算出プロパティとメソッドの違い
Vue.jsの初学者が必ず???となるポイントとして算出プロパティとメソッドの違い
があるかと思いますのでその違いについてまとめます。
今回の主役
computed
算出プロパティは関数で算出したデータを返すことができるプロパティのことです。要はgetterの役割だと思ってもらえれば良いかと思います。
<div id="app">
{{ fullName }}
</div>
var app = new Vue({
el: '#app',
data: {
firstName: 'Sato',
lastName: 'Taro'
},
computed: {
fullName: function() {
return this.firstName + ' ' + this.lastName
}
}
})
methods
先ほどの例だと、メソッドを使っても同じことが実現できます。
<div id="app">
{{ fullName }}
{{ fullNameMethod() }}
</div>
var app = new Vue({
el: '#app',
data: {
firstName: 'Sato',
lastName: 'Taro'
},
computed: {
fullName: function() {
return this.firstName + ' ' + this.lastName
}
},
methods: {
fullNameMethod: function() {
return this.firstName + ' ' + this.lastName
}
}
})
computed vs methods
##算出プロパティとメソッドの違い
computed(算出プロパティ) | methods(メソッド) | |
---|---|---|
記法 | ()不要 | ()必要 |
用途 | getter(setter) | getter, setter |
キャッシュ | される | されない |
記法の違い
computed
「()」は不要 = 引数を伴う処理ができない
methods
「()」が必要 = 引数を使った処理が可能
用途の違い
computed
データの加工を伴った取得(getter) ※1
methods
データの取得に限らず、操作やデータの更新等様々な処理に使用
(※1) 算出 Setter 関数
算出プロパティはデフォルトはgetterのみですが、セッターとしても使用することはできます。
// ...
computed: {
fullName: {
// getter 関数
get: function () {
return this.firstName + ' ' + this.lastName
},
// setter 関数
set: function (newValue) {
var names = newValue.split(' ')
this.firstName = names[0]
this.lastName = names[names.length - 1]
}
}
}
// ...
算出プロパティのキャッシュ
ここからがこの記事のメインとなります。
算出プロパティとメソッドの使い分け方の考えとして、キャッシュの有無があります。
キャッシュ動作の確認
Mathのランダム関数を使ってキャッシュの違いを説明します。
<div id="app">
メソッド
<ol>
<li> {{ getDate() }}</li>
<li> {{ getDate() }}</li>
<li> {{ getDate() }}</li>
</ol>
算出プロパティ
<ol>
<li>{{ date }}</li>
<li>{{ date }}</li>
<li>{{ date }}</li>
</ol>
</div>
var app = new Vue({
el: "#app",
computed: {
date: function () {
console.log("computed");
return Math.random();
}
},
methods: {
getDate: function () {
console.log("methods");
return Math.random();
}
}
});
メソッド
0.523744236259859
0.29754866940841374
0.3024997149055251
算出プロパティ
0.19494595412700444
0.19494595412700444
0.1949459541270044
このように同じMath.random()を使っても、算出プロパティは全て同じ値に対してメソッドは全てバラバラの値になりました。
また算出プロパティは描画は3度していますが、コンソールログには1度しかログが出ていません。
computedはプロパティに依存しない場合は1度しか実行されない
methodsは再描画が起きると常に実行されるのに対して、算出プロパティの処理はプロパティ(this.~)に変化があった場合のみ、再実行されるという性質があります。
要は毎回同じ結果になるなら、1回処理したらいいだろうといった考えです。
これを公式ドキュメントの言葉を使うと算出プロパティはリアクティブな依存関係にもとづきキャッシュされる
と表現できます。
リアクティブデータ
Vueクラスのdataオプションに設定されているデータを、Vue.jsの世界ではリアクティブデータと呼びます。
データの変化を検知して自動的に反映させることができるからのようです。
data: {
sum: 1,
},
computed: {
date: function () {
console.log("computed");
return Math.random() + this.sum; // sumが更新されたら再実行される
}
}
computed: {
date: function () {
return Math.random(); // キャッシュされ2度と実行されない
}
}
キャッシュ機能はこの程度の処理であれば大して変わりませんが、大量の配列データをループして回すコストの高い処理があった場合にパフォーマンスに大きな違いが出ます。
まとめ: 算出プロパティとメソッドの使い分け
算出プロパティ
・ 引数が不要な単純な処理の場合(用途がわかりやすいため)
・ キャッシュが効果的な場面で、処理を高速化させたい場合
メソッド
・ 引数が必要となるような処理
・ あえてキャッシュさせたくない場合、値を常に更新したい場合(先ほどのランダム関数を使った処理など)
・ キャッシュの話がよくわからない場合(よくわからずに算出プロパティを使うと思わぬバグに繋がります)
最後に一言
算出プロパティとメソッドの違いはキャッシュを意識しろ
ってことですね!