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ElixirでもPHP的に気軽なWebアプリ開発をしたい(Phoenixより薄いWebFW実現?)

Last updated at Posted at 2020-03-22

fukuoka.ex/kokura.exのpiacereです
ご覧いただいて、ありがとうございます :bow:

Phoenixは、Rails同様、MVC※やルーティングによるWebアプリ構築を前提に置いているため、PHPのような気軽さでWebアプリを作るのに向いていないと思われがちです
※正確には、Phoenixのソレは、MVCのようで、MVCではありません

他にも、「Phoenixを使わず、薄いWebサーバを使いたい」といった声を聞くことがありますが、よくよく聞いてみると、ステータスコードをキメ細かく調整したり、サーバプロセスを自前で起動したい等の本来的な薄いWebサーバを必要としている訳では無く、「MVCを使いたくない」「ルーティングを書きたくない」といったレベルの要望だったりすることも多いです

そこで、Phoenixのルーティングやリクエストハンドラーを司る「Plug」の柔軟性を用いれば、PHPと同様の気軽さ…つまり「ロジック入りhtmlファイルを置いたパスにエンドポイントが作られる」という形式でWebアプリ開発することもできる … ということを実感していただくためにコラムを書きました

:ocean::ocean::ocean: Advent Calendar、fukuoka.ex1位、Elixir2位達成ヽ(=´▽`=)ノ :ocean::ocean::ocean:

fukuoka.ex Advent Calendar、Webテクノロジーカテゴリで堂々1位 … 各コラムぜひお読みください
https://qiita.com/advent-calendar/2020/fukuokaex
image.png

そして、プログラミング言語カテゴリは、1位がRust、2位がElixir、3位がGoとモダン言語揃い踏みでのトップ3、熱いネー:laughing:
https://qiita.com/advent-calendar/2020/elixir
image.png

本コラムの検証環境

本コラムは、以下環境で検証しています(Windowsで実施していますが、Linuxやmacでも動作する想定です)

なおPhoenixは、1.3系でも動作します(ElixirもPhoenixのバージョンに準じた古いものでも大丈夫です)

事前準備:Phoenix PJを作成する

まずPhoenix PJを作成し、Phoenixを起動します

mix phx.new basic --no-ecto
…
Fetch and install dependencies? [Yn] 【Yを入力してEnter】
cd basic
iex -S mix phx.server

なおチョイ技として、上記Yで走るmix deps.getとnpm installのうち、npm installが遅いので、コンソールを2枚立てて、裏で走らせると、構築を待たずに先に進むこともできます

1枚目のコンソール
mix phx.new basic --no-ecto
…
Fetch and install dependencies? [Yn] 【Nを入力してEnter】
cd basic
mix deps.get
iex -S mix phx.server
2枚目のコンソール
cd 【上記Phoenix PJを作った元のフォルダ】
cd basic/asset
npm install

ブラウザで「http://localhost:4000」にアクセスすると、Phoenixで作られたデフォルトのWebページが見れます
image.png

PHPのような気軽さでWebアプリを作るには?

Phoenixが前提としている「特定MVCへのルーティング」をhtml.eexファイル名へと自動マッピングし、mix phx.newで生成されたコントローラがデフォルトで素通ししていないGETパラメータを素通しすればOKです

なお、html.eexファイル名へのマッピング時、複数階層のフォルダもマッピング可能とすることで、サブフォルダ配下のhtml.eexファイルにも気軽にアクセスできるようになります

手順①:html.eexの表示をルーティング不要に

まずはルーティングで、「*path_」というワイルドカード指定をすることで、多階層のURLパスを「path_」パラメータで取得できるようになります

「path_」パラメータには、URLに指定されたフォルダ階層が、リストで入ってきます(たとえば、abc/defというパスであれば、[ "abc", "def" ]という感じで)

lib/basic_web/router.ex
defmodule BasicWeb.Router do

  scope "/", BasicWeb do
    pipe_through :browser

#    get "/", PageController, :index  # <-- remove here
    get "/*path_", PageController, :index  # <-- add here

手順②:html.eexの複数階層フォルダ指定可能に

render()の第2引数に指定するパスは、デフォルトだと複数階層を指定できないので、Viewにワイルドカード的なパスのパターン指定を追加すれば、複数階層を指定可能にできます

lib/basic_web.ex
defmodule BasicWeb do

  def view do
    quote do
      use Phoenix.View,
        pattern: "**/*",  # <-- add here
        root: "lib/basic_web/templates",
        namespace: BasicWeb, 

