はじめに
この記事は、株式会社スピードリンクジャパン Advent Calendar 2025 の23日目の記事です。
皆さんは、AIをうまく使いこなせていますか?
業務や日常の中で AI を使う場面は増えてきたものの、
「なんだか思った通りに動いてくれない」
「結局、自分で直した方が早い気がする…」
そんなもどかしさを感じている人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、Google AI Studio のビルド機能を使って
服薬管理アプリの PoC(プロトタイプ) を作成した経験をもとに、
- AIにどう指示すると精度が上がるのか
- どんな情報を渡すと「使えるUI」に近づくのか
- 逆に、どんな頼み方をすると詰まりやすいのか
といった 「AI活用の学びと課題」 を中心にまとめます。
目次
作ったPoCの概要
題材にしたのは「スマホで使う服薬管理アプリ」です。
- ホーム画面
- カレンダー(月/週/日)
- その日の服薬タスク一覧
- タスク画面
- 薬の登録・編集
- 設定画面
- 通知設定
- 表示項目のカスタマイズ
今回は「機能を網羅する」よりも、
AIとのやりとりを通じてUIや挙動をどこまで作り込めるかを重視しました。
AIとPoCを作って感じたリアルな課題
実際にAIと一緒にPoCを作ってみて、次のような壁に何度もぶつかりました。
- 修正をお願いしたのに、反映されていない
- UIの「動き」が思っていたものと違う
- 何度説明しても意図がずれる
- 一部は直ったが、別の部分が壊れる
いわゆる「AIあるある」です。
特に多かったのは、
- 複数ファイルにまたがる修正が漏れる
- 動きのあるUI(ピッカー・アニメーション)の認識ズレ
- 「いい感じにして」が一番通じない
という点でした。
質の高い回答を引き出すために意識したこと
1. 自分は「ディレクター」、AIは「実装担当」
AIに丸投げするのではなく、
- 何を作りたいのか
- どこが課題なのか
- どうなったらOKなのか
は 必ず自分の言葉で決める ようにしました。
AIはあくまで「実装を手伝ってくれる存在」と割り切ると、
やりとりがかなり安定します。
ディレクター視点を意識したプロンプト例
以下の点を改善したい。
目的:
スマホで使う服薬管理アプリとして、操作に迷わないUIにしたい。
課題:
・ホーム画面
日付を切り替えても、ハイライトが正しく移動しない
・タスク画面
完了したかどうかが見た目で分かりにくい
理想:
・選択中の日付は必ず強調表示される
・完了したタスクは一目で「終わった」と分かる
2. 課題は画面ごと・機能ごとに書く
抽象的な指示よりも、
- ホーム画面
- タスク画面
- 設定画面
のように 分解して箇条書きすると、回答の粒度も揃いました。
NG/OKの比較例
NG例
ホーム画面もタスク画面も、全体的に使いにくいです。
OK例
・ホーム画面
・日付を変更しても、ハイライトが当日から動かない
・年と月の表示順が不自然
・タスク画面
・編集画面が小さなウィンドウで操作しづらい
・単位は選べるが、1回の量を入力できない
3. 「現状」と「理想」をセットで伝える
「何がダメか」だけでなく、
- 今どうなっているか
- 本当はどうしたいか
を並べて書くと、AIの理解度が一気に上がります。
現状/理想を書いたときの伝わり方の違い
現状:
削除ボタンを押しても、何も起きない。
理想:
削除ボタン押下
→「削除します。よろしいですか?」の確認モーダル表示
→OKで削除実行
4. 動きのあるUIは、文章だけで伝えない
- スクショ
- GIF
- 「この画像のように」
といった 視覚情報を添えると、再現度が段違いでした。
スク
通知時間の選択方法を、
添付した画像のようなドラムロール式に変更したい。
・--:-- をタップするとピッカー表示
・中央の行が選択状態
・保存ボタンに被らないよう、スクロール可能にしたい
5. 大きな変更は1プロンプト1テーマ
一度に頼みすぎると、必ずどこかが抜けます。
- レイアウト変更
- 入力方式変更
- 設定画面連動
などは 分割して依頼した方が、結果的に早く完成しました。
まとめ
AIと一緒にPoCを作ってみて感じたのは、
- 動くものはすぐに出てくる
- でも「使えるUI」にするには、人のディレクションが不可欠
ということでした。
特に重要だったのは、
- 課題を具体的に伝えること
- 現状と理想をセットで示すこと
- 視覚情報を惜しまないこと
です。
次回は、実際のプロンプト・回答・画面の変化を
会話ログベースでそのまま紹介します。
「ここまで作れたのは、どんな指示をしたからか?」を
具体的に追っていく予定です。
最後に
ここまで「どうしたら質の良い回答を得られるのか」をまとめてきました。
PoC作成に限らず、普段の業務や日常生活の中でAIを活用することが増えてきています。
この記事が、今後のAI活用の参考になれば嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
