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第1世代:ルールベースAI(エキスパートシステム)

ルールベースAIの概要

ルールベースAIは、あらかじめ定義された知識や推論規則を用いて問題を解く人工知能である。代表的なものがエキスパートシステムであり、特定分野の問題解決に特化している。

エキスパートシステムの構成

知識ベース推論エンジンの2つで成り立っている。

知識ベース:専門知識や規則、事実を蓄積したデータベース。「if~then~」形式で知識を整理する。
推論エンジン:知識ベースを参照して問題解決や判断を行うシステムの頭脳である。

歴史と代表例

DENDRAL (1965年)
化学分子の構造推定を目的に開発。開発者エドワード・ファイゲンバウムは「エキスパートシステムの父」と呼ばれる。

MYCIN (1972年)
医療診断に応用。細菌感染症の診断において正答率約65%を達成。

Watson(2011年)
IBM開発。自然言語処理を用い、クイズ番組「Jeopardy!」で人間のチャンピオンに勝利。

特徴と課題

ルールベースAIは、知識をあらかじめ定義するため、未知の状況や複雑な現実世界には柔軟に対応できない。しかし、明確なルールがある問題においては人間の専門家に近い推論能力を示すことが可能である。

第2世代:機械学習

機械学習の概要

機械学習は、データを基にモデルがパターンを学習する手法である。特徴量(入力変数)を抽出・加工してモデルに与える特徴量エンジニアリングが重要な前処理となる。

特徴量エンジニアリング

特徴量とは、対象データの特徴を定量化したものであり、DataFrameの各列に相当する。欠損値は平均値などで補完するか、行や列ごと削除する。特徴量の質はモデル性能に直結する。

学習手法

教師あり学習(ラベル付きデータを使用)、教師なし学習(ラベルなしデータからパターン抽出)、強化学習(環境との相互作用で報酬最大化)などが存在する。

学習方法 入力データ 学習の目的 代表的な手法 利用例 特徴
教師あり学習 ラベル付きデータ(正解付きの例) 入力と出力の関係を覚えて、正しい答えを予測できるようにする 回帰(数値を予測)、分類(種類を判別)、決定木、ランダムフォレスト 画像認識(猫か犬か判別)、スパムメール判定、売上予測 正解があるので学習の結果がわかりやすい。ただし正解データを作るのに手間がかかる。
教師なし学習 ラベルなしデータ(正解がないデータ) データの中のパターンやグループを見つける クラスタリング(似たものをまとめる)、次元削減(データを見やすく整理) 顧客の分類、異常の発見、データの可視化 正解がなくてもデータの特徴を見つけられる。ただし結果の意味を考えるのが少し難しい。
強化学習 行動と結果のデータ(環境とのやり取り) 行動を選んで得られる報酬を最大化する方法を学ぶ Q学習、Deep Q-Network(DQN) ゲームAI、ロボットの自動操作、広告の最適化 正解はないが、試行錯誤で少しずつ上手になる。計算や時間がかかることがある。

技術面・社会面の要因

技術面では、特徴量設計やモデル選択、過学習への対策が重要であった。社会面では、データの収集・管理や、AI導入コストの高さがブームの制約となった。

第3世代:深層学習

ディープラーニングの概要

深層学習は、多層ニューラルネットワーク(入力層・中間層・出力層)を用いて特徴を自動抽出する学習手法である。十分な学習データがあれば、従来は人手で設計していた特徴量をモデルが自動的に学習する。

主なモデル

  • CNN(畳み込みニューラルネットワーク):画像認識や動体検知に用いられる。畳み込み層で特徴抽出、プーリング層で特徴分析を行う。

  • RNN(再帰型ニューラルネットワーク):時系列データや自然言語処理に適用。過去の情報を内部状態として保持し、連続データのパターンを学習する。

復活の理由と技術的背景

2006年以降、ReLU関数、Dropout、GPU計算、ビッグデータの普及により、多層パーセプトロンで問題となっていた過学習や勾配消失の課題が克服され、ニューラルネットワークの再評価が進んだ。

社会面の背景

スマートフォンの普及、クラウドサービス、オープンソース化により、深層学習の利用が企業や研究現場で広がりやすくなった。

データ駆動の世界

ルールからデータ中心への変化

従来のAIは人間が定めたルールを基に動作していたが、現代AIは大量データからパターンを学習するデータ駆動型に変化している。

メリットと課題

データ駆動型では未知の状況にも対応可能となるが、データの偏りや質の問題、モデルの解釈性といった課題も残る。

各世代の成功・失敗要因

世代 AIの特徴 車での例え
第1世代(ルールベース) ルールに従って動作、未知の状況には弱い 手漕ぎ自転車:人間が全て制御しないと前に進まない
第2世代(機械学習) データから学習、特徴量設計が必要 エンジン付き自動車:効率的に進むが操作や燃料はまだ人間が必要
第3世代(深層学習) 多層ニューラルネットで自動特徴抽出、未知データにも対応 自動運転車:データをもとに自ら判断し、自律的に行動可能

参考

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