piacereです、ご覧いただいてありがとございます
今回は、「NeosVRに見出した可能性と未来について:『4つの世界』は『7つの世界』に」の続編、この中の「NeosVRがAR投影された複合現実」によって生活と仕事がどのように変わっていくかをまとめます
まず「NeosVR」について
「NeosVR」は、VRから一歩も外に出ず、VRの世界を作れる、唯一無二のVRプラットフォームです
「NeosVR |> AR投影アプリ」とは?
このNeosVRの世界観を、ARとして、現実世界に投影するアプリが「NeosVR |> AR投影アプリ」です
お昼のVR→AR散歩の動画です(スッカリ動画編集も慣れてきました)😉
— piacere@DigiDock (love Elixir&Gravity+仮想世界創造機構) (@piacere_ex) August 3, 2020
マトリックスごっこは、#NeosVR でやっても、このようにARでやっても、楽しいものですねー😌
リアルな構造物を作ってみて思ったのは、もっと精細なビルテクスチャが欲しいな、と…リアル写真を貼ったんですが、リアリティが…😅 pic.twitter.com/70mHm3lrxL
任意の緯度経度に、NeosVRのオブジェクト群を投影できるので、NeosVRで作った世界を、現実と重ね合わせることができます
これにより、「現実空間上にVRオブジェクトを投影する」こともできれば、「NeosVRの世界で現実世界を塗り潰す」という、まるで「固有結界」のようなものまで実現します
「オブジェクト内に入る」という概念を構築したことで、#NeosVR 同様、ワールドへのテレポーテーション機能を実装した😆
— piacere@DigiDock (love Elixir&Gravity+仮想世界創造機構) (@piacere_ex) August 2, 2020
…と言っても、単純に設定した緯度経度にジャンプするだけの機能の追加…ん?、これってある意味、本当のテレポーテーションだよな😜
なんか今日は1日、ちょっとした魔術創造😌 pic.twitter.com/M95ScWrnFU
なお、このアプリはUnityで開発しており、NeosVRとの連携は、分散・並列/データサイエンス言語である「Elixir」で開発しています
その様子は、下記コラムでご紹介しています
NeosVR+Elixirで気軽にVR WebSocketプログラミング(VR |> AR投影アプリの裏側)
https://qiita.com/piacerex/items/4d8b23d99434d5a841ca
NeosVR |> AR投影アプリの実用例
「現実空間上にVRオブジェクトを投影する」ことが出来るので、現実の渓谷にCAD等の3Dデジタルデータで作られた橋を重ね合わせたり(下図左上)、何も無い更地や、なんなら整地されていない未開拓地にNeosVR内で作ったマンションを建てて、スマホやARグラス、ARコンタクトを通して、現実に重ね合わせたVRオブジェクトを「現地で実際に見る」ことが出来ます
以下では、こうした「デジタル建造物」を現実上で見るための開発ステップをご紹介します
①土台となる地形を3D点群データで配置
デジタルの建造物を作る際、最初はNeosVR内に空撮機やドローンに搭載されたレーザースキャナやLiDARで取得した「3D点群データ」をNeosVRに取り込みます(上図左下)
これは、NeosVR標準機能の「ファイルブラウザ」(下図)で、ローカルPCにある点群データ(.lasファイル、.pcdファイル等)をインポートすることで可能です
NeosVRに取り込んだ点群データの座標を、NeosVR内の任意の座標(通常は、点群データの中央がXYZ=0になるようにしておく)に配置し、点群データのスケールをメートル換算でほぼ現実と同じサイズに調整し、その後は、点群データが移動やサイズ変更されると都合が悪いので、Grabbableを外しておきます
また、デジタル建造物を配置する際に、操作用レーザーが点群データにあたって邪魔なので、点群データからColliderも外しておきます
②3D点群の上にデジタル建造物を配置
デジタル建造物は、NeosVRオブジェクトとして作れるものであれば,何でも配置できます
たとえば、DevToolTipや各種Tipで作れるオブジェクトにテクスチャを張り込んだものでもOKだし、CADデータや3DデータでもOKです
NeosVRがインポート可能なデータは、下記URLにある通り、43種類と豊富(2020/12/26現在)で、これだけでもNeosVR内での作業は魅力的な訳ですが、これらも上記点群データ同様、「ファイルブラウザ」で、ローカルPCにあるファイルをインポートできるので、非常に簡単です
