【学習法】AWS/Azure/Google Cloud ゼロから実践するクラウド学習ロードマップ
0. はじめに
この記事の対象読者
- クラウド学習、何から始めたらいいか全然わからない…という方
- Progateやドットインストールは一通りやったけど、次の一歩が踏み出せない方
- 座学はもういい!とにかく手を動かして"作れる"ようになりたい方
TL;DR (3行でまとめ)
- 各クラウドの無料枠と公式の"遊び場"(ラボ)で、お金の心配なく安全にスタート!
- 「サーバーレスWebサイト」みたいな**具体的な"お題"**を決めて、実際に作ってみるのが一番早い。
- 公式ドキュメントとググり力、そして生成AIを相棒に、「調べて→試す」を繰り返す"自走力"を身につけよう!
1. なぜ「手を動かす」学習が最強なのか? 🤔
クラウドの世界は、AWS、Azure、Google Cloudだけでもサービスが数百以上あり、正直、全部の知識を頭に入れるのは不可能ですし、なかなかイメージが付きにくいです。
そこで最強なのが、**「実際にサービスを組み合わせて、動くものを作ってみる」**という学習法です。
- 記憶に定着する!: エラーと格闘しながら作ったものは、絶対に忘れません。(実体験)
- "点の知識"が"線の知識"になる!: 「このサービスは、あれとこう繋ぐのか!」という発見が、全体像の理解に繋がります。
- 何より楽しい!: 自分の作ったものがインターネットの向こう側で動いた時の感動は、最高のモチベーションになります。
この記事では、その「とにかくやってみる」ための具体的なステップと、挫折しないためのヒントを詰め込みました。
2. ステップ1:冒険の準備 🛡️ (環境構築&基礎知識)
さあ、冒険の始まりです!まずは武器と防具を揃えましょう。
2.1 無料アカウント作成と"命綱"の課金対策 💰
クラウド学習で一番怖いのが、意図しない高額請求。これを防ぐ準備が何よりも重要です。
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✅ 無料利用枠に登録しよう!
まずは各クラウドの無料アカウントを作成。これだけで、多くのサービスを一定期間・一定量まで無料で試せます。まさに神制度! -
✅ 【超重要】予算アラートを設定しよう!
アカウントを作ったら、真っ先にこれだけは設定してください。「これ以上使ったらメールで教えてね!」という設定です。これがあなたの命綱になります。(世の中にはこのお金の部分で失敗している方が多いので、しっかり理解したうえで設定しましょう!)- AWS: AWS Budgets を使用して請求アラームを作成する
- Azure: チュートリアル - Azure の予算を作成して管理する
- Google Cloud: 予算と予算アラートの設定
2.2 公式の"遊び場"(学習プラットフォーム)を使い倒す 🎮
各社が提供している学習サイトは、まさに公式の「遊び場」。ですが、ラボ(ハンズオン環境)の利用条件は各社で異なるので注意が必要です。
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Azure: Microsoft Learn (環境によっては一番おすすめかも?)
- 特徴: 多くの学習モジュールで、**完全無料のサンドボックス(ラボ)**が提供されます。一時的なAzure環境がブラウザ上で使え、後片付けも不要。気軽に試せる点で頭一つ抜けています。
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AWS: AWS Skill Builder
- 注意点: ラボの多くは有料サブスクリプション(月額制)が必要です。ただし、無料で見られるデジタルコースも600以上あり、知識のインプットには非常に役立ちます。
- 【期間限定情報】 AWSは re:Invent(毎年11月末~12月頭に開催される巨大カンファレンス)の前後などに、一部の有料ラボを期間限定で無料開放するキャンペーンをよく行います。公式サイトやAWS JapanのXアカウントをチェックしておくと、お得にハンズオンを体験できるチャンスがあります。
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Google Cloud: Google Cloud Skills Boost
- 注意点: こちらも多くのラボは有料サブスクリプションが必要です。ただし、特定のキャンペーンや学習コースの開始時に、期間限定で使える無料クレジットが付与されることがあります。まずは無料の入門コースから始めて、クレジットが手に入ったら興味のあるラボを試すのが良いでしょう。
結論: まずは Microsoft Learnの無料サンドボックスでクラウドの雰囲気を掴み、AWSやGoogle Cloudは無料枠の自分のアカウントでチュートリアルを試す、というのが完全初心者であればコスト面では言い進め方かもです。
2.3 これだけは知っておきたい!ネットワークの超基本 🌐
多くのサービスは、VPC (Virtual Private Cloud) や VNet (Virtual Network) と呼ばれる「クラウド上の自分だけのプライベートなネットワーク空間」で動きます。
考え方:
まずは「インターネットとは隔離された、安全な秘密基地を作るイメージ」と捉えましょう。この基地の中にサーバーなどを配置し、必要な場所だけ「インターネットと繋ぐ門(インターネットゲートウェイ)」や「基地内の部屋割り(サブネット)」を作っていく感じです。
3. ステップ2:作って学ぶ!レベル別・実践テーマ 🚀
準備ができたら、いよいよ実践です。ここでは3つの「お題」を用意しました。興味のあるものからチャレンジしてみましょう!
