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【学習法】Google Cloud Professional Security Operations Engineerの対策(メモ)

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【学習法】Google Cloud Professional Security Operations Engineerの対策(メモ)

この記事は、Google Cloudにおける高度なセキュリティ運用に焦点を当てた認定資格「Professional Security Operations Engineer」を筆者が受験しようと思ったため、それに向けて試験の概要、最重要となる技術要素、そして英語試験を乗り切るための頻出単語などをメモ的にまとめたものになります。

【重要】試験は英語でのみ実施されます

本資格は、2025年10月現在、日本語での提供がなく、試験は全て英語で実施されます。技術的な内容に加え、英語で書かれた長いシナリオ問題や専門用語を迅速かつ正確に理解する能力も合否に大きく影響します。※本記事の後半では、頻出の英単語もまとめていますので、私と同様に英語が苦手な方はぜひ押さえてください。


1. Professional Security Operations Engineer 認定資格とは

本資格は、Google Cloudのセキュリティオペレーションの専門家としてのスキルを認定するものです。公式の試験ガイドによると、クラウド環境における脅威の検出、調査、対応の自動化を担当する専門家が対象とされています。

この試験の核心は、以下の2つの統合プラットフォームをいかに実践的に使いこなせるかにあります。

  1. Google Security Operations (Chronicle): SIEMおよびSOAR機能を提供し、脅威検出とインシデント対応の自動化を担います。
  2. Security Command Center Enterprise (SCC-E): クラウド全体のセキュリティリスクをプロアクティブに管理し、脅威の可視化と優先順位付けを行う中心的なハブです。(AWSにおけるSecurity Hubと同等の役割と考えると理解しやすいです)

2. 試験で問われるコア技術と学習のポイント

試験は、単なる知識を問うものではなく、「セキュリティ上の課題を、Googleのどのツールを使って最も効率的・効果的に解決できるか」を問うシナリオベースの問題が中心です。

2.1. Google Security Operations (Chronicle)

① データの取り込みと解析 (Data Ingestion & Parsing)

SIEMの基本であり、最も重要な最初のステップです。

  • UDM (Unified Data Model): 様々なログソースのフィールド名を標準化するスキーマです。例えば、送信元IPアドレスは、ログソースに関わらずprincipal.ipという単一のフィールドで表現されます。これにより、単一のルールで複数のログソースを横断した分析が可能になります。詳細は公式のUDMフィールドリストで確認してください。
  • パーサーの選択:
    • Parser Extension: 既存のパーサーを修正せずに追加のフィールドを抽出・マッピングする機能です。特にJSON形式のログに対し「no-code approach」を用いることで、迅速な対応が可能です。公式ドキュメントでも「既存のパーサーの上にカスタムロジックのレイヤーを適用する」と説明されています。(出典: Using parser extensions
    • Custom Parser: タイムゾーンの調整など、Parser Extensionでは対応できない根本的な修正が必要な場合に作成します。デフォルトパーサーは直接編集できないため、この選択肢となります。
  • ログソースの優先順位付け:
    • 「ユーザーの行動」「ラテラルムーブメント」「権限昇格」といった脅威を検出するためには、IAMログが最も優先されるべきとされています。これはクラウドにおけるID中心の攻撃を理解しているかを示す重要なポイントになります。

② 高度な脅威検出 (YARA-L)

YARA-Lは本試験の最重要トピックです。ログの海から攻撃の兆候を見つけ出すルール言語で、2種類を明確に区別する必要があります。構文の詳細はYARA-L 2.0 Syntaxで学ぶことができます。

  • Single-Event Rule: 「このログ自体が怪しい」という、単一のイベントで完結する脅威を検出します。(例:既知の悪性IPからのアクセス)
  • Multi-Event Rule: 「一連の動き(点と点)をつなぎ合わせると怪しい」という、複合的な攻撃(Chained Behavior)を検出します。高度な攻撃の検出に不可欠です。
    • 構造のキー:
      1. events: 検出したい複数のイベントを定義。
      2. match: イベント間を何で(例: user.userid)、どのくらいの時間で(例: over 15m)関連付けるかを定義。
      3. condition: matchの条件を満たしたイベントの組み合わせが見つかった場合にアラートを発する。

③ インシデント対応の自動化 (Chronicle SOAR)

SOARは、アナリストの反復的な手動タスクを自動化し、対応を迅速化するための機能です。

  • Playbookの設計: 試験では、「時間を費やしているタスク」を特定し、それを最も直接的かつ効果的に自動化するPlaybookを選択する能力が問われます。
    • 例:マルウェア感染時のエンドポイント隔離は、ユーザーに通知するよりも、既存のEDR連携を活用してPlaybookで自動隔離するのが最適解です。

2.2. Security Command Center Enterprise (SCC-E)

SCC-Eは、セキュリティ運用における「事前対応(攻撃される前の防御)」と「事後対応(侵入された後の対処)」の両方を支援する統合プラットフォームです。詳細はSecurity Command Centerの公式ページに記載されています。