NeosVR 3D Model Import
https://wiki.neos.com/3D_Model_Import#Currently_Supported_3D_formats
なお点群データは、モノによっては思った以上に「疎」 … つまりスカスカなので、デジタル建造物のディテールを作り切った後は、自分のアバターのサイズを大きくし、点群が疎に見えないくらいに大きくなると、デジタル建造物の配置がラクになります
実は、ここまでの過程は、「点群をベースにしたNeosVRワールド制作」そのものなので、NeosVRでワールドを作ったことがある方であれば、オペレータとして作業が可能なのです
「NeosVR |> AR投影アプリ」には、オブジェクトの属性(座標、ローテーション、スケール、色、テクスチャの変更など)が連動されるので、LogiXによる、これらの動的変更もリアルタイムで反映されます … つまり、現実世界の上で、NeosVRと同様のオブジェクト挙動を投影できるということです
③現地まで、デジタル建造物を見に行く
ここまで準備すれば、あとは「NeosVR |> AR投影アプリ」によって、任意の緯度経度に上記オブジェクト群を投影可能になるので、現実の現地に行って、デジタル建造物をスマホやARグラス、ARコンタクトで、実際に見ることができます
下記動画のように、デジタル建造物の周りを歩いたり、見上げたりすれば、その方向や角度からデジタル建造物を見ることもできるので、現実の建造物と同じように見れますし、デジタル建造物の中に入っていけば、(NeosVR側で内部を作り込んでさえいれば)建造物の内側から内部を見渡すことも可能です
お昼のVR→AR散歩の動画です(スッカリ動画編集も慣れてきました)😉
— piacere@DigiDock (love Elixir&Gravity+仮想世界創造機構) (@piacere_ex) August 3, 2020
マトリックスごっこは、#NeosVR でやっても、このようにARでやっても、楽しいものですねー😌
リアルな構造物を作ってみて思ったのは、もっと精細なビルテクスチャが欲しいな、と…リアル写真を貼ったんですが、リアリティが…😅 pic.twitter.com/70mHm3lrxL
NeosVR |> AR投影アプリによって可能となること
上記した実用例は、土木・建築分野におけるNeosVR |> AR投影アプリの1つの使い方に過ぎず、他にも、下記のような活用例が考えられます(幾つかは、アプリ自体のさらなる機能開発が前提になりますが)
- システム開発
- アジャイル開発(eXtreme Programming、スクラムなど)でよく行う「ホワイトボードの前でのモブ設計/実装」をVRとARの両方で実現
- リモートと現地で同一空間(XRオフィス)を構築し、システム開発や共同作業を行う
- 2DのWeb会議をXRオフィスで同一空間内での3D会議に変える
- 建築、ハウスメーカー、家具メーカー
- 設計した建物を建築予定地に投影し、現地で内見(NeosVR内で事前内見も可)
- インテリアや家具をNeosVRで操作して内見中のお客さんに提案
- トップセールスマンの所作+営業トークを本人が近くにいなくても現実空間で間近に見れる
- ビル管理システム(BIM)のVR+AR化(施工前設計確認、進捗確認、仕上がり検証)
- 移住、不動産売買
- 遠隔地の住宅をLiDAR取込し、近所の空き地で内見(空き地が無い場合は、NeosVR内で内見)
- 遠隔地の住宅だけで無く、付近の街並みも、同様に現実に投影して見ることができる
- 観光
- 街歩きや商店街の「看板に出ていない情報」を趣味趣向に合わせて文字情報としてナビ
- NeosVR内で事前に旅行先の予習をし、そこでメモしたやりたいことを投影
- ツアーコンダクターもNeosVRでリモート化したり、事前収録済のモーションキャプチャで対応可
- タビマエ→タビナカ→タビアト:タビマエにNeosVRでバーチャル旅し、気になるところに目串を落とし、タビナカでARが目串までナビしてくれたり、タビアトでタビナカ活動を振り返れる(360度カメラを携行したら360度動画としてもタビアト追体験や他者へのタビマエ提供が可能)
- 地方創生
- 市や県が、開発計画を地域住民に説明するなら、現地デモンストレーションが可能になる
- 「ぼくのかんがえたさいきょうのまち」:地方の都市開発構想を住民たちの手によって自ら行う
