2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Claude Codeの寄り添いが優しすぎて涙が出た話 〜「言葉より見た方が早いはずです」とAIに気遣われて〜

2
Posted at

何を作っていたか

仕事とは関係なく、家のマシンで趣味の開発をしていたときの話です。

最近ちょっと流行っている(?)Open Knowledge Format(OKF) や「second brain(第二の脳)」まわりを触ってみたくて、自分の知識を貯めていく個人用のナレッジ基盤を作っていました。OKF は Google Cloud が公開しているオープンな仕様で、ざっくり言うと「AIが読める形で知識を書き溜めておく」ためのもの(markdown + YAML でノードを書いていく)です(参考: Open Knowledge Format のご紹介 | Google Cloud 公式ブログ)。それを踏まえて、貯めたノード(概念)どうしのつながりを眺められる可視化を自作していた、という感じです。

AIに気遣われて涙が出た

Claude Code でちまちま開発をしていたら、plan の途中で、AIの方からこんなことを言われました。

この「宇宙っぽくキラキラ」の部分は、言葉より見た方が早いはずです。
ブラウザのタブにモックや比較(2D vs 3D、発光の強さ、配色)を並べながら詰められます。
まだ新しめの機能でトークンを多めに使いますが、やりますか?よければ開きます。

……いや、優しい。

しかもこの提案、こちらの言葉足らずをそっと汲んでくれてるんですよね。というのも、私が最初に出していた指示は、これです。

宇宙とかニューラルNWをイメージしてキラキラさせて

うん、確かにこれはAIも混乱しますね(笑)。「キラキラ」って何なんだよ、という話です。人間同士でも「いい感じにして」で通じないやつ。それを「怒る」でも「勝手に決め打ちする」でもなく、「これは言葉で往復するより、見て決めた方が早いですよ」 と提案してくれた。

地味なんですが、これが結構グッときたんです。

「How」を出さなくても、勝手に一段上で考えてくれる

今までの感覚だと、こういう「見せてほしい」系の動きは、こちらがHowを指定して初めてやってくれるものだと思っていました。

たとえば「モックアップを3案出して」とか、「2Dと3Dで比較して」とか。手段まで人間が決めてから渡す、というのがこれまでの分担でした。

でも今回は違った。「plan を確定させる」という目的に対して、「言葉で詰めるより、視覚化した方が確定が早そう」と、AIが一段上の視点で手段を選んできた。指示されたことをやるんじゃなくて、ゴールに向けた進め方そのものを提案してきたわけです。

思い返すと、これまでの「キラキラさせて」系のやり取りは、だいたいこうでした。「もっとキラキラ」→「そうじゃなくて」→「発光を強く」→「今度は強すぎ」……と、言葉だけで3〜4往復してもまだお互いの認識がズレている。今回はその往復を最初から見越して、「見て選ぶ」の1回で完了できるようにやり方を考えてきた。地味ですが、この判断は効果的だと感じます。

OKして、しばらく待つと──

こんな感じで3案が出てきました。

モックアップ3案

案を選ぶと、追加で配色のバリエーションまで。

配色バリエーション

ちなみに、このモックの実体は Claude が生成した HTML です。ブラウザのタブにそれが並んで表示され、私はそれを眺めて「これがいい」と選ぶ。ここがちょっと面白いところで、Claude Code とタブの間に自動連動は(少なくとも私の環境では)ありません。 クリックした選択が裏で反映される、みたいな仕掛けではなく、私が気に入った案の番号を、チャットで Claude Code に伝え返す、という素朴なインターフェースです。

「なんだ、結局アナログな受け渡しか」と思うかもしれませんが、個人的にはこの割り切りが良いと感じました。凝った双方向連携を作り込むより、「HTMLで見せる → 人間が番号で答える」という一番シンプルで壊れにくい形にしてある。エージェントに任せる部分(生成・提案)と、人間が握る部分(判断・決定)が、きれいに分かれているんですね。

最近は、実装だけじゃなくて仕事の進め方まで考えてくれる。二つの意味で涙、涙です。

ソフトウェアエンジニアとして、正直ちょっと怖い

……とほっこりしている一方で、ソフトウェアエンジニアとしては普通に危機感も覚えます。

お客様と開発をしていても、「AIで画面イメージやモックアップ作ってきました」というのが——しかも、こちらだけでなくお客様サイドから出てくることも——当たり前になってきました。要件をヒアリングしながら、その場で叩き台のUIが出てくる。イメージの擦り合わせが速い。

こうなると、仕事のやり方も、ソフトウェアエンジニアの役割も、確実に変わっていくなと感じます。ただ、「作る人」から「決める人・見極める人」へ、という話自体は、もう随分前に通り過ぎた地点で、いまさら感すらあります。上に書いたような「その場で叩き台が出てくる」くらいのことは、正直もう日常です。

今回ちょっとゾッとしたのは、その先です。AIが肩代わりし始めているのは、もはや「作る」だけでも「決めるための材料を出す」だけでもなく、「どう進めるか」という段取りの部分にまで及んできている。冒頭の「言葉で詰めるより見せた方が早い」は、まさに段取りの提案でした。「決める・見極めるのが人間の仕事」というのはもう当たり前になったとして、その次は「進め方を設計する」ところまでAI側に寄っていくのか──というのが、今回いちばん引っかかった点です。

動き変わりすぎでは?→ 犯人は superpowers でした

とはいえ、そう大げさに構えたところで、そもそもの疑問が残ります。なぜ急に、こんな動きをするようになったのか。 「最近ちょっと気が利きすぎだよな」と思って中を覗いていったら、犯人が分かりました。インストールしていた superpowers です。

superpowers は、コーディングエージェント向けのスキル/開発メソドロジー集です。「コードを書き始める前に一度立ち止まって、何を作りたいのかを聞き返す」ところから始まる、というのがコンセプトになっていて、今回の「モック見せます?」もその流れの一部でした。

Claude Code なら、Anthropic 公式のプラグインマーケットプレイスから入れられます。

/plugin install superpowers@claude-plugins-official

該当のスキルは brainstorming の中の Visual Companion という機能。トリガーはこれだけです。

Offer the visual companion just-in-time — NOT upfront.
The first time a question would genuinely be clearer shown than described,
offer it then (its own message); on approval its browser tab opens for you.
If no visual question ever arises, never offer it.
See the Visual Companion section below.