手順③:パスの自動マッピング、GETパラメータの素通し

PageControllerで、「path_」パラメータのフォルダ階層リストを、html.eexのパスにマッピングします

また、mix phx.newで生成されたコントローラが「_params」という感じでアンダースコアで未使用にしているので、これを解除し、renderの第3引数に渡すことで、GETパラメータを素通しさせます

lib/basic_web/controllers/page_controller.ex
defmodule BasicWeb.PageController do
  use BasicWeb, :controller

  def index( conn, params ) do
    template = if params[ "path_" ] == nil, do: "index.html", else: Path.join( params[ "path_" ] ) <> ".html"
    render( conn, template, params: params )
  end
end

手順④:html.eexページを追加する

1)templates/page直下にhtml.eex追加

これで、page配下にhtml.eexを追加するだけで、新たなページが追加可能となったので、追加してみます

lib/basic_web/templates/page/another.html.eex
<h1>This is another page</h1>

<%= inspect( System.build_info() ) %>
<hr>
<%= inspect( @params ) %>

ここまでが終わったら、ブラウザで「http://localhost:4000/abc/def?abc=xyz123」にアクセスすると、以下のような結果が表示されることを確認して、準備完了です
image.png

これで、ルーティングやMVCを追加せずとも、PHPのように、新たなページ追加やGETパラメータ処理できるようになりました

2)templates/page配下のサブフォルダ下にhtml.eex追加

pageフォルダ配下にフォルダ階層を掘って、そこにhtml.eexを配置しても動きます

「abc」というフォルダを掘り、「def.html.eex」というWebテンプレートを追加します

lib/basic_web/templates/page/abc/def.html.eex
<h1>I'm def page</h1>

<%= inspect( @params ) %>

ブラウザで「http://localhost:4000/abc/def」にアクセスすると、以下のような結果が表示されます(「path_」パラメータにフォルダ階層がリストで入っていることも確認できます)
image.png

3)GETフォーム処理も気軽に書く

GETパラメータが通るようになっているので、formでフォーム処理も気軽に書けます

checkboxのような複数値を取るタイプには、nameの末尾に「[]」を置く点が、忘れてはならないポイントです

lib/basic_web/templates/page/abc/form.html.eex
<h1>I'm form page</h1>

<form method="GET" action="/abc/def">

<p>
メモ:
<input name="memo" type="text">
</p>

<p>
好きな言語:
<input name="language[]" type="checkbox" value="Elixir">Elixir
<input name="language[]" type="checkbox" value="Rust">Rust
<input name="language[]" type="checkbox" value="Julia">Julia
</p>

<p>
年代:
<select name="age">
  <option value="10">10代
  <option value="20">20代
  <option value="30">30代
  <option value="30">40代
  <option value="50">50代
  <option value="60">60代
  <option value="70">70代以上
</select>
</p>

<input type="submit" value="送信">

</form>

ブラウザで「http://localhost:4000/abc/form」にアクセスすると、以下のような結果が表示されます
image.png

「送信」ボタンを押下すると、入力されたパラメータが表示されますが、def.html.eexでやっているように、@ paramsの中身を使ってフォーム処理を行うことができます

checkboxは、選択したものが、リストで入ってきます
image.png

4)POSTフォーム処理も気軽に書く

POSTパラメータによるフォーム処理に対応するには、ルーティングにPOSTの分も書きます

lib/basic_web/router.ex
defmodule BasicWeb.Router do

  scope "/", BasicWeb do

    post "/*path_", PageController, :index  # <-- add here

formのmethodをPOSTに変更します

lib/basic_web/templates/page/abc/form.html.eex
<h1>I'm form page</h1>

<form method="POST" action="/abc/def">
              ^-- modify here
…

ブラウザで「http://localhost:4000/abc/form」にアクセスし、「送信」ボタンを押下すると、GET同様、POSTでも入力されたパラメータが表示されるようになります(GETのときはURLにパラメータがあったのに対し、POSTでは無くなっています)
image.png

終わり

Phoenixで、PHPみたいに気軽なWebアプリ開発をする手順を紹介しました

Phoenixは、ルーティングとMVCを前提にしていますが、Plugの機能とコントローラでのパラメータ処理を併用すれば、このような気軽さを導入することもできます

無論、ルーティングやMVCは、理由があって採用されている面もあるので、そのメリット/デメリットはちゃんと学んだり、理解しつつ、一方で、このテクニックを使って、簡単なWebアプリ構築もお楽しみください

なお、Elixirサーバサイドでリアルタイムフロントが書ける「LiveView」においても、この気軽さを導入するコラム書いていますので、ご参考にどうぞ

p.s.このコラムが、面白かったり、役に立ったら…

image.pngimage.png にて、どうぞ応援よろしくお願いします:bow:

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