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翌日はこちら:ミームLGTM画像や推しキャラアイコンの社内利用は?フェアユースって?【著作権法】
読書会と著作権
皆さんの会社ではエンジニア同士で集まって読書会(輪読会)を開催していますか?
読書会はやり方によっては著作権者らの権利を侵害してしまう可能性があります。
従来の対面方式だけでなく、リモート・オンラインで開催するときは何に気をつけるべきでしょうか。
具体的な事例で確認していきましょう。
※2022/12/02 ご指摘を受け再調査し大幅に修正しました(許諾無しでできることが増えた)
方式1: 対面で集まり、1冊の紙の本を出席者で回しながら、読み上げる(口述する)
1冊を少人数で回し読みする座談会方式です。
どんなに多くても50名未満とします、現実的には4名以下でしょう。
対面で読み上げるときは「口述権」の侵害にならないように注意しましょう。
出席者が特定できる状態(例えば4名程度の社員のみ)ならば許諾は不要です。出席簿をつけましょう。
逆に出席者が不特定(例えば社外から自由参加可)の場合、原則として著作権者の許諾が必要です。
以下のうち1つでもYESの場合は許諾をとりましょう(著作権法38条)。
- 営利目的である
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業務時間内に読書会を実施する場合は営利目的とみなされる可能性があります
- 一般的な会社は営利組織であり営利目的を持ち営利活動をしているため
- 業務時間外に行う場合でも、営利目的とみなされる場合がありえます
- たとえば 「会社が貸し出すエンジニアリング関係の本に限り、業務外に会社のオフィスを使って、読書会を開催することを認める」というルールに従う場合は営利目的とみなされるかも?
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業務時間内に読書会を実施する場合は営利目的とみなされる可能性があります
- 口述者に報酬を支払う
- 口述者を社外から招くときは報酬を支払うことが多いでしょう
- 口述者が社員の場合、給料は口述に対する対価ではないため、報酬とはみなされません
- 出席者から料金を取る
すべてNOの場合は、許諾不要です。
方式2: 対面で集まり、紙または電子本を前方スクリーンに投影(上映)しながら、読み上げる(口述する)
出席者2名〜100名程度を想定したセミナー方式です。
方式1の「口述権」に加えて「上映権」も関係しますが、どちらもルールは同じです。
それよりも出席者数に注意が必要です。
出席者数が概ね50名未満の場合は、出席者を特定できるならば、許諾は不要です。出席簿をつけましょう。出席者を特定できない場合は原則として許諾が必要です。
出席者数が概ね50名以上の場合には、出席者の特定可否にかかわらずに、原則として許諾が必要です。以下のうち1つでもYESの場合は許諾をとりましょう。
- 営利目的である
- 口述者に報酬を支払う
- 出席者から料金を取る
すべてNOの場合は、(出席者数に関わらず)許諾不要です。
方式3: 対面で集まり、紙または電子本を出席人数分配布または持ち寄り、読み上げる(口述する)方式
出席者2名〜100名程度を想定した学校教科書形式です。
方式1の「口述権」に加えて「複製権」の侵害にならないように注意しましょう。
全員分の本を購入してくれる太っ腹な会社 or 自腹を切れる社員達なら問題ありませんが、毎回そうではないと思います。PDF本などは気軽に電子ファイルをコピー&配布したくなるかもしれません。しかし、紙の本または電子本を「複製」する場合、著作権者の許諾が必要です。
- たまに「私的利用にあたるから許諾なしで複製してよい」と解釈をする方を見かけますが、「私的利用」は「個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」が対象です。ルームシェアをするような親密な間柄ならともかく、会社の同僚と利用する場合は、業務時間内外を問わず、私的利用だと証明することは困難です。許諾を取りましょう。