ざっくり訳すと、「前もって押し付けるな。“言葉で説明するより見せた方が明らかに分かりやすい”という問いが初めて出てきたその瞬間に、単独のメッセージとして提案しろ。視覚的な問いが出てこないなら一度も提案するな」 といった感じ。

「優しさ」の正体は、設計されたプロンプト

ここで一回、正直に立ち止まっておきたいと思います。

私はさっきから「寄り添い」「優しい」と書いていますが、種を明かせば、これはモデルに芽生えた優しさでも、自我でも、創発した知性でもありません。 上のプロンプト1行が仕込まれていて、モデルがそれに沿って動いているだけ、というのが事実に近い説明です。ここを混同すると、「AIが心を持った」みたいな話になって、評価を見誤ります。

ただ──ここからが面白いところなんですが──**「じゃあ大したことないのか」というと、まったくそうは思いませんでした。**

このプロンプトは、動作を1から10まで手順化しているわけではありません。「いつ提案するか」を just-in-time(前もってではなく、まさにその瞬間に)と方向づけているだけ。「今がその“見せた方が早い瞬間”かどうか」の判断そのものは、モデルがその場の文脈を読んで下しているわけです。「宇宙っぽくキラキラ」という曖昧な指示に対して、「あ、これは言葉だと詰まるやつだ」と気づけるかどうか。ここはルールで書き切れる部分ではありません。

つまり私が感じた「優しさ」の正体は、こう整理できます。

よく設計された短いプロンプトが、
モデルが元々持っている「文脈を読む力」を、正しい方向に開放した結果

知性が自然発生したのではなく、もともとある能力の"向き"を、たった1行が変えた。 感動の対象は「AIの心」ではなく、この「向きの変え方」の巧さの方だった、という話です。

そしてこれは、裏を返せば 「1行で向きが変わるなら、こちらが変な向きを与えれば、簡単に望まない方向に走る」 ということでもあります。プロンプトやプラグインを入れるという行為は、モデルにこの"向き"を渡す行為なんだな、と改めて思いました。

評判で入れてました、が

superpowers を入れたきっかけは、「なんか良いらしい」という周りの評判でした。実際、動きが良くなる実感はすぐにあったので、「聞いていたとおり効くな」で満足して、中身のドキュメントまではしっかり読んでいなかったのが正直なところです。

でも、どんな向きを渡しているのかは、渡す前に自分で読んで把握しておいた方がいい。 効果に満足して中身は未読、というのは、便利な反面ちょっと危うい入れ方だったな、と反省しました。

あと、読み込んでいくと気づくのですが、superpowers はデフォルトで テレメトリ(利用状況)を送信します。気になる方は設定を確認しておくとよいです(もちろん Claude Code 本体側の設定も併せて)。

README にはこう書かれています。

Visual companion telemetry
Because skills and plugins don't provide any feedback to creators, we have no idea
how many of you are using Superpowers. By default, the Prime Radiant logo on
brainstorming's optional visual companion feature is loaded from our website.
It includes the version of Superpowers in use. It does not include any details
about your project, prompt, or coding agent. We don't see your clicks or anything
about what you're building. This helps us have a rough idea of how many folks are
using Superpowers and which version of Superpowers they're using. It's 100% optional.
To disable this, set the environment variable SUPERPOWERS_DISABLE_TELEMETRY to any
true value. Superpowers also honors Claude Code's DISABLE_TELEMETRY and
CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFIC opt-outs.

要点だけ言うと、送られるのは「Visual Companion 上に表示される Prime Radiant ロゴを自社サイトから読み込む際に、使っている superpowers のバージョン情報が含まれる」程度で、プロジェクトの中身・プロンプト・どのコーディングエージェントを使っているか、といった情報は送られないとのこと。作者側が「どのくらいの人が、どのバージョンを使っているか」をざっくり把握するためのものです。100%オプションで、SUPERPOWERS_DISABLE_TELEMETRY に真値を入れれば無効化できます。Claude Code 側の DISABLE_TELEMETRY や CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFIC にも従うそうです。

無効化するかどうかは各自のポリシー次第ですが、「知らないうちに何か送ってた」より「知った上で選ぶ」方が気持ちいいですよね。

まとめ

  • プロンプト1行で、エージェントの動きはだいぶ変わる。 今回みたいに「仕事の進め方」まで変わることもある。
  • 感動の正体は「AIの心」ではなく「向きの変え方」の巧さ。 モデルが元々持つ文脈読解力を、短いプロンプトが正しい方向に開放している。だからこそ、変な向きを与えれば簡単に望まない方向にも走る。
  • スキルやプラグインは、ちゃんと読んでから導入しよう。 挙動が変わる=それだけ強力ということでもあるし、テレメトリのような「知っておきたい前提」も入り口に書いてあったりします。

種を明かせば「プロンプト1行」。それでも、たった一言「見た方が早いはずです」で、これだけ体験が変わる。優しさそのものは設計物だけど、その設計に素直に感心してしまった、というのが正直なところです。

2
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?