はじめに
2026年10月20日、Cursor が Agent SDK を一般提供(GA)しました。Changelog には「generally available today」と明記されており、ベータではありません。ドキュメントも公開済みです。
Agent SDK では、エージェントを「コードのフォルダ(プロジェクト)」として定義します。作成、ローカル実行、eval によるテスト、デプロイまでを CLI で一貫して行えます。デプロイ先は Cursor のインフラか自社インフラのどちらかです。
「PR レビューボットを作ったが、動作確認が手作業になっている」「Slack や GitHub から起動するエージェントを、プロンプトと一緒にリポジトリで管理したい」という人は、一度確認する価値があります。
📌 影響を受ける人
- PR の自動レビュー、自動修正、承認ボットを自作・運用しているチーム
- Slack / GitHub / cron から動く社内エージェントを構築したい人
- Claude Agent SDK など他のエージェント基盤と比較検討している人
- MCP サーバーをエージェントに接続して使っている人
変更の全体像
Agent SDK は次の5つの要素で構成されます。
開発の流れは次のとおりです。
変更内容
変更一覧
| 項目 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| Agent SDK GA | エージェントをコードのフォルダとして定義し、eval でテストして Cursor または自社インフラにデプロイ | high |
| CLI |
init / dev / --template による作成とローカル実行 |
medium |
| デプロイ |
agent-sdk deploy でビルド、URL 払い出し、起動まで一括実行 |
medium |
| フォルダ規約 |
instructions.md・tools/・skills/・mcp-connections/・channels/
|
medium |
| Channels | Git ホスティング / Slack / Webhook / cron で起動 | medium |
| Evals |
agent-sdk eval と agent-sdk github replay
|
medium |
1. CLI:init / dev / テンプレート
npx @cursor/agent-sdk init ./my-bot で新しいエージェントプロジェクトを作成します。agent-sdk dev を実行すると、プレイグラウンド付きでボットがローカル起動します。
--template で選べる雛形は4種類です。
- セキュリティレビュアー
- owners-policy(オーナー規約)の承認ボット
- PR の自動修正ボット
- Linear または Jira のトリアージボット
2. フォルダ構成の規約
エージェントは1つのプロジェクトとして、次の規約に沿って構成します。
| パス | 役割 |
|---|---|
instructions.md |
プロンプト本体 |
tools/ |
1ファイルが、モデルが呼び出せる型付きアクション1つに対応 |
skills/ |
モデルが必要に応じて読み込む手順 |
mcp-connections/ |
MCP サーバーからツールを追加 |
channels/ |
ボットがメッセージを受け取り、返答する場所を定義 |
agent-sdk validate で構成をチェックできます。agent-sdk info を使うと、検出された構成要素を一覧表示できます。
💡 Tips
プロンプト、ツール、手順、外部接続がすべてファイルとして分かれています。そのため Git で差分レビューしやすく、PR 単位でエージェントの挙動変更を管理できます。
3. Channels:エージェントの起動トリガー
起動のきっかけは次のとおりです。
| トリガー | 内容 |
|---|---|
| GitHub / GitLab / Bitbucket | pull request、コメント、CI イベント |
| Slack | メンションと DM |
| Webhook | 任意のプロバイダから |
| cron | スケジュール実行 |
押さえておきたい点は次の3つです。
- GitHub のイベントは Cursor アカウント経由で取得されます。公開 Webhook URL を用意する必要はありません。
- Slack は標準で十分にサポートされています。
- 会話ごとに独立したセッションと、全メッセージ・全ツール呼び出しの完全な記録が保持されます。同じ PR や Slack スレッドでのフォローアップは、同じセッションを再開します。
4. デプロイ
プロジェクトのディレクトリで agent-sdk deploy を実行すると、ビルド、URL の割り当て、Cursor インフラ上での起動までを一度に行います。シークレットと連携(integrations)はダッシュボードで管理します。デプロイ後も、ローカルと同じログ・eval・プレイグラウンドをそのまま使えます。自社インフラへのデプロイも可能です。
5. Evals と GitHub replay
eval は固定メッセージをボットに送り、次の内容を検証します。
- どのツールが実行されたか
- そのツールの入力は何か
- 返答がどんな形か
agent-sdk eval はローカルでも CI でも実行できます。
