエリパラメータ名は元データに記載がないため、ここでは省略し、プレースホルダーとしています。
Before(旧 API を使う場合)
# 既存の Usage and Cost API を利用
# → レガシー扱い。サポートは継続するが、新規実装では非推奨
After(新 API を使う場合)
# トークン使用量
curl "https://api.anthropic.com/v1/organizations/analytics/usage" \
--header "anthropic-beta: analytics-usage-cost-2026-08-24" \
--header "<認証ヘッダー: 公式ドキュメントで確認>"
# コスト
curl "https://api.anthropic.com/v1/organizations/analytics/cost" \
--header "anthropic-beta: analytics-usage-cost-2026-08-24" \
--header "<認証ヘッダー: 公式ドキュメントで確認>"
💡 Tips
モデル・ワークスペース・API キーなどでの絞り込み・グループ化に使うパラメータ名は、元データに記載がありません。公式ドキュメントで確認してから実装してください。
リクエストサイズについては、コード変更は必須ではありません。これまで 32MB を超えないよう分割していた場合は、その処理を簡素化できる可能性があります。
まとめ
-
新 API(high): Usage and Cost Analytics API がベータ公開。
/v1/organizations/analytics/usageと/v1/organizations/analytics/costを、ベータヘッダーanalytics-usage-cost-2026-08-24付きで呼び出す。モデル・ワークスペース・API キー・ユーザー/サービスアカウントで絞り込みとグループ化ができる。 - 旧 API(medium): Usage and Cost API と Enterprise Analytics API の4エンドポイントはレガシー化。サポートは続くので急ぐ必要はないが、2つの移行ガイドに沿って移行を計画しておく。
- リクエストサイズ(medium): Messages API と Token Counting API の上限が 32MB → 128MB に拡大(ファーストパーティ API のみ)。
- いずれも必須対応(action_required)ではありません。まずは自分の環境でどれに該当するかを確認し、新規実装は新 API で、既存連携は計画的に移行するのがおすすめです。