  • プロアクティブなリスク管理(事前対応):
    • 攻撃パス シミュレーション: 脆弱性や構成ミスが、どのように重要資産への侵害経路になり得るかを攻撃者視点で可視化します。これにより、修正すべきリスクの優先順位付けが格段に正確になります。
    • CIEM (Cloud Infrastructure Entitlement Management): 過剰な権限を持つユーザーやサービスアカウントを特定し、最小権限の原則を徹底します。調査会社のGartnerはCIEMを「マルチクラウド環境における権限のリスクを軽減する」技術と定義しており、SCC-Eはこの中核機能を提供します。
  • 脅威検出と可視化(事後対応):
    • Event Threat Detectionなどの検出サービスからのFindings(検出結果)を一元的に集約します。
    • マルチクラウド対応: Google Cloudだけでなく、AWSやAzure環境の脅威も一元的に監視できます。
    • AIによる強化: Risk EngineGeminiと統合し、膨大なアラートの中から本当に危険なものを自動で評価・要約してくれます。

2.3. Google Threat Intelligence (GTI)

GTIは単一の製品ではなく、Googleのセキュリティ製品群に組み込まれた世界トップクラスの脅威インテリジェンス能力そのものです。(Google Threat Intelligence 公式ページ

  • 構成要素:
    1. Mandiant: 最前線のインシデント対応経験に基づき、攻撃者グループの戦術(TTPs)など、「誰が、なぜ、どのように」攻撃してくるかという深い洞察を提供します。
    2. VirusTotal: 世界最大級のマルウェアやIOC(侵害指標)のリポジトリ。
    3. Googleの内部データ: GmailやSafe Browsingなど、地球規模のサービスから得られるリアルタイムの脅威データ。
  • SecOpsエンジニアにとっての価値:
    • 自動エンリッチメント: Chronicleのアラートに、関連する攻撃者グループやマルウェアの情報が自動で付与され、調査時間を大幅に短縮します。
    • 高精度な検出ルールの作成: YARA-LルールでGTIのフィード(ATI Fusion Feed)を参照し、「優先度がhigh以上のIOCにのみアラートを出す」といったノイズ削減が可能です。

3. 【重要】試験で出やすい重要英単語・表現集

英語が苦手な方は、以下の専門用語を確実に押さえることで、問題文の読解スピードと正答率を上げることができます。

3.1. SecOps/Chronicle 関連用語

英単語 日本語訳 補足 (試験での使われ方)
Finding 検出結果 SCCなどで見つかった脆弱性や脅威の具体的な結果。
UDM (Unified Data Model) 統合データモデル 異なるログソースのフィールド名を正規化するGoogle SecOpsの仕組み。
Telemetry テレメトリ(データ) ログ、メトリクスなど、システムから収集されるセキュリティデータ全般。
Correlation 相関付け 複数のイベントを共通の属性(ユーザーID、IPなど)で関連付けること。Multi-Event Ruleの核。
Ingestion 取り込み ログデータをSIEMプラットフォームに取り込むこと。
Parser Extension パーサー拡張 既存のパーサーを修正せずに、フィールドのマッピングを追加・変更する機能。
Playbook プレイブック SOARにおけるインシデント対応の自動化ワークフロー。
Triage トリアージ(優先順位付け) 複数のアラートの中から、対応の緊急度や重大性を判断し優先順位を付けること。
Enrichment エンリッチメント(情報付与) アラートに脅威インテリジェンスなどの付加情報を自動で加えること。
Suppression Rule 抑制ルール ノイズとなるアラートを無視するためのルール。検出ロジック(相関付け)ではない。

3.2. 脅威とアクション関連用語

英単語 日本語訳 補足 (試験での使われ方)
Lateral Movement ラテラルムーブメント(横展開) 侵入後にネットワーク内部で他のシステムへ移動しようとする行為。
Privilege Escalation 権限昇格 一般ユーザーがシステム管理者などの高権限を得ようとすること。
IOC (Indicator of Compromise) 侵害指標 攻撃に使われたIP、ドメイン、ファイルハッシュなどの証拠。
Remediation 修復、対策 脆弱性や脅威に対処し、元の安全な状態に戻すこと。
Mitigation 緩和 リスクや損害を軽減するための対策(例:一時的なアクセス制限)。
Isolate 隔離する 感染したエンドポイントをネットワークから切り離すこと。(SOARの自動化の対象)

4. まとめ

Professional Security Operations Engineer 試験は、単なる知識だけでなく、与えられたセキュリティ上の課題に対して「Googleの統合されたセキュリティプラットフォームを使い、どう解決するのが最適か」という実践的な思考力を問うもののようです。

  • 基本の徹底: UDMとパーサーの仕組みを理解する。
  • 検出ロジックの習得: YARA-L、特にMulti-Event Ruleによる相関分析をマスターする。
  • 自動化の思想: SOARが解決する課題(アナリストの負担)を理解し、「自動化の最適解」を選択する。
  • 全体像の把握: SCC-Eが提供するプロアクティブな防御機能(攻撃パス、CIEM等)とChronicleの連携を理解する。

これらのポイントを深く掘り下げ、公式ドキュメント、Skills Boostなど使いながら学習を進めて、合格を目指しましょう!

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