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【組織改善のためのプロセスについて】ワインバーグのシステム変革法(ソフトウェア文化を創る) - 13章


記事要約

組織を改善するには、メンバーの行動方針となる組織文化をまず考える。

文化が分かればプロセスに一貫性が出る。

プロセスをメンバーに遵守させたければ、管理層は自分の意思決定をみずから推進せよ。


書籍情報

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注意

この記事は自らの読書体験を可視化するためのものです。

記事タイトル内にある本の内容を正確に描写することは保証しません。


構成

タイトルの本全体および、章について自分なりのまとめを書いていく。

その後、章末の「練習問題」を解くようにした。


本の概要

ソフトウェア開発における品質と生産性向上のための環境をどう作るかについて書かれたもの。

全4巻のシリーズ構成となっており、この本は4巻目。

前3巻までで解説した管理ツールとしての考え方を用いて、組織に健全なエンジニアリングマネジメント(本では工学管理と称していた)を将来にわたり継続できるようにするための方法を述べている。


13章の概要

自分の組織を改善するために管理者に必要な3つの問いについて考察。

3つの問い:

1. 組織のメンバーが行動する方針を決定しているのは何か?

2. これらの行動様式は組織が物事を進める手順(プロセス)にどう影響するか?

3. プロセスはメンバーにどのような影響を及ぼすか?


1. 組織のメンバーが行動する方針を決定しているのは何か?

文化。それを出来る文化があれば、わざわざプロセス化する必要はない。

自然にあいさつができる文化があるのに明文化すると、おかしなことが起きる。

組織の品質文化を決定するのは、顧客の要求や問題の難易度。

適切な文化のパターンを決めることができれば、組織は安定したパフォーマンスを出すことができる。

文化を創造するのはメンバーのリーダーシップ。

リーダーシップが向上すると、文化が向上しなければならないため。


2. これらの行動様式は組織が物事を進める手順(プロセス)にどう影響するか?

プロセスは、文化の違いによって実行の仕方を変える。

プロセスを作るときは、まず文化について理解することから始める。

厳密な品質を要求される文化であれば、厳密なプロセス制御が必要になる。

文化はプロセスについての一貫性をもたらす。

宇宙飛行ソフトウェアを生産する文化では、宇宙飛行士の生還はソフトウェアの無欠陥性に掛かっているとメンバー全員が一貫して理解していた。

生還させるというこのビジョンこそが、この組織を非常に高度なソフトウェア文化パターンに位置づけた。

買収か株式公開を待っているソフトウェア組織では、組織の文化は短期で結果を出すこととなる。

組織の意思決定をするからといって、いつも中長期的視野が求められるわけではない。


3. プロセスはメンバーにどのような影響を及ぼすか?

「プロセス」という言葉はそもそも、組織の階層によって概念が異なる。


  • 経営層


    • 事業の将来を考える役割があるため、プロセス構想、つまり「どうなれるか」を考える。



  • 中間管理層


    • 構想を特定の行動手順に翻訳するプロセスモデル、つまり「どうあるべきか」を考える。



  • 監督管理層


    • モデルをもとに実際に行動する。



実際に行動する際には、上から下りてきた構想を反映したりしなかったりするので、プロセス改善の努力は混乱しやすいものとなる。

管理層が自分から推進しようとしない意思決定は過ちなので、遵守しなくてよい。

顧客数は、設計とデバッグ作業に対する組織のアプローチに影響を及ぼす。

顧客数が膨大なソフトウェアは、少々のバグを出荷しても重大な問題とは捉えない。

その代わり、バグを迅速に修正する文化を創造することにエネルギーを集中する。


練習問題


問題1

読者がプロセスのさまざまな意味の間の差異を示すのに利用できるサーベイを紹介する:


  • ブルックスの法則について聞いたことがあるか?

  • それは何か?

  • ブルックスの法則の背後にあるダイナミックスは何か?

  • 読者があるプロジェクトを管理していて遅れをきたしたときどうするか?

