この記事はLITALICO Engineers Advent Calendar 2025 カレンダー3の10日目の記事です
はじめに
LITALICO コーポレートエンジニアリング部コーポレートグループに所属している @okamenatto です。
私は社内(主に人事部のみなさん)が使用する人事給与システムの運用保守を担当しています。
皆さんは毎週課題の進捗状況を確認・報告していくような定例MTGをしていますか?
システムの運用保守のお仕事はとにかく課題が盛りだくさん!
毎週なん十件もの課題や問い合わせがあり1000本ノックのように処理し続けていくため、そういった定例MTGでも報告や確認事項が増える増える…そうなってくるとMTG時間も伸びる伸びる…
このマンネリ化しがちな定例MTGをどうにか効率化できないかと考え、ファシリテーターとして試行錯誤し、2時間行っていた定例MTGを平均1時間に縮めることに成功しました。
本記事では、私がファシリテーターとして実践した工夫と、もたらされた効果についてご紹介したいと思います。
1.なぜMTGは長引くのか?非効率な「議論の場」からの脱却
私たちのチームでは週に1回2時間の枠を取った定例MTGを行っていました。
主なアジェンダはその週の進捗を報告していく場だったのですが、話が脱線したり、議論が始まることもあり2時間を超えてしまう日もありました。
・課題1:話が脱線する
・課題2:その場で議論が始まってしまう
・課題3:即座の決定要求(考える時間を与えてしまい、沈黙や議論を生んでいる)
昨年12月、私がこの定例MTGのファシリテーションを務めることになりました。
上記のような3つの構造を変えるべくまずはMTGの目的を明確に絞り込むことにしました。
MTGの目的を「進捗報告と状況確認の場」に絞る
私が最初に行った核となる変更は、MTGを「議論・決定の場」から「進捗報告と状況確認の場」へと役割がシフトするよう意識しました。
2.ファシリテーターとして守った2つのルール
会議の目的を「進捗報告と状況確認」に絞り込んだ上で、ファシリテーターとして徹底したのが、非効率な議論の芽を即座に摘むための以下の2つルールでした。
| 鉄則 | 行動 | 目的 |
|---|---|---|
| 即座の決定要求はしない | 決定が必要な事項は、質問者・回答者問わず、「いつまでに回答が欲しいので検討お願いします」と伝え、その場での結論出しを避ける。 | 相手に考える時間を与え、非効率な議論や沈黙を防ぐ。 |
| 議論の芽を摘む | 検討が必要そうな質問や、パッと思いつかない内容は、「すぐに答えが出なさそうなので、持ち帰って確認します。」と切り上げ、会議のテンポを維持する。 | 時間の浪費となる脱線や不毛な議論を阻止する。 |
これらはただの先送りではなく、次回のMTGで持ち帰った課題の進捗があるかを確認するまでをセットで運用することで、課題の停滞も防ぐようにしました。
3.報告を定型化する「カンペ」の準備
数ある工夫の中で、最も効果的だと感じたのは、「進捗報告の定型化」です。
課題管理ツールで「報告のカンペ」を作成する
MTGで話し合うべき課題は、すべて課題管理ツール(Backlog)に集約されています。
ここに起票された課題をMTGでは1件ずつ確認していくだけの場に徹底していくため
MTG前までに以下のポイントをふまえ進捗を文字に起こししてまとめることを習慣づけました。
| 定型化する項目 | 記載の目的 |
|---|---|
| 課題の概要 / 原因 | トラブルや課題発生の背景を明確にするため |
| 現時点の状況 / 解決方法 | 暫定対応か恒久対応かを明記するため |
| この先の進め方(最も重要) | 相互に認識を合わせ、来週何をするかを明確にするため |
あらかじめまとめておくことで、MTGではこの内容がカンペの役割を果たします。
事前準備で得られたメリット
- 報告に精神的な余裕が生まれた:
事前に文章化することで、報告内容が整理され、当日はそれを読み上げるのみ
まとめる内容も定型化したことで「課題状況をどこからまとめようか」という思考コストが大きく下がり、精神的な負担が軽減 - 会議進行がスムーズに:
ムダな説明が不要になり、円滑に進行
聞いている側も、MTG後に課題管理ツールを見れば報告内容がまとまっているため、見返しやすくなる - 不安の解消とパフォーマンス向上:
報告をまとめる際、最重要視しているのは「この先の進め方」を言語化すること
ここをしっかり言語化しておき定例内で認識を合わせておくことで解決までの道筋が整い、「課題が進まない」という業務上の不安が減りパフォーマンスも向上
4.時間短縮がもたらした「ゆとり」と「価値」
これらの工夫の結果、元々2時間設定されていた定例MTGは現在1.5時間の枠に短縮され、実運用では平均1時間前後で完了するようになりました。
削減された時間が生んだ価値
- 実作業時間の増加: シンプルに削減された約1時間を、会議に参加している全員が自分の作業に使えるようになった
- 進行が予測可能に: 終了時間の不確実性がなくなり、長時間に及ぶ可能性への個人的なプレッシャーが解消された
📝最後に
本記事では、私がファシリテーターとして実践した定例MTGの効率化の工夫をご紹介しました。
この1年で会議の時間を半分に短縮でき、実作業時間を増やすという具体的な成果を出すことができました。
この改善の最大のポイントは、MTGの目的を徹底的に進捗報告と状況確認の場に絞り込んだことです。
そして、その場で議論や決定を求めない2つの鉄則と、報告の事前準備という仕組みを導入することで、脱線と時間浪費の芽を摘み取れるようになりました。
運用保守の仕事は、どうしても「課題を処理する」ことに追われがちですが、定例MTGという「報告の場」の質を見直すだけで、「実作業の質と時間」に大きなゆとりを生むことができます。
もし今、あなたがファシリテーターを務める定例MTGが漫然と長引いているかもと感じたら、ぜひ即座の決定要求を避けるルールや事前準備といった、小さな仕組みから導入を試してみてはいかがでしょうか。