トヨタシステムズのエンジニアが語る、社会課題を解決する「モビリティ×AI」のリアル

2025年9月12日(金)、トヨタグループの一員としてモビリティ社会の革新をITで支える株式会社トヨタシステムズ(以下、トヨタシステムズ)で、就活生必聴トークセッションセミナー「現役エンジニアが語る。モビリティ×AI=社会課題の解決へ」が開催されました。
「モビリティ×AI」と聞くと自動運転を想起される方が多いと思いますが、当然ながら取り組み領域はそれだけに留まりません。トヨタシステムズには、クルマだけではないモビリティ社会全体に向けた幅広いフィールドがあり、だからこそできる挑戦があります。
どのように課題を見つけ、事業化まで成し遂げるのか。本記事では、同社現役エンジニア2名と、テクニカルアドバイザーの新井紀子氏によるパネルセッション含む、イベント全体の様子をお伝えします。
イントロダクション:自動車業界を取り巻く環境変化とトヨタシステムズ

まずはイントロダクションとして、トヨタシステムズが属する自動車業界の市場環境について説明がなされました。
上図に挙げられている通り、自動車業界は今、「テクノロジーの発展」「競合企業の変化」「環境問題への対応」など、大きな変革期の渦中にあると言えます。例えば競合企業の変化については、現在、グローバル規模で続々と他業界の企業が自動車産業へと進出しています。IT企業やBYDなどの電池を源流とする企業が、電気自動車や自動運転に取組むニュースなどを目にする機会もあるのではないでしょうか。
これらに加え、最近では電気自動車の成長鈍化や自動車関税の影響など、市場環境が刻一刻と変化しているからこそ、変化に柔軟かつスピーディに対応するべく、ITの利活用がより一層不可欠になってきていると言えます。

そのような状況の中、「トヨタのIT支援」を軸に確固たる基盤を築いてきたトヨタシステムズでは、車両の企画・開発から、生産、物流、販売、アフターサービス、金融事業、それらを支えるITインフラなど、事業領域は全方位にわたっています。
オフィスワークや工場・販売店舗のみならず、これらのサプライチェーンに関わるすべてがIT利活用の対象です。同社では「トヨタグループのビジネス全体を網羅的に担当しているからこそ、その確固たる基盤をもとに、様々なアイデアをもってチャレンジできる環境が揃っている」と強調されました。
目次
新井先生×現役エンジニアによるトークセッション
ここからは、当日のメインパートであるトークセッションの様子をお伝えします。今回は以下の3名が登壇しました。

教育のための科学研究所(一般社団法人) 代表理事・所長

制御本部

メカづくりIT本部
大きな社会貢献でもある「踏切AI画像解析プロジェクト」

―― ここからは、新井先生と現場エンジニアとのトークセッションということで、まずはおひとりずつ、どのようなプロジェクトを担当されているのかを教えてください。
早川:私は、「踏切AI画像解析プロジェクト」を担当しております。全国での「踏切の事故」は年間で250件以上発生しており、その半数以上が、人や車両の直前横断が原因となっている背景があります。列車と自動車が衝突すると非常に大きな事故になるという課題認識がある中で、我々のAIを使って、この課題を解決したいと取り組んでいます。

早川:システムの概要としては、踏切に監視カメラを設置し、その映像をリアルタイムでAIが解析します。危険な状態があったら、列車の停止信号を変えて列車を止めるものになります。踏切は当然屋外にあるため、光や影による誤検知に非常に苦労しました。夜や雨など、様々な天候や条件などに左右されるためです。
例えば、夜の画像で、列車のライトの映り込みを「人」と誤検知してしまった例があります。このような誤検知について、地道に対策をしていきながら、AIの精度向上を図ってきました。

―― トヨタが電車や踏切に関する事故対策に取り組んでいることに驚く方も多いかと思います。そもそも、このプロジェクトはどのようにスタートしたのでしょうか?
早川:元々は、トヨタのテストコースに入ってきてしまう動物と、車両がぶつかるのを防ぐために開発された「動物検知AI」の仕組みから始まりました。当初はトヨタ以外の車両メーカーやタイヤメーカーに販売しようと考えていたのですが、パートナー企業と話をする中で、「鉄道会社さんが踏切の事故で困っている」という事情を伺ったことから、電車や踏切の領域での展開を検討し、現在に至っています。
―― パートナー企業とのご縁もあって始まったのですね。新井先生から見た、本プロジェクトの感想を教えてください。
新井:私がこのシステムを最初に拝見した2017年頃はまだ、テストコースで鹿やウサギを検知するという段階のものでした。それとほぼ同時期に私が別件でTEDに登壇した際に、同じ登壇枠でプレゼンをされた方に「リアルタイム物体検知」で当時すごく注目されていた方がいらっしゃいました。
その方のプレゼンを見て帰ってきた後、すぐに「面白い技術のプレゼンがあったから、見た方が良いよ」と、早川さん含むプロジェクトメンバーにお伝えしたんです。そうしたら、早川さんチームの皆さんが、すぐにその論文を全部読んで実際に試されたあと、「あれでは実際には使えません」と言われました。そのスピード感と深度の深さが衝撃でしたね。トヨタの安心・安全って、それぐらいの精度がないといけないんだと。