agent-sdk github replay <pr-url> は、実際の pull request を署名付きの Webhook ペイロードに変換してボットに送ります。そのため、GitHub 起点のボットを push を待たずにテストできます。--dry-run --fixtures-dir fixtures/ を付けると、ペイロードを送信せず、eval 用フィクスチャとして保存します。
影響と対応
⚠️ 補足:破壊的変更ではありません
今回は新機能の追加であり、既存の Cursor 利用に必須の対応はありません(action_required: false)。
対応の目安
推奨アクション
-
テンプレートで試す:4種類の中から、手元の課題に近いもの(例:PR 自動修正)で
initとdevを試します。 -
既存ボットの棚卸し:すでに自作ボットがあれば、
instructions.md/tools//skills/に分けた場合にどうなるかを検討します。 -
eval を CI に組み込む:
agent-sdk evalはローカルでも CI でも動きます。 -
replay でフィクスチャを蓄積:実際の PR から
--dry-run --fixtures-dir fixtures/で保存しておくと、回帰テストの素材になります。 - デプロイ先を決める:Cursor インフラか自社インフラかを、シークレット管理や社内ポリシーの観点で選びます。
-
MCP 接続を整理する:
mcp-connections/に MCP サーバーを置く構成になるため、既存の MCP 利用との関係を確認します。
Claude Agent SDK を使っている人へ
エージェントをフォルダ構成で定義する発想は、Claude Agent SDK を使う場合の設計とも比較できます。選定の際は、次の観点で見比べるとよいでしょう。
- 定義方法
- テスト手段(eval / replay)
- デプロイ先
- トリガーの種類
コード例
プロジェクトの作成とローカル実行
# 新規エージェントプロジェクトを作成
npx @cursor/agent-sdk init ./my-bot
# プレイグラウンド付きでローカル起動
cd my-bot
agent-sdk dev
フォルダ構成のイメージ
my-bot/
├── instructions.md # プロンプト本体
├── tools/ # 1ファイル = 型付きアクション1つ
├── skills/ # 必要に応じて読み込まれる手順
├── mcp-connections/ # MCP サーバーからツールを追加
└── channels/ # メッセージの受信・返答の場所
ファイルの中身(tools の記述形式など)は今回の情報には含まれていません。詳細は公式ドキュメントを確認してください。
構成の検証とデプロイ
# 構成をチェック
agent-sdk validate
# 検出された構成要素を一覧表示
agent-sdk info
# ビルド → URL 割り当て → Cursor インフラで起動
agent-sdk deploy
テスト(Before / After)
Before:手動確認
1. ボットを修正
2. 検証用の PR を作って push
3. Webhook が届くのを待つ
4. 動作を目視で確認
After:eval と replay
# 固定メッセージで、ツール・入力・返答の形を検証(ローカル/CI)
agent-sdk eval
# 実際の PR を署名付き Webhook ペイロードに変換してボットに送る
agent-sdk github replay <pr-url>
# 送信せず、eval 用フィクスチャとして保存
agent-sdk github replay <pr-url> --dry-run --fixtures-dir fixtures/
補足:Changelog から「Cursor Projects」が消えた件
Changelog ページから、2026年9月10日付の Cursor Projects(ベータ) のエントリが消えています。
- 新エントリ(Agent SDK)の追加と同時に消えており、表示件数の上限による押し出しとみられます。
- Projects 機能の廃止を示す記述はありません。
Projects を使っている場合も、この件だけで慌てて対応する必要はありません。心配なら、アプリ内の機能やドキュメントで現在の状態を確認してください。
まとめ
- Cursor Agent SDK が 2026-10-20 に GA となりました。
- エージェントを
instructions.md/tools//skills//mcp-connections//channels/のフォルダ構成で定義します。 -
init→dev→validate→eval→deployの流れで、作成からデプロイまで CLI で完結します。 - Channels により GitHub / GitLab / Bitbucket / Slack / Webhook / cron から起動できます。GitHub のイベントは Cursor アカウント経由のため、公開 Webhook URL は不要です。
-
agent-sdk github replayで、実際の PR を使ったテストが push なしで可能です。 - デプロイ先は Cursor インフラと自社インフラのどちらも選べます。
- 必須の対応はありません。まずはテンプレートで小さく試すのがおすすめです。
- Changelog から Projects のエントリが消えたのは、表示範囲の変化とみられます。