はじめに
Cursor が 2026-11-06 に、エージェントとリアルタイムで音声通話できる Voice Chat を公開しました。口頭で変更内容を伝えたり、エージェントの作業状況を尋ねたり、進捗を音声で聞いたりできます。
キーボードから手を離したまま指示を出し、作業中のエージェントと会話を続けられるのが特徴です。Agents Window、IDE、Web 版、Cursor for iOS で利用できます。
📌 影響を受ける人
- Cursor でエージェントに長めの作業を任せ、待ち時間が多い人
- iPhone から Cursor for iOS でエージェントの状況を確認したい人
- 外部の音声プロバイダー利用の可否を確認したい、セキュリティ・コンプライアンス担当者
変更の全体像
Voice Chat は「会話を担当する音声エージェント」と「コーディングを担当するチャット内のエージェント」の二層構成です。
利用できる環境は次のとおりです。
変更内容
1. Voice Chat の追加(severity: high)
エージェントとのリアルタイム音声通話機能です。開始手順は次のとおりです。
- Cursor を最新版にアップデートする(詳細はドキュメント参照)
- エージェントがアイドル状態で、チャット入力欄が空であることを確認する
- 波形アイコンの 「Start voice chat」 ボタンをクリックする
ボタンは通常 Send ボタンがある位置に表示され、ディクテーション用のマイクボタンの隣にあります。
💡 Tips
ボタンが見つからないときは、エージェントが作業中でないか、入力欄に文字が残っていないかを確認してください。開始条件は「アイドル」かつ「入力欄が空」です。
2. 二層構成で作業中も会話を継続(severity: medium)
音声エージェントが会話を受け持ち、コーディング作業はチャット内のエージェントに渡されます。コーディングエージェントの実行中も、次のような操作ができます。
- diff の変更内容を尋ねる
- 実行状況を確認する
- このエージェントとの過去のメッセージや通話を検索する
- ワーカーを持つ Project 内で、ワーカーを切り替える
コーディングエージェント自身も話します。作業中は短い進捗メモを、完了時には簡潔な回答を音声で伝えます。長い文章の返信を丸ごと聞くのではなく、短いアップデートを聞くのが基本になります。
3. iOS:Siri とロック画面 Live Activity(severity: medium)
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Siri 連携 | 「Hey Siri, call Cursor」で新しいエージェントとの通話を開始 |
| Live Activity | ロック画面から通話中のミュート・通話終了が可能 |
4. Grok Voice 採用と Privacy Mode(severity: medium)
- 音声基盤は Grok Voice
- Voice settings で Ara、Eve、Leo、Rex、Sal など多数の音声から選択可能
- Privacy Mode が有効な場合、Voice Chat はデータ保持ゼロ(zero data retention)で実行される
外部の音声プロバイダーを使うため、セキュリティやコンプライアンスを重視する組織は、Privacy Mode の設定を確認してください。
5. 「Voice Mode」は「ディクテーション」に名称変更(severity: low)
以前のリリースで Voice Mode と呼ばれていた機能は「ディクテーション(音声入力)」になり、Voice Chat とは別機能として扱われます。動作とショートカット(IDE では Cmd+Shift+Space)は変わりません。
| 項目 | ディクテーション(旧 Voice Mode) | Voice Chat |
|---|---|---|
| 役割 | 話した内容をテキスト化して入力欄に入れる | エージェントが音声で答える双方向の会話 |
| 方向 | 一方向(音声→テキスト) | 双方向 |
| ショートカット | IDE で Cmd+Shift+Space
|
(入力データに記載なし) |
| 変更点 | 呼び方のみ | 新機能 |
⚠️ 注意
名称変更のみで、既存の操作や動作に破壊的変更はありません。ドキュメントや社内手順書に「Voice Mode」と書いている場合は、用語だけ見直すと混乱を避けられます。
影響と対応
今回の更新で必須の対応(action_required)はありません。ただし、次の確認をおすすめします。
| 対象 | 推奨アクション |
|---|---|
| 個人開発者 | アップデート後、短い作業から試す。音声は Voice settings で好みのものに変更 |
| チーム・組織の管理者 | 外部音声プロバイダー(Grok Voice)を使う点を踏まえ、Privacy Mode の設定状況を確認 |
| iOS ユーザー | Siri と Live Activity の動作を試す |
| ドキュメント管理者 | 「Voice Mode」表記を「ディクテーション」に更新 |
使いどころの例
- レビュー待ちの時間:実行中のエージェントに「今どこまで進んだ?」と聞く
- 変更の確認:「この diff では何を変えた?」と口頭で尋ねる
- 移動中:iPhone から「Hey Siri, call Cursor」で新しいエージェントと通話を始める
コード例
今回は API やコードの変更はありません。操作の流れを、会話のイメージとして示します(説明用の例で、実際の出力ではありません)。
【Before: テキスト中心】
あなた(入力): 認証まわりのバリデーションを修正して
エージェント: (作業後に長文で返信)
【After: Voice Chat】
あなた(音声): 認証のバリデーションを直しておいて
音声エージェント: 了解です。コーディングエージェントに渡します
(作業中)
あなた(音声): 今どこまで進んでる?
コーディングエージェント(音声): 短い進捗メモで状況を伝える
(完了時)
コーディングエージェント(音声): 簡潔な完了報告
まとめ
- Cursor が Voice Chat を公開。エージェントとリアルタイムの音声通話ができる
- 開始条件は、エージェントがアイドルで入力欄が空のとき。波形アイコンの「Start voice chat」から始める
- 音声エージェントとコーディングエージェントの二層構成で、作業中も会話を継続でき、短い進捗と完了報告を音声で聞ける
- iOS は「Hey Siri, call Cursor」とロック画面の Live Activity に対応
- 基盤は Grok Voice。Privacy Mode 有効時はデータ保持ゼロで動く。組織で使う場合は設定の確認を
- 旧「Voice Mode」は「ディクテーション」に改称。動作と
Cmd+Shift+Spaceは変わらない
まずは短い作業で試し、待ち時間に進捗を聞く使い方から取り入れてみてください。