はじめに
はじめましてogaです。2年ほどAzureメインでクラウドエンジニアをやっていて昨年11月からはOracle Cloud Infrastructure(長いので以後OCIとします)の担当となり絶賛検証中です。
その中で今回お伝えしたいのはOCIのような広まり始めの製品で検証してトラブったとき周りに有識者がいない...どこに聞けばいいんだとなって手が止まってしまった時の対処法です。サポートへの問い合わせ方法のコツを身につけるとOCIの検証が自力でスムーズに進められるようになったためこの場合の対処方法を概要含めてご紹介していきたいと思います。
目次
- OCIクラウドサポートサービスの概要
- 他社クラウドのクラウドサポートサービスの料金
- OCIでのサービスリクエストの上げ方
- ほしい答えが返ってきやすい書き方のポイント
- おわりに
OCIクラウドサポートサービスの概要
まずはOCIの問い合わせができるオラクルのクラウドサポートサービスの特徴についてです、他社クラウドと大きく違うのはOCIのクラウドサポートサービスはクラウドアカウントを作成してから無償トライアル期間中も含め、リソースの利用料金の中にサポートサービスが無料で付属しているところです(一部Always Freeと呼ばれる無償インスタンスを除く)。こちらは他社クラウドだと下記のようなサービス形態なのでクラウドを利用するだけでOracleのエンジニアがトラブルシューティングに協力してくれます。
起票についてはOCIコンソールにログインすると[サポート・リクエストの作成]という項目がありそこからサービスリクエスト(SR)を送信できます(こちらはOCIでのサービスリクエストの上げ方で詳細手順を書いていますので急ぎの方はそちらまでスキップ)。
また、サポートも対応時間を調べてみたところ24時間365日日本語対応とのことなので質の高いサポートを受けることが可能のようです(実際に以前日本語で問い合わせしてみたら翻訳するエンジニアがおりちゃんと日本語でほしい回答が返ってきました)。
サポートの疑問点についてはOracleのサイトにまとめてあったのでこちらを見るとさらにわかりやすいです。
Oracle Cloud サポートについての FAQ
他社クラウドのクラウドサポートサービスの料金
実際に無料だとどれくらい費用削減できているのでしょうか。3大クラウドのAWS,Azure,GCPの現在のサポート料金体系を表にまとめてみてみたいと思います。調べてみたところ2022年2月の料金表比較だと下記になります。
参照
Azureサポートプランの比較
AWSサポートプランの比較
GCPサポートプランの比較
例えば個人でAWSデベロッパープランを使う場合
29USD(月)×12=348USD(年)(120円換算で41,760円)の費用削減となります。
大企業の法人の場合はさらに大きくエンタープライズプランを使う場合
15,000USD(月)×12=180,000USD(年)(120円換算で21,600,000円)の費用削減となります。
また、最近OCIはOracle Support Rewardsという還元キャンペーンをやっているそうです。確認したところOCI画面に項目が追加されていました。
選択すると下記画面にて利用額に応じてリワードが反映される仕組みのようです。
確認できる項目は発生日、有効期限、OCIの使用資格と対象外、未払いの特典、利用済みの特典、残りの特典がありました。
Support Rewardsの詳細は下記サイトに記載があります。
Oracle Support Rewards
この公式情報によるとOCIを利用した対象リソースの利用額の25%~33%をテクノロジー・ソフトウェア・ライセンス・サポート(オンプレミスOracle製品他の資格を持っているサポート契約)の請求額にあてられるそうです。
つまり、サポート費用年額削減+リワード分のライセンスサポート費用(OCI利用額の25%~33%)の減額ができるという形でなんと無償サポート+費用の一部が返ってくる結果です。サポート内容の差異も含めて比較となると思いますがサポート費用だけならOCIのサポートプランは断トツですね。
OCIでのサービスリクエストの上げ方
それでは上げ方をまとめていきたいと思います。SRを上げる方法は2つありそれぞれについてまとめます。
1.OCIコンソールより問い合わせを行う
2.My Oracle SupportよりSRを上げる
まずは1.OCIコンソールより問い合わせを行うの場合です。
(3)必要内容を記入します。
-技術問い合わせなのでテクニカルサポートを選択します。
-問題のサマリーで1行で問い合わせたい課題を書きます。
-問題の説明ではサポートエンジニアに状況がすぐに伝わるように書く必要があります。
上記記載時にはコンソールからの問い合わせはフォーマットがないため詳細に問い合わせを記載する必要があります。
例えば、以下のような形です。
問題の説明テンプレート
①挨拶
②問い合わせたいサービス名
-(例)DBCS(インスタンス名〇〇,ID〇〇)
②サポートエンジニアに実施してほしいこと
-(例)OCIのDBCSインスタンスにバージョン19.〇〇.〇〇のパッチの適用方法を教えてください。
③現在の状況と作業結果
-(例)DBCSのインスタンス〇〇にバージョン19.〇〇.〇〇のパッチを10日12時15分に適用しようとしたところ以下のようなエラーが出ていて適用が実施できておりません。
エラーログ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