3.1 テーマ1:サーバーレスで静的なWebサイトを公開する
こんな人におすすめ: Webフロントエンドの知識がある人、サーバー管理から解放されたい人
サーバーの存在を意識せず、HTML/CSS/JSでできたサイトや、簡単なAPIを公開する構成です。
-
イメージ:
- 「まずWebページ(HTMLファイル)を置く場所が必要だな…」→ クラウドのストレージサービスだ!
- 検索キーワード:
AWS S3 静的ウェブサイトホスティング
,Azure Blob Storage 静的サイト
,Google Cloud Storage 静的ウェブサイト
- 検索キーワード:
- 「ユーザーからのアクセスを捌く窓口が欲しいな…」→ API Gatewayを使おう!
- 「お問い合わせフォームの処理とかをさせたい…」→ サーバーなしでコードを実行できる**FaaS (Function as a Service)**が便利そう!
- 検索キーワード:
AWS Lambda チュートリアル
,Azure Functions入門
,Google Cloud Functions とは
- 検索キーワード:
- 「データを保存したいけど、DBの管理は面倒…」→ NoSQLデータベースなら手軽に始められる!
- 検索キーワード:
AWS DynamoDB ハンズオン
,Azure Cosmos DB クイックスタート
,Google Cloud Firestore 使い方
- 検索キーワード:
- 「まずWebページ(HTMLファイル)を置く場所が必要だな…」→ クラウドのストレージサービスだ!
3.2 テーマ2:コンテナでWebアプリケーションを動かす
こんな人におすすめ: Dockerの基礎知識がある人、自分のPCで作ったアプリをクラウドで動かしたい人
自分のPCでDockerを使って開発したWebアプリを、そのままクラウド上で動かす構成です。
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イメージ:
- 「Dockerイメージはできたけど、どこで動かそう…?」→ コンテナ実行サービスを使おう!
- 検索キーワード:
AWS Fargate チュートリアル
,Google Cloud Run クイックスタート
,Azure Container Apps とは
- 検索キーワード:
- 「ちゃんと動いているか監視して、アクセスが増えたら自動で増やしてほしいな…」→ 各コンテナサービスには自動スケーリングやヘルスチェックの機能がある!
- 「本格的なデータベースも使いたい」→ マネージドなリレーショナルDBなら運用が楽ちん!
- 検索キーワード:
AWS RDS チュートリアル
,Azure SQL Database 作成
,Google Cloud SQL 入門
- 検索キーワード:
- 「Dockerイメージはできたけど、どこで動かそう…?」→ コンテナ実行サービスを使おう!
3.3 テーマ3:AIサービスで画像を分析する
こんな人におすすめ: AIや機械学習に興味がある人、難しい理論よりまずAIを使ってみたい人
アップロードされた画像をAIが分析し、「何が写っているか」を判定する仕組みです。数行のコードで未来の技術を体験できます。
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イメージ:
- 「ユーザーが画像をアップロードする場所が必要」→ ストレージサービスだ!(テーマ1と同じ)
- 「画像がアップロードされた"瞬間"に何か処理をしたい」→ ストレージへのアップロードをきっかけにFaaSを動かすのが定石!
- 検索キーワード:
S3 イベント通知 Lambda
,Cloud Storage トリガー Cloud Functions
- 検索キーワード:
- 「画像の中身を分析してくれる便利なAIはないかな?」→ 各社が画像認識AIサービスを提供している!
