最近のOpenBSD(前編)に引き続き、2023年の春にリリースされたOpenBSD 7.3から2024年の秋にリリースされたOpenBSD 7.6までの変更を振り返り、私が特に強く関心を寄せているものを紹介します。なお、サブプロジェクトやPortsの変更は割愛します。
OpenBSD 7.3(2023年4月)
2023年4月10日にリリースされたOpenBSD 7.3はApple M1上でのサスペンドとレジュームをサポートするようになった他、RockchipのRK3566やRK3568上で動作するようになりました。引き続き、OpenBSD/arm64の開発に勢いを感じます。また、Intelの無線LANチップのデバイスドライバの安定性が改善されたのもうれしいところです。
また、セキュリティの向上を目的にpinsyscall(2)とmimmutable(2)が追加されました。
OpenBSD 7.4(2023年10月)
2023年10月16日にリリースされたOpenBSD 7.4はTSOやLROといったパケット処理の一部をNICにオフロードする機能が実装され始め、将来的なスケーラビリティーの向上を見据えてpfsync(4)が書き直されるなど、ネットワーク関連の向上が目覚ましいものでした。
また、CFIを見据えてIBT(amd64)やBTI(arm64)、SSBS(arm64)、PAC(arm64)といった拡張への対応が進められました。
OpenBSD 7.5(2024年4月)
2024年4月5日にリリースされたOpenBSD 7.5ではRockchipやAllwinnerを中心にarm64対応が進みました。また、QualcommのWi-Fi 6に対応したデバイスドライバーも追加されました。
pinsyscall(2)はpinsyscalls(2)に改名され、引数の型と個数にも変更が加えられました。
OpenBSD 7.6(2024年10月)
2024年10月8日にリリースされたOpenBSD 7.6ではarm64にQualcomm Snapdragon X Eliteの初期サポートが導入されました。ただし、このではOpenBSD開発者向けの段階と認識するべきでしょう。
他にも様々なデバイスドライバーが追加されましたが、中でもAMD PSPに対応するためのpsp(4)はSEVとの将来的な連携強化も期待できるものでした。