STEFTR法
AI で行動を解析する技術で、少し古い(2019年)ですが、STEFTR法というのがあります
この手法により、南極海を1日以上かけて数キロメートル移動するペンギンも、線虫と全く同様に解析して、それぞれの行動状態を90%以上の確率で正しく推定することに成功しているそうです
はじめに
最近はスマホやスマートウォッチで、私たちの移動ログは簡単に記録できるようになりました
動物の世界でも、GPSやカメラを使って「どこを移動したか」という記録は簡単に取れるようになっています
しかし、そのデータを見て「なぜその時、そこに動いたのか?」まで分かるのか?
「エサを探していたのか」「ただ休んでいたのか」「目的地へ急いでいたのか」
これまで、移動データ(軌跡)だけからその「行動の意味」までを正確に知ることは、実はとても難しいことでした
今回は、そんな課題を解決するAI技術「STEFTR(ステフター)」について紹介したいと思います
何がすごいのか?
2019年、大阪大学や名古屋市立大学などの共同研究チームが発表したこの技術
ポイントは「位置情報(軌跡)だけで、動物の行動状態を90%以上の確率で当てられる」という点
1. どんな動物にも使える万能選手
このAIのすごいところは、対象を選ばないことです
- シャーレの中を数ミリ動く線虫
- 南極の海を数キロ移動するペンギン
これら全く違うスケールの動物を、同じ仕組みで解析できます。「ミリ単位」でも「キロ単位」でも、動く速さや方向の変化から「いま何をしているか(食事中、移動中、休憩中など)」をズバリ判別できるそうです
2. ビデオも大量データも不要
これまでは、行動の意味を知るにはビデオ映像を解析したり、ディープラーニングのために数百万という膨大なデータが必要だったりしましたが、今回の手法は、「ハイブリッドAI(教師なし学習+教師あり学習)」を使うことで、比較的少ないデータ(数十匹程度)でも高精度な分析が可能とのこと
どんな役に立つの?
この技術を使えば、以下のようなことが期待できます
- 野生動物の生態調査: GPSデータだけで「ここが重要なエサ場だ」「ここは巣だ」と特定できる
- 脳科学の発展: 「経験」や「遺伝子の違い」によって行動がどう変わるかを分析し、それに関連する脳の活動を突き止められる(実際に線虫の研究で成功しています)
- 人間の見守り: 高齢者や子供の移動データから、普段と違う行動パターン(迷子や体調不良など)を検知するシステムへの応用
まとめ
大量のデータによる解析で正確な分析は可能かもしれませんが、大量のデータを取得するのには手間暇がかかります。そういう手間暇を少しでも省ける研究というのも良いですね。少し古い研究ですが、今ならもっと先をいっているような気もしますがどうなんでしょう?