読者の組織にこのサーベイを実施して、回答が回答者の階層によってどう変化するか注視せよ。

結果について論ぜよ。


問題解説

プロセスの認識が組織の階層によってどう違うかを実際に体験してみよ、ということだろう。

サーベイとは、ここでは「調査」と解釈した。


自分の回答

自分の立ち位置は監督管理者に寄っているので、その目線から回答する。

他の階層については、自分の予想で書く。

法則については各層すべて聞いたことはあるものとする。

ブルックスの法則:


遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、さらにプロジェクトを遅らせるだけだ



監督管理層

この法則の背後にあるダイナミクス:

image.png

メンバの数が増えるほど既存メンバの教育負荷は増加し、生産性は下がる。

メンバの数が増えるほど調整の要求も増え、やるべき仕事も増える。相対的に生産性は下がる。

プロジェクトを管理していて遅れをきたしたときどうするか:


  • 新規メンバへの対応


    • テストケース作成、設計とコードのレビュー、ドキュメント更新などの作業を依頼する。



  • 既存メンバへの対応


    • 新規メンバへの仕事の切り出しを行ってもらい、新規メンバへの問い合わせに対応してもらう。



  • 自分自身の仕事


    • 既存メンバへの追加作業工数の確保を中間管理層に打診。

    • 要求の見直し。本質でない要求を削除して作業量を減らすことを中間管理層に打診。




中間管理層

課長とか部長とか、それくらいの立ち位置の人と予想。

この階層の人は「どうあるべきか」を考える役割がある。

この法則の背後にあるダイナミクス:

image.png

プロジェクトに遅れが出たときにどうするか:


  • 要求の見直し。本質でない要求を削除して作業量を減らす。


    • たとえば、最少構成の機能にして、段階リリースできないかを経営層に打診



  • 監督管理者へ、新メンバを考慮した作業割り当てを実施するように依頼。


経営層

社長、それくらいの立ち位置の人と予想。

この階層の人は「どうなれるか」を考える役割がある。

この法則の背後にあるダイナミクス:

image.png

プロジェクトに遅れが出たときにどうするか:


  • 中間管理者と、プロセスモデルについて明確にすることを目的とした話し合いを行う。

  • 明確にしたプロセスモデルによっては、現在のプロジェクトを辞める決断も行う。


    • プロジェクトチームはなるべくそのまま存続させるようにする。




層による考え方の違いについて

層によって見ているものが異なっていることが分かった。

現場のマネージャからすれば、いかに現在のプロジェクトを効率的に終わらせるか?を主眼にするし、

中間管理層や経営層からすれば、プロジェクトの進む方向やプロジェクトの存在意義を問い直して、

なるべく本質のみを残してムダを省くことを考えることになった。

軍隊における戦士と兵法家の関係に似ていると思った。


問題2

システムXのバグについて報道した2週間後に、同じ雑誌が、XXX社は別の企業に買収されたことを報じた。

これはバグに対するXXX社の文化的アプローチの擁護なのか非難なのか論ぜよ。

読者が結論を出すために他にどんな情報が必要か?


問題解説

文化によるアプローチが品質主義か商業主義か、どちらを良しとするのかについて尋ねている。

自身が経営者なのか、現場の人間なのかによって考え方に差異が出ると思われる。


自分の回答

XXX社はシステムXのバグによって別の企業に買収されたが、好意的な買収かどうかはわからない。

別の企業がXXX社の親会社だったら、子会社が不渡りを出す前に合併するということも考えられる。

システムXのバグをXXX社が驚異的な技術力で解消したなら、まったく別の企業にその技術力や人材力を買われて

買収された可能性もある。

企業買収のおもな理由を調べると、どれも今よりプラスの価値を

生み出したいという理由である。そもそも、非難したいのなら企業が買収されたということを報じる必要はないように

思う

というわけで、追加で欲しい情報は2つ:


  1. 買収した企業はXXX社と関係のある企業か?

  2. システムXのバグはどのように解消されたか?


問題3

読者固有の組織についてこの章の冒頭にある三つの問いに答えよ:


  1. 組織のメンバーが行動する方針を決定しているのは何か?

  2. これらの行動様式は組織が物事を進める手順(プロセス)にどう影響するか?

  3. プロセスはメンバーにどのような影響を及ぼすか?