- 教育・研修、スポーツ
- 先生やコーチの事前収録済モーションキャプチャにより、リアルで繰り返し再生可能な学習体験
- NeosVR内に資料やスライドを持っていき、現実にリアルタイム投影して全国に共有
- エンターテイメント
- NeosVR上に構築したコンサート会場を、全国各地に投影し、リモート同士を繋ぐライブ実現
- アーティストの整地を訪れたときにしか体験できない現実空間での来訪者特典の提供
これらのUX(User eXperience:ユーザ体験)は、現実世界だけでは構築不可能なものばかりで、デジタルやVR/ARの恩恵があって始めて構築可能となるものです
こうした活用を通して、人は他人とのコミュニケーションや現実社会のルール、物理世界の制約に囚われない「新たな現実体験」をすることが可能となるので、「今の現実とは解釈や在り方が異なる現実」に触れ始め、その魅力に気付いた人から、より「現実」へと出ていくようになるんでは無いかと想像しています
NeosVR |> AR投影アプリが投影を超えて目指すこと
NeosVRの世界を投影するだけで無く、「現実で行ったアクションをNeosVRに反映する」ことで、下記動画でやっているような「現実にいたままデジタル建造」といった、現実世界のルールに縛られない活動を可能とするところを目指しています
360度動画内で #NeosVR のメニュー操作やDevToolTipでのオブジェクト作成などやってみた😜
— piacere@DigiDock (love Elixir&Gravity+仮想世界創造機構) (@piacere_ex) November 23, 2020
歩きながらの動画なので、「歩きNeosVR」みたいなことになっとる…見た目、「歩きスマホ」より危険な感じ😅
コレ、コンテンツとして、悪く無い感じだなぁ…まるで外でアバター来たままフルARしてるみたいね😝 pic.twitter.com/bZXXFpruqw
このアプリの最終的な到達点は、要するに、
「現実世界をNeosVRにしてしまう」
ということですね
そのくらい、私はNeosVRには感動と感銘を覚え、そのインスピレーションがあまりに強くて、
現実世界の在り方を変えてしまえる
とまで想像し、その実現のためのアプリを作り始めちゃった訳です
もし現実世界をNeosVRにしてしまえた場合、ジェスチャーをするだけで、みんなが見えるオブジェクトを現実空間上に生成できるし、そうやって作ったものを「インベントリ」で持ち歩くことだって出来る … そんな「魔法」のような世界が現実世界で叶う訳です … メチャクチャ素敵ですねー
デジタル化UX社会:生活も仕事も、人の思考が丸ごと変わる
最近、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉が、世間で注目されていますが、私の考えるDXとは、上述した例のような、
現実世界では構築不可能なものを、デジタルやVR/ARによって、「今の現実とは解釈や在り方が異なる現実」として提供することで、人々の生活があらゆる面でより良い方向に変化すること
だと捉えています
この定義は、DXの提唱者である、ウメオ大学のエリック・ストルターマンの定義に、限りなく近いものです
その中心にあるコンセプトは、「人々のより良い生活≒UX」が「主」であり、「デジタル」はそれを実現する「副」という解釈です
ちなみに、大手を脅かすスタートアップや個人 … いわゆる「ディスラプタ」と呼ばれる彼らが実現する「D2C(Direct to Consumer)」も、「人々のより良い生活≒UX」が「主」であり、「デジタル」はそれを実現する「副」という解釈に基づいています
一方、経済産業省やガートナー、その他刊行物での定義、および各企業のDX推進などは、ここを「デジタル」が主で、「人々のより良い生活≒UX」はオマケ程度と、誤った解釈をしているのでは無いかと思わせます
また、「デジタル・トランスフォーメーション」を、「デジタライゼーション≒単なるデジタル化」と混同している節も多く見受けられ、デジタル・トランスフォーメーションの正しい学習/理解ができていないことにも課題があると感じています
本当のDXとは、現実の解釈がより良いものへと変わり、そのことで生活も仕事もより良いものとなり、
「現実のルールに縛られた人々の思考を開放する」ことにより「人々の思考が丸ごと変わる」
という、制約が一切無いデジタルから発想する「デジタル化UX社会」へのパラダイム・シフトだと私は解釈し、その直接的実現に邁進しています
そもそも、なぜ現実のルールに縛られるのか?