- 検索キーワード:
Amazon Rekognition 使い方
,Google Vision AI API
,Azure AI Vision とは
- 検索キーワード:
4. ステップ3:"自走力"を鍛える!最強の学習サイクル 🧠
ツールやサービスは変化しますが、「自分で調べて解決する力(自走力)」は一生モノのスキルです。
4.1 "とりあえず"構成図を描いてみる ✍️
いきなりサービスを触り始める前に、**「どんなサービスを、どう繋いで、何を実現したいか」**を簡単な図にしてみましょう。
Draw.io (diagrams.net) のような無料ツールや、パワポ、なんなら手書きのメモでもOKです。
下手でもいいから描いてみることで、「あれ、こことここの繋がり方がわからないな…」という**"自分のわからないこと"が明確に**なり、調べるべき点がはっきりします。
4.2 "ググり力"と"AI活用術"を極める 🧑💻
エラーが出たらチャンスです!以下の方法で調べてみましょう。
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検索キーワードのコツ:
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(サービス名) (やりたいこと)
- 例:AWS Lambda VPC 接続
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(サービス名) 料金
- 例:Amazon S3 料金体系
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(サービス名) ベストプラクティス
- 定番の設計を知りたい時に -
(エラーメッセージをそのままコピペ)
- 意外とこれで解決策が見つかります
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生成AIへの聞き方のコツ (例: Gemini, ChatGPT):
AIは良き相談相手です。ただ「教えて」と聞くのではなく、以下のように背景や目的をしっかり伝えると、的確な答えが返ってきやすくなります。# 悪い例 👎 AWS Lambdaのエラーの直し方を教えて # 良い例 👍 あなたはAWSのエキスパートです。 以下の目的で、AWS LambdaとS3を使おうとしています。 ## 目的 S3バケットに画像ファイルがアップロードされたら、Lambda関数を起動して画像のサイズを変更したい。 ## 困っていること 以下のエラーメッセージが出て、Lambda関数がS3にアクセスできません。原因と解決策を教えてください。 ## エラーメッセージ (ここにエラーメッセージを貼り付ける) ## 実行環境 - Python 3.11 - 関連するIAMロールのポリシー: (ここにポリシーを貼り付ける)
※今だとMCPやConsoleから使える生成AIなどを活用するのもいいかもしれません!
そして忘れてはいけないのが、全ての基本となるのが[公式ドキュメント]です。 結局、一番正確で最新の情報が載っているのは公式サイト。英語でも翻訳ツールを使いながら読む癖をつけると、一気にレベルアップできます。
5. よくある"沼"と"落とし穴" 😵 (アンチパターン)
- 課金アラートを設定せずに放置プレイ: ある日突然、数万円の請求書が…なんてことに。
- エラーメッセージを読まない: 答えはだいたいエラーメッセージに書いてあります!
- "とりあえず動いた"で満足する: なぜ動いたのか、セキュリティは大丈夫かを考えないと、スキルとして身につきません。
- バックアップを取っただけで安心する: 「いざという時に本当に戻せるか?」を試すリストア訓練までがセットです。
6. まとめ
長くなりましたが、クラウド学習の極意はシンプルです。
- ✅ 安全な環境(無料枠+課金アラート)をまず確保する。
- ✅ 小さな成功体験(具体的なお題)を積み重ねて、モチベーションを維持する。
- ✅ 「描く→調べる→試す→また調べる」のサイクルを回して、"自走力"を鍛える。
完璧を目指さず、まずはこの記事のテーマ1からでも、ぜひチャレンジしてみてください。クラウドの世界は、作れば作るほど面白くなります!
Happy Cloud Journey! 👋
7. 厳選!お役立ち参考URL集
ブックマーク必須のリンクをまとめました。困った時はここから探してみましょう。
7.1 公式ドキュメント(全ての基本)
7.2 公式ブログ(最新情報と深い解説)
- AWS Black Belt Online Seminar (SlideShare) (超定番!サービス別の詳細解説)
- AWS Japan Blog
- Azure Blog (Japan)
- Google Cloud Blog (Japan)
7.3 アーキテクチャとベストプラクティス
- AWS Well-Architected フレームワーク
- Azure Well-Architected Framework
- Google Cloud Well-Architected フレームワーク
- AWS アーキテクチャセンター (構成例の宝庫)
- Azure アーキテクチャ センター
- Google Cloud アーキテクチャ センター