概要
2025年7月、メールソフト「Thunderbird」を使用中の一部環境で、突然メールの送受信ができなくなる不具合が発生しました。
不具合の内容
Thunderbird起動時に「サーバーとの接続がリセットされました」というエラーが表示され、メールの受信ができません。
対応内容
サーバーとの通信時に発生する証明書エラーを回避するため、以下の対応を行いました。
- 受信・送信サーバー名を、証明書が対応する正式なホスト名に変更
- 変更したサーバーの仕様により、ユーザー名をメールアドレスの一部から「メールアドレス全体」に変更
不具合の原因と背景
1.Thunderbirdのバージョンアップ
バージョン128から140への自動更新に伴い、SSL証明書の検証がより厳格になりました。
- Ver.128までは、証明書とサーバー名が一致しない場合でも、ユーザーが例外登録することで通信が可能でした
- Ver.140では、例外登録済みの証明書は継続使用可能ですが、新規登録や証明書の再受信(例外登録)ができない仕様に変更されました
これにより、既存の例外証明書の有効期限が切れたタイミングで突然通信不能になる、「時限的な障害」が発生することになります。
2.独自ドメインを使っている
メール設定のサーバー名に独自ドメインを使えたことが原因だった。
- 従来、独自ドメインを使用する場合、メールサーバーに独自ドメインを設定できていました
- 共用型レンタルサーバーではSSL証明書が独自ドメインに対して発行されていません
- 証明書はホスト名が一致しないと無効になるため、メールソフトにはレンタルサーバーで用意されているホスト名を設定する必要があります
- プロバイダから発行されているメールアドレスも同様に設定を見直す必要があります
今後の注意点と対策
今回の不具合はThunderbirdだけでなく、他のメールソフトでも発生する可能性があります。
メールソフトのセキュリティ強化により、これまで許容されていた設定が使えなくなっていく傾向にあるためです。
- メールサーバーの設定は、独自ドメインではなく証明書が発行されている正式なホスト名を使用すること
- 証明書のエラーに「例外登録」で対応している場合は、将来的に通信不能になるリスクがあるため、恒久的な対応に切り替えること
設定変更方法や現在のサーバー名がわからない場合は、レンタルサーバーなどメールサービス提供元に確認することをおすすめします。
メール設定方法のページが更新されて、サーバー名が変わっていることが多いようです。
以上、参考になれば幸いです。