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老兵は死なず、ただQiitaを書くのみ ~ かつてシステムエンジニアだった私へ贈る10の言葉

Last updated at Posted at 2025-09-18

老兵は死なず、ただQiitaを書くのみ ~ かつてシステムエンジニアだった私へ贈る10の言葉

こんにちは。今年50歳になった元システムエンジニアです。システムエンジニアというのは、IT関連のシステム設計・構築に携わる職業で、最近ではITエンジニアという名称が使われています。

"元"と書いてある通り、いまはシステムエンジニアではありません(今はアドバイザリー的な仕事が多いです)。

とはいえ、相変わらずIT業界には所属しており、ITやセキュリティに携わる仕事をしています。

この業界に長くいると、いろいろ知識や経験が増えてきます。若いころああしておけばよかったなとか、こんなことを知っていたらもっと仕事が楽だったかもな、ということもいろいろありました。

今回は、そんな過去の自分に伝えたいあれこれをまとめてみました。過去の自分へのメッセージですが、今の人たちにも何か役に立つかもしれません。

追伸:IT業界で働いていたので、それ系のネタが多くなりますが、それ以外の業界の人にも参考になることがあるかもしれません。

追伸の追伸:あ、ちなみにフィクションですので、そのつもりで読んでください(勘のいいガキは嫌いだよ)。

贈る言葉① ログを見よう

なにかあったら、ログを見よう。何が何でもログを見よう。何かが起動しない、ログインできない、動きが想定と異なる、etc…

IT(システム)で起こるあれこれは、基本的に(原則)ログに記録されているぞ。そしてそこにはあらゆることが記録されているぞ(多分)。

アクセスログ、エラーログ、システムログ、操作ログ、監査ログ、特権ログ、etc

ん?ログファイル名がわからない?ログがどこにあるか、そもそもわからない?

よし、まずログがどこにあるか、マニュアルを見よう。OS、ミドルウェア、データベース、アプリケーション、すべてのログのありかを!話はそれからだ!

あ、そのログ気を付けて。自動ローテーションで消えるから…(ログファイルのバックアップも忘れずに)

贈る言葉② 操作ログを取ろう

人間は忘れやすいもの、自分の操作のログを取ろう。検証か何かで操作して、うまくいっても、うまくいかなくても、上司や先輩に報告するよね? その際、操作のエビデンス(証拠)が必要になる。それが操作ログだ。

操作ログがないと、後で手順書も作れないぞ。

過去自分は若いから、自分がやってことは忘れない自信があるかもしれないけど、すぐに忘れるから気をつけろ。自分を過信するな!

あと、単純に勘違いもある。自分ではこうやったつもりでも、実際はそんなことやってなかったり、別のことをやっていたり。そういったときに客観的な記録として使える、それが操作ログだ。

過去自分が扱うシステムは、Unix系/Linux系が多かったね。なので、システムの接続時に、Tera Termよく使ってたね。「自動的にログ採取を開始する」設定があるぞ、必ず設定しとけ!システムにつなぐと自動的に全部の操作をログに取ってくれる、便利な機能だ!

あ、echoコマンドでコメントを残しておくと便利だぞ。

え、Windows系のシステムはどうするかって? スクリーンショットを取りまくるんだ、WinShotいれとけよ!

贈る言葉③ リリースノートを読もう

何かをインストールする前に、リリースノートを読もう。どんな機能が追加されたのかも大事だけど、もっと大事なことがある。前提や制約だ。

新バージョンになったら前提条件が変わっているっていうのは、よくあることだ。今までサポートしていたOS(のバージョン)がサポートされなくなったり、使えていたミドルウェアやデータベースが対象外になっていたり。

あと、特定パッケージの特定バージョンが必要なケースもある。間違えて最新バージョンインストールするなよ、動かなくなるぞ。

新しいバージョンがサポートされたからって、お客様に勧めちゃだめだぞ。実績の無いものは、どれだけトラブルが起こるかわからないぞ。事前検証して、バグを見つけておけ。
新バージョンの検証を怠って、インストール失敗してテープ環境から切り戻したやつがいるらしいけど、ココだけの秘密だ。

制約も注意だ。新機能が追加されて喜んでいるかもしれないが、代わりに使えない機能があったり、特定条件下では使えない場合があるぞ。事前検証して、使えるか確認しておけ。

