C#の非同期処理の味見

経緯

製造現場で、外観検査機のデスクトップアプリを開発することになりました。このアプリでは以下のような3つの処理を行います。

📷 カメラ画像の取り込み
🧠 カメラ画像のAI判定
📊 レーザー変位計での寸法等測定とCSV出力

それぞれが独立した処理であり、1つ1つにそれなりの時間がかかります。最初は順番に実行しようと思いましたが、やはり時間がかかりすぎました。ChatGPTに聞いたところ「非同期処理を使え」と言われたので、初めてC#のasync / awaitを学ぶことになりました。

C#の非同期処理とは？

C#では、時間のかかる処理（I/Oや通信など）をメインスレッドを止めずに実行するためにasync / await構文が用意されています。

基本構文

static async Task Main()
{
    // 非同期処理を呼び出す
    await DoSomethingAsync();
}

static async Task DoSomethingAsync()
{
    Console.WriteLine("重い処理を開始...");
    
    // 非同期的に2秒待つ
    await Task.Delay(2000);
    
    Console.WriteLine("重い処理が完了！");
}

ポイント

async：メソッドが非同期であることを示す
await：処理の完了を「待つ」が、スレッドはブロックされない
Task：非同期処理の実行単位（戻り値を持つ場合は Task）

Step 1. 並行カウントで動作を可視化

並行でカウントする処理を作ってみました。
1つは1秒ごとに100回、もう1つは2秒ごとに30回カウントします。

using System;
using System.Threading.Tasks;

class Program
{
    static async Task Main()
    {
        Console.WriteLine("処理開始");

        // 1秒間隔で100回カウントする非同期処理
        Task t1 = CountAsync("1秒カウント", 100, 1000);

        // 2秒間隔で30回カウントする非同期処理
        Task t2 = CountAsync("2秒カウント", 30, 2000);

        // 両方の処理が完了するまで待機
        await Task.WhenAll(t1, t2);

        Console.WriteLine("すべてのカウント完了！");
    }

    // 指定回数、指定間隔でカウントする非同期メソッド
    static async Task CountAsync(string name, int count, int intervalMs)
    {
        for (int i = 1; i <= count; i++)
        {
            Console.WriteLine($"{name}: {i}");
            // 非同期で待機、CPUは解放される
            await Task.Delay(intervalMs);
        }
        Console.WriteLine($"{name} 完了！");
    }
}

実行結果（抜粋）

処理開始
1秒カウント: 1
2秒カウント: 1
1秒カウント: 2
1秒カウント: 3
2秒カウント: 2
...
1秒カウント 完了！
2秒カウント 完了！
すべてのカウント完了！

await Task.WhenAll(...) により、2つの処理が完全に並行で動いていることが分かります。

Step 2. 3セット繰り返して確認する

次は、このカウント処理を3セット繰り返し、各セットごとに「ちゃんとカウントしたか確認」します。

using System;
using System.Threading.Tasks;

class Program
{
    static async Task Main(string[] args)
    {
        Console.WriteLine("処理開始");

        // 同じ処理を3回繰り返す
        for (int set = 1; set <= 3; set++)
        {
            Console.WriteLine($"\n==== 第{set}セット開始 ====");

            // 並行でカウント処理を開始
            Task<int> t1 = CountAsync("1秒カウント", 100, 1000);
            Task<int> t2 = CountAsync("2秒カウント", 30, 2000);

            // 両方の処理が完了するまで待つ
            int[] results = await Task.WhenAll(t1, t2);

            // 結果確認
            Console.WriteLine($"第{set}セット完了！確認：");
            Console.WriteLine($" - 1秒カウント 結果: {results[0]}回");
            Console.WriteLine($" - 2秒カウント 結果: {results[1]}回");
            Console.WriteLine("===========================");
        }

        Console.WriteLine("\nすべてのセット完了！");
    }

    // 指定回数、指定間隔でカウントする非同期メソッド（結果を返す）
    static async Task<int> CountAsync(string name, int count, int intervalMs)
    {
        for (int i = 1; i <= count; i++)
        {
            Console.WriteLine($"{name}: {i}");
            await Task.Delay(intervalMs); // 非同期で待機
        }

        Console.WriteLine($"{name} 完了！（{count}回）");
        return count; // 完了した回数を返す
    }
}

出力イメージ

==== 第1セット開始 ====
1秒カウント: 1
2秒カウント: 1
...
1秒カウント 完了！（100回）
2秒カウント 完了！（30回）
第1セット完了！確認：
 - 1秒カウント 結果: 100回
 - 2秒カウント 結果: 30回
===========================

==== 第2セット開始 ====
...

すべてのセット完了！

まとめ

学んだこと	内容
async / await	非同期処理を直感的に書ける仕組み
Task	非同期処理の実行単位
Task.WhenAll()	複数の非同期処理を並行実行して待機
await Task.Delay()	ブロックしない時間待ち
ループとの組み合わせ	非同期処理を順次制御する方法