元Amazonの人気エンジニア、Steve Huynhさんが新しい記事を出した。テーマは「戻せる決断」と「戻せない決断」の見分け方だ。
うれしいのは、この2つを分けるだけで、あわてた決定と後悔が減ること。仕事の道具選びにも、転職にも効く。
原文(2026年9月9日公開)はこちら。
https://alifeengineered.substack.com/p/the-mistakes-you-cant-take-back
目次
- 戻せる決断と、戻せない決断
- 実はベゾスの古い考え。新しいのはどこか
- あわてないための2つの問い
- 決めないことも、ひとつの決断
戻せる決断と、戻せない決断
決断は2つに分けられる。あとで戻せるものと、戻せないものだ。
たとえは「ドア」を使う(この比喩は後で出るベゾス発)。両側に開くドアは、通っても引き返せる。片側にしか開かないドアは、通ったら戻れない。
例で言う。ベビーベッドは、合わなければ返品できる。でも、生まれた子どもは返品できない。同じ「決める」でも重さが違う。
[決める]
├─→ 両側ドア(戻せる)
│ 通る → 合わない → 戻れる
│
└─→ 片側ドア(戻せない)
通る → … → 戻れない
図の読み方。上が戻せる決断で、速く決めてよい。下が戻せない決断で、ゆっくり決める。多くの決断は上側だ。
やっかいなのは、戻せない決断が軽い顔で隠れること。空き部屋を貸すのは簡単に見える。でも一定期間が過ぎると、法律で借り手が守られ、追い出せなくなる。
実はベゾスの古い考え。新しいのはどこか
正直に言う。「両側ドア/片側ドア」も「7割で決める」も、新しい話ではない。
元ネタはAmazon創業者ジェフ・ベゾスさんだ。2015年と2016年の株主レター(投資家への年次の手紙)に書いてある。もう10年ほど前の考えだ。
ベゾスさんの元の主張は、大きな会社向けだった。戻せる決断まで慎重にやりすぎるな、もっと速く決めろ、という警告だ。
Huynhさんの新しさは、向きが逆な点にある。個人に向けて、戻せない決断を軽く見るな、と言う。しかも戻せない決断は、簡単そうな決断の中に隠れている、と足す。この「隠れた片側ドアを見抜く」視点が、今回の持ち帰りどころだ。
あわてないための2つの問い
戻せない決断ほど、なぜか急かされる。Huynhさんは、決める前に2つ問えと言う。
ひとつめは「本当の締め切りはいつか」。多くは思ったより先だ。相手の「今すぐ」に流されない。
ふたつめは「情報は7割そろったか」。ベゾスさんの言葉で、完璧を待たず7割で動け、という意味だ。
Huynhさん自身、台所の工事で最初の業者にほぼ決めかけた。でも評判を調べたら悪評が出て、間一髪で止めたそうだ。
決めないことも、ひとつの決断
いちばん怖いのは、決めずに放っておくことだ。「決めない」も、ひとつの選択になる。
Huynhさんは、不満なのに10年Amazonに残ったことを一番の失敗と振り返る。面接に一度落ちて動くのをやめ、なんとなく残ったという。
自分にどう関係するか。仕事の道具やAIツールを選ぶときは、まず小さく試す(両側ドアにする)。転職や大きな契約は、締め切りと7割を確かめてから決める。
ここは筆者(私)の感想だ。戻せる決断は速く、戻せない決断はじっくり。そう覚えるだけで、日々は軽くなると思う。
出典:
- Steve Huynhさん「A Life Engineered」2026年9月9日
https://alifeengineered.substack.com/p/the-mistakes-you-cant-take-back - ジェフ・ベゾスさん Amazon 2015年株主レター(Type 1/Type 2、片側/両側ドア)
https://s2.q4cdn.com/299287126/files/doc_financials/annual/2015-Letter-to-Shareholders.PDF - ジェフ・ベゾスさん Amazon 2016年株主レター(7割で決める)
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/2016-letter-to-shareholders
今日覚えること
- 決断には「戻せる」ものと「戻せない」ものがある
- 元はベゾスの考え。新しいのは「隠れた戻せない決断を見抜く」視点
- 戻せない決断は、締め切りと情報7割を確かめてから決める
- 決めないことも、ひとつの決断になる