マニュアルに何が書いてあったとしても、動かなければお客様には提供できないよ。

なに、リリースノートが英語で読めない?
おまえ つまんないウソつくね

贈る言葉④ リストアしよう

システム構築すると、必ず運用要件としてバックアップが出てくる。バックアップ設計して、バックアップする仕組みを構築して、バックアップファイルを取って終わり、じゃないぞ。必ずリストアしてみろ。必ず何か問題が見つかるから。

バックアップするファイルが足りてなかったり、バックアップするときの条件が間違っていたり、あとバグだったり。リストア手順も間違えがちだぞ。

必ず何か見つかるから、忘れずにリストアテストを実施するんだ。

え、何も問題が見つからなかった?
それはラッキー、手順書に落とし込もう。そして手順書通りにバックアップ/リストアしてみるんだ。そこで問題が無ければ、ようやく手順書の完成だ。

あ、バックアップ後にパッチあてた?
悪いことは言わない、もう一度バックアップとリストアをやり直すんだ。

そして手順書を修正しておけ。
3か月後の自分はほぼ忘れていると思え!
1年後の自分は、もはや他人だぞ!!

あと、バックアップファイルはどこかにきちんと退避するように。
バックアップファイルの最初の置き場所、1か月後に自動削除されるぞ!

贈る言葉⑤ 議事録を取ろう

議事録、必ず取ろう。できれば自分で取ろう。
議事録を書くと、自分がどれだけちゃんと話を聞いていないか(理解していないか)わかるから。

わからない用語は、調べよう。
それでもわからなければ、先輩や上司に聞くんだ。

自分以外の誰かが議事録を書く場合、必ず中身を確認しよう。
自分が言っていないことが書かれていたり、自分の言ったことが書かれていなかったりするから。
すぐ訂正依頼を出すんだ。
そうしないと、間違った情報が公式にコミットされちゃうから。

あと、議事録はあとで見返せるようにしておこう。
数か月後の会議で、真逆のことを言い出す人が現れるから。
議事録を差し出して、そっと当時のことを思い出させるんだ。

え、知らぬ存ぜぬだと?
そんなことを言った覚えがないだと?

しかたない、このプロジェクトが終わったら、静かにそのお客様から離れよう。
永遠の別れでさみしいかもしれないが、別れがあれば出会いもあるさ。

贈る言葉⑥ やることをメモしよう

やることをメモしよう。メモしておかないと、何をやるか忘れるから。

いや、君は若いから、記憶力には自信があるだろう。
落語の寿限無だって、何も見ずにスラスラ言えるだろう。

でも、忘れるんだ、人というやつは。
やることが日々増えていくから。
やることが日々変わっていくから。

だから、メモしよう。
やることと、期限と、ゴールと、アウトプット(成果物)と、優先順位ぐらいはメモしておこう。

アウトプットは粒度も大事だ。
参考になるものがないか、確認しよう。

あと、何で作るか。
Wordなのか、Excelなのか、PowerPointなのか、確認しておこう。
もしかしたらフォーマット/テンプレートがあるかも。流用しよう。

この辺りを明確にしておかないと、何から始めればいいのか、わかんなくなるぞ。

できれば、ドラフトの段階でレビューしてもらおう。
方向性が間違っていたら、早めの軌道修正が大事だからね。

あ、優先順位と期限はコロコロ変わるから、注意してね。
定期的に上司/先輩に進捗報告した方がいいよ。

あとまれに、仕事ふっておいて忘れられることもあるけど、いちいち腹を立てないように。
向こうに悪気はない。ただ、忘れているだけなんだ…
(歳を取ると、色々忘れるんだ…)

贈る言葉⑦ 周りを巻き込もう

周りを巻き込もう、全部自分でやろうとしちゃ駄目だよ。

いや、わかるよ。全部自分でやりたいんだよね。
調べて知識が増えるとうれしいし、検証して動くと楽しいよね。

あと、先輩/上司って、忙しいから聞きにくいよね。
相談しても「ググれ」って言われそうだし…

でも、巻き込むんだ。
トラブルは急にやってくる。
システムトラブルもそうだし、顧客トラブルもある。
あと単純に自分のトラブルもある(風邪/インフルエンザにかかったり、転んでけがしたり)。

自分しか知らない状況は、とても優越感があるかもしれないけど、
実は危険な状態なんだ。

インフルエンザで40℃の熱が出て意識が朦朧としているのに、君しか知らないことがあったらどうなる?
出社するかい?
ゆっくり寝てたいだろう?