問題解説

自身の組織を省みるための質問。


自分の回答


  1. 組織のメンバーが行動する方針を決定しているのは何か?


    • 自身の行動方針は、「何のためにやるのか?」を確認し、目的を掘り下げること。掘り下げた目的をもとに、アプリケーション開発者として、ソフトウェア開発の原理原則に従って行動する。今のチームにはチャレンジすることを推奨する文化があるが、その分要求や要件、仕様がブレることも多い。よって、「なるべく最低限必要なものを作る」ことを意識している。



  2. これらの行動様式は組織が物事を進める手順(プロセス)にどう影響するか?


    • ウォーターフォール式の開発ではあるが、仕様が変わることがほとんどなので、あらかじめ工程と工程の間にはスケジュールと機能の一覧を見直す時間を設けている



  3. プロセスはメンバーにどのような影響を及ぼすか?


    • なるべく機能の本質を見るようになった。あらかじめ作り直しや変更が発生することを考慮して、「どこが本質なのか」を見ようとすると、それ以外の部分はモジュール化しやすくなることがわかった。インタフェース設計の能力が向上した




問題4

13.4節で、マックス・デプリーはユニークな最高経営責任者だとわたしは書いたが、おそらくその意味はわかりにくかったろう。彼の性格づけをもっとはっきりさせる物語の一つを紹介しよう:


わたしが土地のテニスクラブに着いたのは、高校生の一団がロッカールームから出てきたちょうどその後だった。彼らはヒヨコみたいに後片づけなど気にもしていなかった。迷わずに、彼らのタオルを全部集めてかごに入れた。

ある友人はそれを見ていて、わたしが年来何度も思案してきた問いを投げかけた。

「君は企業の社長だからタオルを拾うのか、それともタオルを拾うから企業の社長なのかね?」



  • 読者はこの問いにどう答えるか?

  • タオル拾いに対するデプリーのプロセスモデルは何か?

  • それはどこに書いてあると思うか?

  • このプロセスモデルの背後にある構想は何か?それはデプリーの企業文化の確立にどのような関係があるか?


問題解説

デプリーが紹介された節では、「何が文化を創造するか?」について書いている。

この節では文化を創造するプロセスは、セミナーなどの社外イベントではなくて、日々の社内実務であると記載されている。

このプロセスをとてもよく把握している人物としてマックス・デプリーは紹介されている。


自分の回答


  • 読者はこの問いにどう答えるか?


    • 「タオルを拾うから企業の社長なのだ」と答える。企業の社長だからタオルを拾うというのは考えにくい。経営者なら、タオルをかごに入れさせる文化を育てるべき。そのために、まず自分でタオルを拾ったのだ(ただ、単純にデプリー自身がきっちりした性格で、タオルが散乱している状況が我慢ならなかっただけかもしれない



  • タオル拾いに対するデプリーのプロセスモデルは何か?


    • 「人にやってほしいことがあるなら、まず自分から動こう」



  • それはどこに書いてあると思うか?


    • 「迷わずに」の部分かと思う。自分の行動にためらいがないことの現れだと感じた。



  • このプロセスモデルの背後にある構想は何か?それはデプリーの企業文化の確立にどのような関係があるか?


    • 「ものごとを自分事として捉える」ということかもしれない。デプリーの企業では、担当者不明の宙ぶらりんなタスクが無いような気がする。また、社員は自分の目の前のことだけではなく、周りの状況も見れるようになっているのではないだろうか




問題5

デプリーのタオル物語と、『コンピュサーブ・ギルドネット』誌1993年5月号に掲載された次の話とを比較対照せよ:


(ある大手航空宇宙企業の)CEOが彼のオフィスから一階に下りるエレベータに乗った。

途中の階で平社員がエレベータに乗り込んでCEOに気づき、一階に着くまでちょっとした会話につきあわせた。

CEOは明らかに平社員につきあわねばならなくなって困惑した。

次の日:

 1. 「CEOの前での行儀作法」というタイトルの覚え書きが全社員に向けて発行された。

 2. 1台のエレベータが毎日ある時間帯に、CEO以外の全員の立入りを禁止すると宣言された。それはCEOがもっともよくエレベータを使用する時間帯だった。


さてところで、この企業はその社歴のなかでもっとも深刻な士気問題を抱えているのを認識し、改善策を求めるプロジェクトチームを編成するに至る。


  • エレベータの乗りかたについてのこのCEOのプロセスモデルは何か?