④確認したいこと
-(例1)エラーログ:::のようなエラーが出ている場合このエラーを取り除いてパッチを適用する方法があれば教えてください。
-(例2)パッチ適用にかかる必要なプロセスについて事前準備など実施しておくものがあれば教えてください。
⑤質問の背景
-(例)該当インスタンスではエンドユーザー様が業務で利用しており、必要アップデートを〇月〇日までに行わなければサポート切れとなるため今後の利用に影響が出る可能性を確認しています。
現在は旧バージョンのインスタンスで処理を行うことは可能ですが、エンドユーザー様のスケジュール上△月△日までにパッチが適用できなければサポート期限に間に合わない状況です。
切り分け及びエラー対応方法を早期に検討したく、ご協力をお願いします。
⑥締めの言葉
のように詳細を伝えることで必要な回答を少ないやり取りで頂くことができます。
(4)問題の重要度を選択します。
完全な損失の場合は24時間対応で受け付けてくれます。
(6)SRの返信をOCIに登録したEメールへの通知で確認します。
(7)OCI上のサポートセンターにアクセスして更新された回答を確認します。
(8)問題が解決していない場合はコメントから追加質問、解決した場合はクローズ連絡を入れます。
以上がOCI上でサポートリクエストの手順です。
次は2.My Oracle SupportよりSRを上げる場合についてです。
(1)OCIの時にサインアップしたアカウントでログインをします(ログインできない場合はパスワードリセットがおすすめです)。
(2)ログインした後は、My Cloud Supportをクリックします。
(4)サービス・リクエスト言語をJapaneseに変更後、変更の適応をクリックします。画面右上のCloud Supportに切り替えをクリックします。
(7)「技術的サービス・リクエストの作成」画面がポップアップします。
入力項目を詳細に入れていきます。
■サービス・タイプ
ドロップダウンリストから適切なサービスを選択します。
(サービス・タイプにて、問い合わせを実施したいサービスが表示されない場合は、該当するサポートIDでのアクセスが承認されていない可能性があります。)
■サービス名
Cloud Supportにログインしているアカウントに紐づいたサポートIDのサービス名がリストから選択できるようになっています。適切なものを選択してください。
■問題タイプ
問い合わせたい内容を選択します。多くの問題タイプでサブタイプがあります。作成するSRの目的に近いものを選択してください。問題タイプを選択すると、問題タイプにあわせてオプションの質問が下に表示されます。
■問題のサマリー
問い合わせの要旨を簡潔に全角33文字以内で記載してください。
■説明
問題の概要を全角666文字以内で記載してください。
Oracle Cloud Infrastructureコンソール上の操作やアプリケーションのエラーメッセージをお伝えいただくことでより円滑にサポートを行えるケースが多いです。 また、事象が発生した日時がある場合、タイムゾーン(JSTなのかUTCなのかなど)も付け加えて頂けるとスムーズにサポート対応をしてくれます。
■ファイルの添付
より状況を正確に伝えるため状況が確認できるファイルを添付して送信することが可能です。
画像を添付する際は、下記に気を付けると対応が早いです。
・添付するファイルのファイル名にはマルチバイトを含めない
・OCIコンソールの画面ショットは該当部分だけを切り取らずブラウザ全体の情報を送る
(8)作成したSRの確認
登録したメールアドレスにSRが作成された旨の通知や、SR更新の通知が届きます。
SRの状況はCloud Supportのサービスリクエストで確認できます。
内容の確認やサポートへの更新はこちらの画面から行えます。
ほしい答えが返ってきやすい書き方のポイント
サポートエンジニアに問い合わせるときにすぐに対応してもらえる方法をご紹介します。
まず一番気を付けなくてはいけないポイントはたった1つです。
「今何で困っている状況なのかを正確に伝える」これだけで本当にすぐに問題が解決します。
例えば、先ほどのテンプレベースでいくと以下の部分に気を付けます。
①問い合わせたいサービス名
-サービス名やサービスのIDを記載。OSの種類やパッチの適用状況、関連するアプリケーションなどもあるとさらに良いです。
②サポートエンジニアに実施してほしいこと
-より具体的に上記サービスの回避策が欲しいのか。現状の障害を直したいのか。など具体的なアクションのお願いを記載するとレスポンスが早いです。
また、回答が必要な期限を書いて急ぎの場合はすぐに対応してほしい旨を記載することも大切です。
③現在の状況と作業結果
-実施した作業の日次と結果(スクリーンショットやログ)を一緒に送ると正確な回答が短時間で来る可能性が高まります。
④確認したいこと
-その他一緒に確認したい懸念事項も記載します。
⑤質問の背景
なぜその状況になったかを明確に記載します。今までの運用や構築の背景が分かると過去事例などから解答がすぐに作成される場合があります。
主に上記のような点に気を付けると正確な回答が得られます。
初回の質問で大きく変わるので是非実施してみてください。
おわりに
今回初期にOCIを触ったときに躓いた時どうしたかをサポートの概要を含めてまとめて書いてみました。
最初にクラウドを触るときは躓くことが多いのでサポートを活用してみると周りに有識者がいなくても少しずつ使えるようになっていきます。
是非、このやり方を実施してみてください。