- 本の一部を抜き出して複製または加工し配布したくなるかもしれませんが、引用の要件を満たしません。許諾を取りましょう。
なお、Kindleでは同一アカウントにログインした最大6台の端末で電子本を共有できますが、個人・家族以外と共有すると利用規約違反(≒複製権侵害)となります。このような電子書籍サービスの利用規約にも注意しましょう。Amazonに個別の許諾は取れないだろうと思いますが、もしどなたか成功したら教えて下さい。
方式4: オンラインで集まり、電子本を画面共有しながら、配信する方式
出席者2名〜100名程度を想定した配信方式です。
オンラインの場合、直接対面で読み聞かせたり上映するわけではないため「口述権」「上映権」は問題になりません。代わりに「公衆送信権」の侵害にならないように注意しましょう。
方式2と同様に出席者数に注意が必要です。
出席者数が概ね50名未満の場合は、出席者が特定できるならば、許諾は不要です。出席簿をつけましょう。ただし、connpass等で社外から参加者を募る場合は、出席者が不特定とみなされる可能性があり、その場合は原則として「公衆送信権」の許諾が必要です。
出席者数が概ね50名以上の場合には、出席者の特定可否にかかわらずに、原則として「公衆送信権」の許諾が必要です。以下のうち1つでもYESの場合は許諾をとりましょう。
- 営利目的である
- 口述者に報酬を支払う
- 出席者から料金を取る
すべてNOの場合は、(出席者数に関わらず)許諾不要です。
なお、電子本に限らず、Qiitaの記事を含む多くのインターネットコンテンツも同様です(パブリックドメインを除く)。上記の「許諾不要」の条件や引用の条件を満たせない場合は、許諾を取りましょう。
ただし、インターネットコンテンツはURLを共有すれば「複製」にあたらないので便利です。
おまけ: 英語の本を和訳して読み上げるのはOK?
まだ和訳出版されていない海外書籍を日本語に翻訳で紹介する方式です。
「翻案権」の侵害にならないように注意しましょう。
「翻訳」する場合、原則として著作権者の許諾が必要です。
ただし、「私的利用」にあたる場合は「翻訳」の許諾は不要ですので、個人的に「翻訳」して学習することは可能です。しかし、その「翻訳物」を読書会で利用することは「私的利用」にあたりません(方式3で説明したとおり)。許諾を取りましょう。
著者が外国に住んでいても、日本で「翻訳」して利用する場合は日本の著作権法を守る必要があります。著作権には「属地主義の原則」により、利用する場所の法律が適用されるためです。
おまけ: 写経はOK?
備忘録として、あるいは読書会開催の証跡として、気になった文・段落・章を抜粋してまとめたいですよね。個々に紙の手帳やPC内のファイルとして保存するだけならば、読書会とは無関係の行為であり私的使用と判断されるでしょうから問題ありません。
しかし、写経した文などを読書会の参加者内で共有したり、Confluence等で社員が誰でも見られるようにすると、「複製権」「翻案権」「同一性保持権」等を侵害する可能性があります。二次利用が許可されていないソースコードも同様です。「引用」などの例外もありますが、毎回条件を満たすのは困難です。安全・安心のために許諾を取りましょう。
まとめ
読書会を慎重に設計すれば、著作権者の許諾なしでの開催も可能です。
しかし、著作権者の許諾があれば、「営利目的」かどうかなどの曖昧さを回避でき、自由度が広がりますので、許諾を取ることをお勧めします。
現代では、Twitterなどで直接著者または訳者に問い合わせる可能です。
出版社に問い合わせる必要はありません(もし必要なら著者または訳者が教えてくれるでしょう)。
許諾と引き換えに以下のような条件が提示されるしれません。双方が納得するまで交渉しましょう。
- 最低○部購入してほしい
- 対価がほしい
- 社外から読書会に参加できるようにしてほしい
- 社外に読書会レポートを公表(宣伝)してほしい
あわよくば、著者または訳者を読書会に招待しましょう。
快く承諾してもらえたなら、敬意と報酬を払いましょう。
逆に、違法コピー等を用いて読書会を開催したならば...
著作権者から訴えられる可能性があるだけでなく、本を書くレベルのエンジニアからは嫌われると心得ましょう😑