  • それはどこに書いてあると思うか?

  • このプロセスモデルの背後にある構想は何か?

  • それはこの大手航空宇宙企業の深刻な士気問題とどんな関係があるか?


問題解説

組織の文化によって、プロセスの意味が組織階層ごとに異なって解釈されることを把握する。


自分の回答


  • エレベータの乗りかたについてのこのCEOのプロセスモデルは何か?


    • 自分に不都合がある状態はあらかじめ排斥する。



  • それはどこに書いてあると思うか?


    • 「CEOは明らかに困惑した」「それはCEOがもっともよくエレベータを使用する時間帯だった」



  • このプロセスモデルの背後にある構想は何か?


    • 要するに、なるべく面倒には関わりたくない



  • それはこの大手航空宇宙企業の深刻な士気問題とどんな関係があるか?


    • トップがチャレンジをしないので社員は閉塞感を感じる。

    • やっていることが職権乱用である。

    • もし社員が魅力的な挑戦で成果を残しても、このCEOは自己保身のために成果を横取りする可能性が高い。



もしかして、デプリーとこのCEOは本質的に同じタイプなのではないか。

どちらも、自分のやりたいことをやっているだけとも見れる。

ただし、やっていることの方向性はかなり違っている

自己保身に走ってしまうことが良くないということだけは分かった


問題6

どの管理者もほんとうに13.2.1項の文化像テストを実施できるか?

この問いを読者の文化のもう一つのテストとして使用できる。

その実施について考え、次の質問をせよ:


  • この組織には、わたしにそれができない理由があるか?

  • わたしがそれをうまくできない理由があるか?

  • わたしがそれを、外部から連れてきたある人のように効果的にできない理由があるか?


問題解説

文化像テストとは、以下の手順で行われる:


  1. チームのメンバーそれぞれに自分が認識しているソフトウェア開発プロセスについての大きな図を書いてもらう。

  2. それぞれ図を書き終えたら掲示して、全員でそれについて話し合う。

  3. 図にはかならず一貫したあるテーマが含まれているので、それを探す。たとえば、品質、顧客対応力、チームワーク、管理者への恐怖、乱心、など。それが組織の文化要素となる。


自分の回答


  • この組織には、わたしにそれができない理由があるか?


    • マネージャでもない、一介の開発者である。だれが言う事を聞くのか、という不安。

    • 挑戦を歓迎するといったが、それは組織内の何人かの人間に限られている。チーム内の雰囲気は閉鎖的で、なるべく面倒くさいことには関わらないようにしよう、となっている。



  • わたしがそれをうまくできない理由があるか?


    • どんな図を書くのか分からない。



  • わたしがそれを、外部から連れてきたある人のように効果的にできない理由があるか?


    • 他人を巻き込むためのもっともな理由が思いつかないし、行動できない。



結局、できない理由を並べ立てて行動しようとしないことが自分のダメなところであると痛感するに至る。


問題7

パソコン文化が「旧い慣行はもう新しいツールやシステムには通用しない」というとき、開発者が空のリストを探さないとしても驚くには当たらない。

「旧い慣行はもう通用しない」というのはメタ規則であり、文化的規則についての一つの規則なのだ。

読者の組織で、文化変革の試み(部外者から学習するような)を制限するどんな文化的メタ規則を同定できるか?

どんなメタ規則が文化的変革を可能にするか?


問題解説

空のリスト、という表現がよくわからない。

変化を受け入れる文化とそうでない文化は何が違うか、について質問していると思われる。


自分の回答


  • 文化変革の試みを制限するメタ規則


    • 自分たちの組織は特殊である。



  • 文化変革を可能にするメタ規則


    • 生きているものは変化する。変化しないものは死んだものだ。

    • 動物は動くことに喜びを見出す。