はじめに
前回の記事で EvenG2/R1 を数時間触った感想をまとめました。
その締めくくりに「プラグイン開発に興味がある」と書いたのですが、実際に購入してから4日後に本当にリリースしたので、その記録を残しておきます。
こんなものを作りました
Quick Memo - EvenG2向けメモプラグイン
機能はシンプルです。
- メモ機能: 複数のメモを登録し、グラスの視界で素早く切り替えて確認できる
メモをTodo代わりに使うこともできますが、Todo管理の機能があるわけではありません。「見るだけ」に徹したプラグインです。その理由は後述しますが、これは最初から意図した設計です。
なぜ4日で作れたのか
「よし作ろう」と思い立ったからといって、すぐ形になるわけではありません。
気づいたら、いくつかの要素が偶然揃っていました。
偶然揃った環境
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年11月 | Python自己学習でVS Codeを触り始める |
| 2026年02月 | AI(Copilot)を使い始め、AIとの協働に慣れる |
| 2026年04月 | Claude Codeを試し始める |
| 2026年04月 | PCの故障・買い替えで環境がまるごと刷新される |
| 2026年05月 | 台湾旅行で自動翻訳ニーズを実感し、EvenG2/R1を購入 |
自己学習でコーディングに慣れ、AIツールの使い方を覚え、環境も新しくなって「何か作りたい」気持ちが高まっていたタイミングでした。また「Claude Codeがあればゼロベースでもいけるんじゃないか」という楽観的な理由も大きいです。
なぜプラグインを作ろうと思ったのか
EvenG2のダッシュボードへの不満
EvenG2 は「チラ見」するには本当によくできているガジェットです。視界の端にさりげなく情報を表示してくれる体験は、他にはない良さがあります。
ただ、ダッシュボードの構成に不満がありました。
「すぐ表示」はできるが「すぐ非表示」ができない。
EvenG2 のダッシュボードは、リングを操作するとすぐに表示されます。
これは本当に便利。
問題は非表示にする方です。非表示にするにはダブルタップか、時間経過を待つしかありません。
- ダブルタップ: 誤操作になりやすく、思い通りに認識されないことが多い
- 時間経過: 利用場面によって「ちょうどいい時間」が違う。
急いでいるときは長く感じるし、じっくり読みたいときはあっという間に消えてしまう
意図した通りに「すぐ見て、見終わったらすぐ消す」がスムーズにできないのは、使っていてじわじわとストレスになりました。
クイックリストが使いにくい
純正のダッシュボード内に「クイックリスト」というTodoリスト機能があります。
本当はこんな使い方をしたかったんです。
- 理想
「Hey Even! いまから言うものをクイックリストに追加して!
牛乳3本、納豆3パック、ほうれんそう2、レタス2...」
-> クイックリストに購入リストがずらりと並ぶ
- 現実
「Hey Even! いまから言うものをクイックリストに追加して!」
-> Even AI「言い換えて説明してください」私「()」
-> 登録したい内容ではなく、関係ないものがリストに追加されてしまう
-> クイックリストには登録されず、説明を始める
-> 喋っている途中でEven AIとの会話が終了してしまう
さらに、リングの誤操作で未消化タスクが消えてしまうことも。これらの状況により「自分の欲しいものは自分で作るしかない」という結論に至りました。
開発の時系列
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026/05/09 (金) | EvenG2/R1 購入 |
| 2026/05/12 (月) | Quick Memo の開発に着手 |
| 2026/05/13 (火) | EvenHub へ申請、プラグイン公開 |
購入から申請まで4日。実質の開発期間は2日です。
Even Realities の承認の早さ
申請からたった2時間で承認されました。これもプラグイン公開が早くできた要因の一つです。
プラグイン公開申請から承認まで数日待つのが普通だと思っていたので、この速さには正直かなり驚きました。
AIで検証から承認まで自動化しているのでは?と疑うくらいのスピードです。ただ、夜中に申請したときは2時間以上経っても動きがなかったので、Even Realitiesの方が、人力でちゃんと見ているんだと思いました(笑)
プラグイン設計 - EvenG2の問題をどう乗り越えたか
誤操作を前提とした設計
EvenG2/R1 の最大の問題は誤操作です。
リングを常時装着していると、意識せずに触れてしまいます。特に多い誤操作が「スワイプしたつもり、ダブルタップしたつもりが、タップになる」というケース。
もし編集機能をプラグインに持たせた場合、意図しない編集操作が頻発することは容易に想像できました。実際にクイックリストでも、未消化タスクを誤って消してしまう事が多々ありました。
そこで出した結論が「一切の編集操作をしない」です。
- グラス側は「見るだけ」に徹する
- 内容の追加・編集はスマホアプリ側で行う
誤操作があることを前提として、誤操作が起きても困らない機能に絞る。
これが Quick Memo の設計思想です。
諦めた機能
本当はやりたかったことがあります。
- Microsoft To Do と連携し、タスク内容をグラスで参照したい
- Google Keep と連携し、テキスト内容をグラスで確認したい
ただ、これらは断念しました。
EvenG2 のプラグインは実質 Even Realities アプリ内で Webアプリ(WebView) として動作します。つまり次のようなWebアプリとしての制約がそのまま乗ってきます。
- Android OS内へのファイル操作ができない
- 外部サービスとの連携には、そもそも連携可能かどうか、認証の難しさといった壁がある
- WebViewの制約が思っていたより大きい
特に認証を要する外部サービス連携の実装ハードルは、今の自分には高すぎました。
「まず動くものを出す」を優先して、スコープを絞ることにしました。
Claude Code がゼロベースを可能にした
知らないプラットフォーム向けのプラグインを2日で出せた理由は、Claude Code の存在が大きいです。
EvenHub のプラグイン開発に関する情報はまだ多くなく、「コードを書く - エラーを読む - 修正する」のループを手探りで進める部分が多くありました。それでも Claude Code と一緒に回すことで、詰まる時間を大幅に短縮できました。
重要なのは「何を作りたいか」の解像度を高めること。そこが明確であれば、実装の部分は AI が大きく助けてくれます。
やってみてわかったこと
EvenG2 は「作る側」に回れるガジェット
前回の記事で「完成された製品というよりこれから育っていくプラットフォーム」と書きました。実際にプラグインを作ってみて、その印象はより強くなりました。
標準体験の粗削りさは、裏を返せば「自分で埋めていける余白」です。不満を見つけたら自分で解決できる。エンジニアとしては、むしろ楽しめる素材だと思います。
「技術の壁」は下がっている
私くらいの自己学習中コーダーレベルでも、AIツールをうまく使えば「ゼロから4日でプラグインをリリース」が現実的になっています。
コーディング経験が浅くても、「何を作りたいか」が明確であれば形にできる。この体験は、自分にとってかなり自信になりました。
おわりに
購入から4日でプラグインをリリースできたのは、タイミング・環境・道具がたまたま揃っていたからだと思いますが「やりたいこと」の構想があれば思い切ってチャレンジしてみるのも良いと思っています。なにより「楽しい」です。
EvenG2/R1 に興味があって、プラグイン開発にも関心がある方の参考になれば幸いです。
以上です。
Quick Memo は EvenHub で公開中です。
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本記事は2026/05/17時点での体験談です。
プラグインの仕様やEvenHubの申請フローは、今後変更される可能性があることにご注意下さい。
