AIコーディングエージェント開発で気をつけていること3選
〜継続作業中の忘れ癖・ディレクトリ問題・コマンド実行のムラ〜
はじめに
GitHub Copilot Chat や Cursor、OpenAI Code Interpreter 拡張などの AIコーディングエージェントは、開発効率を大幅に高めてくれる便利な相棒です。
しかし、実務で使ってみると「同じテーマで続けているのに忘れる」「意図通りにコマンドを実行してくれない」など、人間にはない“癖”が見えてきます。
この記事では、実際にプロジェクトでAIコーディングエージェントを使って開発していて気づいた 3つの注意点 と、その対策を紹介します。
1. 継続作業中でも“忘れる”ことがある
事象
同じチャットスレッドで開発を続けていても、途中で仕様やルールを忘れてしまうことがあります。
原因の推測
- 会話履歴の保持制限
- コンテキスト量の限界で古い情報が参照されなくなる
対策
- プロジェクト内に 開発ガイドラインファイル を置く
- 定期的にそのファイルをAIに読み込ませ、「思い出させる」工程を挟む
- README.md, TODO.md, DEVELOPMENT.md, DEPLOYMENT.md, SECURITY.mdなどをプロジェクトのルートに配置しておきます
- 定期的に
重複している内容があれば統合するように指示しておくとメンテナンスしてくれます
💡 ポイント
仕様やコーディング規約は、チャット履歴に頼らず「プロジェクト資産として保存」するのが安全です。
2. モノリポ環境でのカレントディレクトリ問題
事象
プロジェクトルートがデフォルトの作業ディレクトリになるため、
モノリポ(一つのリポジトリに複数のプロジェクトフォルダ)では
間違った場所でコマンドが実行され、ビルドや実行が空振りすることがあります。
原因の推測
- AIが
cdで移動したコンテキストを記憶していない - コマンド生成時にディレクトリを明示しない
対策(暫定)
- 実行前に カレントディレクトリを手動で確認(
pwd) - 可能であれば 絶対パスでコマンド指定
# 安全策:絶対パス指定で実行
cd /path/to/project/frontend
npm run build
3. コマンド実行の再現性がないことがある
事象
デプロイやデバッグのコマンドを、会話の流れで再度依頼しても、
前回と同じコマンドを出してくれないことがあります。
原因の推測
- 会話から状況を再構築する際に、直前の作業状態を完全に復元できない
対策(暫定)
- コマンドは 記録用のスニペットやスクリプトファイル に残す
- 「この前のコマンドをそのまま実行して」ではなく 明示的に再提示 する
# scripts/deploy.sh にまとめる
#!/bin/bash
npm run build
vercel deploy --prod
まとめ
AIコーディングエージェントは、爆速試作や作業効率化には非常に有効ですが、
以下のような癖があります。
- 記憶の揮発性:古い仕様やルールを忘れる
- 環境認識のズレ:ディレクトリや状態が想定と違う
- 再現性の低さ:同じコマンドを繰り返してくれない
これらを理解して運用すれば、誤動作や時間ロスを防ぎ、より安定した開発が可能になります。
おまけ:この記事の活用法
- ガイドライン雛形を作っておき、毎回AIに読み込ませる
- コマンドスクリプト集をプロジェクトに同梱
- モノリポ構造図を添えて、AIに毎回読み込ませる
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