さまざまな理由が考えられますが、
既に上手くいっていることや、馴染みのあることを継続することが、最も安心・安全
という盲目的な思考から、現実のルールに縛られ、新たなクリエイトを避けているからでしょう
既存ビジネスの維持や権利収入の獲得、利権といったものを重視するのも、こうした思考からです
たとえその現実が、自分にはイヤなことばかりであっても、安心・安全が大事という発想でしょう
その背景にあるのが、
1つの成功パターンは、他の成功にも応用できるものである
という「前例主義」の固定観念があるからでは無いかと想定しています
この考えに基づくと、「上手くやれてる人のように振る舞えなければ、自分は上手くいかない」という類推をしやすくなり、上手くやれるイメージが持てないと、何もやる気が出ない … といった、良くない影響もあります
しかし、実はここまでに書いたことが成り立つには、
同じパラダイムが続く限りは、有効である
という暗黙の条件があります
では、パラダイムが変わったときは、どうなるか? …
… その答えは、こうです
古いパラダイムでの成功パターンは、新しいパラダイムでは害悪となる
また、これらの事柄から逆説的に分かる傾向は、以下の通りです
新しいものをクリエイトできない人が、誰かの作った「現実」というルールや利権に依存しやすくなる
このコラムで述べた様々なアイデアは、今の現実に囚われない、新しいパラダイムだらけでした
こうした発想は、現在の成功パターンや現実に囚われていてはイメージできません
新しいパラダイムを前提にして、より良いUXを企画したり、導くには、以下のような考え方が最重要です
現実に囚われるのを止め、制約やルールの無いデジタルやVR/ARから「理想」をスタートさせる
私が、これまでのNeosVR resoで出したコラムや、Twitterなどで、下記2方向のコンセプトを重視する一方、「安易に現実をVR/ARに持ち込まない」ように注意喚起している理由は、この考え方を阻害するからです
- 「VR」 → 「現実(+IoT)」 → 「VR」
- VRで起こるイベントや起こすアクションで現実にIoTなど経由で干渉し、その結果をセンシングして、VR改変を行う
- 「現実(+IoT)」 → 「VR+AI・ML」 → 「現実(+AR)」
- 現実で起こるイベントや起こすアクションをVR+AI・ML内で処理し、その結果に基づいて、ARやサイネージ、3Dプリンタなどによって現実改変を行う
何も考えず、現実をVR/ARに持ち込むと、現実のルールや制約と共に、古いパラダイムを植え付けることになります
これはVR/ARに限らず、DXやD2C、Society 5.0、インダストリー 4.0といった世界観の実現にも影を落とします(経産省やガートナーのDXの定義に感じる違和感には、ここもあります)
Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
インダストリー 4.0とは
https://seizo-net.com/industry40/
かつてはもっと自由が感じれたTwitterやインターネットが、2010年代前半以降、スマホが普及し、インターネットに現実のルールや制約が無作為かつ大量に流れ込んだことで、現実社会のルールにまみれ、つまらないものへと変質していった原因も、「安易に現実を持ち込み、制約された」が故の部分もおおいにあると感じます
だからこそ、現実に囚われるのを止め、制約やルールの無いデジタルやVR/ARから「理想」をスタートさせる訳です
「理想」を述べるのに、古いパラダイムである「現実」に囚われていては本末転倒
だから、昔の成功パターンなどに安易にすがるのでは無く、何も無いところからでも、新たな世界を切り拓くマインドが、VR/ARのような新しい世界に求められることなのです
最後に
このコラムを読んで、NeosVRと、NeosVR |> AR投影アプリ、DXやD2C、そして次世代のパラダイムに興味を持たれる方が1人でも増えたら幸いです
これらについてのご質問やご相談は、私のTwitter DMで受け付けていますので、お気軽にご連絡ください
piacere の Twitter DM(リンク先の赤枠部分をクリックしてください)
https://twitter.com/piacere_ex
また、先月発足したばかりのコミュニティ「NeosVR reso」では、NeoVRプログラミングイベントやNeosVRワールド制作会、そして「NeosVRからの配信」などを通じて、NeosVRからNeosVRの外の「現実」に干渉するべく、NeosVRとAI・ML/IoTを連動させたり、NeosVRオブジェクトをAR化することで現実改変することを通して、「VRだけでも、現実だけでも、実現しない共振」を起こすような活動を行っていきます
今月(2020年12月)は、NeosVR resoで下記Advent Calendarで12/1~12/25の間、NeosVRコラムを1日1本アップしてるので、ぜひご覧ください(応援もいただけたら嬉しい)
https://qiita.com/advent-calendar/2020/neosvr_reso