はじめに
Anthropic のリリースノートで、User Profiles(/v1/user_profiles) がリリースされました。API リクエストごとに「どのエンドカスタマー向けのリクエストか」を Anthropic に伝えられる機能で、安全性に関する措置(エンフォースメント)を組織全体ではなく、該当するエンドカスタマー1人だけに適用できるようになります。
あわせて、Admin API に organization webhooks(ベータ) が追加され、user profile が制限・BAN されたことを自動で検知できるようになりました。
さらに、Managed Agents の web_search ツールが組織のドメイン制限に従うようになるなど、見落とすと挙動が変わる変更もあります。
📌 影響を受ける人
- 自社プラットフォーム/ゲートウェイ上で、複数のエンドカスタマーに Claude を提供している事業者
- Claude API アクセスを再販している事業者
- Claude Managed Agents で
web_searchを使っている開発者
変更の全体像
これまでは、1人のエンドカスタマーが利用規約に違反すると、その影響が API キーの持ち主である組織全体に及ぶおそれがありました。User Profiles を使うと、措置の範囲を違反した本人だけに絞れます。
措置の通知は Webhook で受け取れます。
変更内容
一覧
| ID | 変更 | 重要度 | 要対応 |
|---|---|---|---|
| change-001 | User Profiles(/v1/user_profiles)リリース |
🔴 high | あり |
| change-002 | Admin API に組織 Webhook 追加(ベータ) | 🟡 medium | なし |
| change-003 | Managed Agents の web_search が組織のドメイン制限に従う |
🟡 medium | あり |
| change-004 | scheduled deployments の記述整備(AWS) | ⚪ low | なし |
| change-005 | OpenTelemetry エクスポート説明文の修正 | ⚪ low | なし |
1. User Profiles(/v1/user_profiles)
プラットフォームやゲートウェイを運営する事業者、API アクセスを再販する事業者向けの機能です。
- リクエストごとに、エンドカスタマーを Anthropic に伝えられる
- 安全性措置の対象を、該当するエンドカスタマー1人に限定できる
-
Claude SDK と ant CLI が新しい
/v1/user_profilesエンドポイントに対応済み
💡 Tips
「違反した1人のせいで、全顧客のサービスが止まる」というリスクの低減が主目的です。マルチテナント構成なら、顧客ごとに user profile を割り当てる設計を検討してください。
2. 組織 Webhook(Admin API・ベータ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エンドポイント |
/v1/organizations/webhooks(通知先の登録) |
| ベータヘッダー | webhooks-2026-10-07 |
| イベント1 | Anthropic が組織の user profile を制限または BAN したとき |
| イベント2 | その制限や BAN が終了したとき |
| 利用開始 | Anthropic のアカウントチームへの連絡(アクセス申請)が必要 |
User Profiles と組み合わせ、エンドカスタマー単位の措置を自動で検知・処理する用途を想定しています。
⚠️ 注意
ベータ機能です。ヘッダーを付けるだけでは使えず、アクセス申請が必要です。
3. Managed Agents の web_search とドメイン制限
Claude Console で設定した組織の Web 検索ドメイン制限に、web_search ツールが従うようになりました(October 15, 2026 のリリースノートに追記)。
- 両方の条件を満たした結果だけがエージェントに渡る(AND 条件)
- 結果として、検索結果がこれまでより絞り込まれる可能性がある
- 組織の「Allow web search」設定には、セッションが 10月6日から既に従っている
⚠️ 挙動変更
エージェントが以前は取得できていたドメインの情報を取得できなくなる場合があります。「検索結果が減った」「特定サイトが引けない」という症状が出たら、組織設定を確認してください。
4. 軽微な修正(対応不要)
- scheduled deployments(Claude Platform on AWS):既存項目の文末に句点が付いただけで、機能に変更はありません。
- OpenTelemetry エクスポート(ベータ):「observability backend」が「observability platform」に言い換えられただけです。スパン出力対応言語(Python、TypeScript、C#、Go、Java、PHP、Ruby)や、Claude Console で送信先を追加する手順も変わりません。
影響と対応
対応チェックリスト
| 対象 | アクションの目安 |
|---|---|
| マルチテナント/ゲートウェイ/再販事業者 |
/v1/user_profiles でエンドカスタマーを登録し、リクエストに紐付ける。SDK・ant CLI は対応済み |
| 措置を自動処理したい事業者 | アカウントチームに連絡し、webhooks-2026-10-07 ベータの利用を申請 |
Managed Agents + web_search 利用者 |
Claude Console の組織ドメイン制限と、ツール側の allowed_domains / blocked_domains を確認 |
| 上記以外 | 特になし |
CLAUDE.md への反映案
チームで Claude Code を使っている場合、次のような内容を追記しておくと便利です。
-
API / マルチテナント運用:マルチテナント構成では
/v1/user_profilesでエンドカスタマーを登録し、リクエストに紐付ける(安全性措置の影響範囲を顧客単位に限定するため)。SDK と ant CLI は対応済み -
Admin API / ベータヘッダー:
webhooks-2026-10-07を一覧に追加。/v1/organizations/webhooksの2種類のイベントと、アクセス申請にアカウントチームへの連絡が必要な点を記載 -
Managed Agents / ツール設定:
web_searchの結果は組織のドメイン制限とツールのallowed_domains/blocked_domainsの AND 条件。10月6日以降、セッションは組織の「Allow web search」設定に従う
コード例
リリースノートの範囲では、user profile の作成リクエストのスキーマやリクエストへの紐付け方法の詳細は示されていません。以下は確定している情報のみで示す設定イメージです。パラメータ名などは必ず公式ドキュメントで確認してください。
Webhook 利用時のヘッダー(確定している部分)
anthropic-beta: webhooks-2026-10-07
対象エンドポイントは /v1/organizations/webhooks です。リクエスト本文のフィールドはリリースノートに記載がないため、公式ドキュメントを参照してください。
web_search の絞り込み(Before / After の考え方)
# Before: ツール側の指定だけで結果が決まる
結果 = ツールの allowed_domains / blocked_domains を満たすもの
# After: 組織の制限も加わる
結果 = 組織のドメイン制限 AND ツールの allowed_domains / blocked_domains を満たすもの
💡 Tips
ツール側でallowed_domainsに追加しても、組織の制限で許可されていないドメインの結果は返りません。まず Console 側の設定を確認するのが近道です。
まとめ
- User Profiles:エンドカスタマー単位で安全性措置を適用でき、1人の違反が組織全体に波及するリスクを抑えられる。マルチテナント・再販事業者は導入を検討する価値が高い
-
組織 Webhook(ベータ):
webhooks-2026-10-07ヘッダーが必要で、アカウントチームへの連絡によるアクセス申請が前提。user profile の制限・BAN とその解除を自動検知できる -
web_searchのドメイン制限:組織設定とツール設定の AND 条件になり、検索結果が絞り込まれる可能性がある。該当する場合は設定を確認する - OpenTelemetry の文言修正・AWS scheduled deployments の句点追加:機能変更はなく、対応不要
特に、複数のエンドカスタマーにサービスを提供している方は、まず User Profiles の導入可否を検討し、必要なら Webhook のアクセス申請も進めておくと安心です。