何かあった場合に自分一人でできるようにしておくことは大事だ。
でも、自分だけしかできない状況は避けた方がいい。
きちんと周りを巻き込んでおこう。

きっと何かあったとき、周りが助けてくれるから。
(周りに頼れないと、すぐに限界が来るぞ)

贈る言葉⑧ 言葉を定義しよう

言葉を定義しよう。普段何気なく使っている言葉は特に。

深夜客先作業で、先輩に「サーバ止めて」って言われたよね?
で、某Unixにログインして、shutdownコマンドたたいたよね?
で、サーバの電源が落ちた(これ自体は正常な動き)。
で、先輩に報告したら、ものすごく驚いた顔してたよね?

そう、先輩の言う「サーバ」とは、「アプリケーションサーバ」のことだったんだよね…

いやあ、驚いたね…
物理サーバの電源ボタンがどこにあるかわからなくて、お客様に聞いたよね…

いやあ、冷や汗かいたね…
(良い子はマネしちゃだめだよ)

いや、報連相が足りなかっただけなんだよ?
「shutdownコマンドでサーバ止めればいいですか?」って聞けば、ね。

いや、そもそも作業手順書を準備していれば、ね。

まあ、防ぐ方法はいくらでもあったはずなんだ。
でもまあ、まず、言葉を定義しておこう。
話はそれからだ。

贈る言葉⑨ 何の話か伝えよう

それ、なんの話だっけ? って言われること無い?
理由は簡単。何の話か伝わっていないんだ。

上司や先輩に話しかけるときは、何の話かきちんと言おう。
当時の君はよく知らないかもしれないが、上司や先輩はえぐい数の仕事をこなしているんだ(こなしきれているかは別問題)。

A社のプロジェクト(設計中)、
B社のプロジェクト(構築中)、
C社のプロジェクト(テスト中)、
A社の別プロジェクト(別の設計中、製品検証中、クレーム対応中)
D社のプロジェクト(提案中)、
E社のプロジェクト(アフターフォロー)、
自社のXX戦略会議、人材育成会議、来年度の採用計画、技術者交流会の企画、対外セミナーの準備、昇格候補の要員選定、etc

正直、君に何の仕事を振ったのかなんて、覚えていない(けど頭の中のどこかにはある)…

だから最初に話すんだ。
A社のXXプロジェクトのYY製品の検証の件で、「相談」があります(「報告」があります)!!!

その一言で上司/先輩は君に何を頼んでいたか、必死に思い出すから。
(え、思い出さない? じゃあそのまま寝かせとけ)

贈る言葉⑩ 事実と感想を意識しよう

上司や先輩に報告するとき、事実と感想を意識して話そう。
トラブルや障害報告の場合は特に気を付けて話そう。

どこまでが事実なのか。
どこからが(自分の)感想なのか。

例えば、構築中のシステムで動作確認してたとしよう。
想定通りに動かない。
さて、何がおかしいのか?

自分が確認したことは、事実だ。
例えば、XXシステムにTeraTermを使ってID:xxx、パスワード:xxxでログインし、
xxxディレクトリに移動して、xxxコマンドを実行した。
これは事実だ。

その結果、メッセージが出力された。
これも事実だ。

本当ならばこのメッセージは出力されないのに…
これは、事実か? それとも感想か?

仕様書を確認して、このケースではこのメッセージが出力されないことを確認したのであれば、事実だ。
でも、以前こういうケースでは違うメッセージが出力された、気がする、であれば感想だ。

事実の報告の場で、事実っぽい感想を混ぜると危険だ。
判断を誤る可能性がある。
判断を誤ると、トラブルのリカバリが遅れ、最悪、復旧不能になる。

事実と感想を適切に報告しよう。
みんなで幸せになろうよ。

おわりに

書いたものを改めて読み返すと、システムエンジニアだけに通じる内容というよりは、若手社会人が読んでも大丈夫な内容になっている気がします。結局ベーススキルとして求められるものは、こういったものだったりするっていうオチ、なのかもしれません。

98. 更新履歴

  • 2025.09.18 初版

99. EoF(End of File)

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