新井:この技術は2019年にトヨタの技術開発賞を受賞するくらいすごいものだったわけですが、一方でコースの中にいる動物を検知するだけだとマーケットが限定的だということで、「どうしようか」という話になっていました。そんな中、ちょうどこの踏切の話が出て、「あ、これだ!」と興奮したのを覚えています。
日本には3万強の踏切があって、それらがまだ手つかずだったからこそ、事故が起こっている。まさにブルーオーシャンでしたね。安心・安全や社会貢献という観点はとても大事なのですが、社会貢献を長く続けようと思うと、マネタイズが必須です。マネタイズと社会貢献がちょうど良い具合に交差するのが、踏切での技術の活用だったというわけです。
―― トヨタシステムズがこのプロジェクトに取り組む意義について、先生のお話を受けて早川さんはどんな風に考えていますか。
早川:踏切は「踏切道」と言われ、道路と線路の交差点になっており、先ほどもお話しにあった通り年間250件以上の事故が起こっているくらい、非常に危険な場所です。だからこそ、自動車業界のIT企業である弊社が事故の解決のために取り組むのは、非常に意義があると思っています。トヨタが前提としている「安全の意識」を、当然ながら弊社も受け継いでいますからね。
―― これまでの仕事のお客さまはトヨタグループがメインだったと思うのですが、今回は鉄道会社という、全く業界が違う企業との取り組みでした。その中での難しさや面白さ、やりがいといった点で、何か違いはありましたか?
早川:やはり、企業文化が全然違いました。仕組みを評価するにしても、年単位で時間がかかるのが前提になってきます。そのような文化の違いを乗り越えるという意味でも、鉄道会社のメンバーの皆さまから鉄道の信号の仕組みなどを教えていただきながら、一緒にシステムを作り上げていきました。
新井:鉄道会社さんは、特に今までにないシステムを入れることに関しては、すごく慎重なんですよね。でも、早川さんのコツコツと地道に問題を解決していく姿勢が信頼を醸成していったことで、ご一緒できたんだと感じます。結局、安心安全、信頼に関する思いが、鉄道会社さんとトヨタで一致していたので、信頼し合いながら技術開発をできたと思います。
市場車両の錆分析技術による防錆品質向上プロジェクト

―― それでは続いて、川村さんにもお話を伺いたいと思います。
川村:私からは、市場車両の錆(さび)分析技術による防錆(ぼうせい)品質向上プロジェクト、通称「防錆AIのプロジェクト」をご紹介します。
車は屋外を走ることを前提に作られているため、グローバルで見ると非常に過酷な環境でも走り続けることが求められています。しかし、大部分が鉄でできており、水と酸素が共存すると錆が発生するという問題にさらされ続けてます。最悪の場合、トヨタの品質への信頼を損なってしまう恐れがあるのが、錆の問題になります。

川村:今回の取り組みでは、まず車がどう使われているのかをしっかり情報を集めるために、中古車のオークション会場と連携して、大量の錆の状態を集めるところからスタートしました。集めたデータに対して、トヨタの「錆の匠」の方々がどのように錆を診断しているのかを一つひとつAIのモデルに置き換えていき、最終的には、大量のデータを匠の目と同じような精度で定量化ができる技術を開発しました。これを使って、次の車の仕様を検討したり、危ない車がないかという予兆検知として使ったりといった、様々な使い方に繋げることができました。

川村:今後の展望としては、この技術をさらに発展させ、グローバルに展開していきたいと考えています。また、匠は工場にもたくさんいらっしゃるので、車両生産にもこの技術を展開していきたいと考えております。
―― 「匠の目」の形式知化というキーワードで、こういうAIの活用方法もあるんだなと気づかされました。そもそも、このプロジェクトに目をつけたきっかけは、どのようなところにあったのでしょうか?
川村:私は元々、錆の後工程にある塗装工程を担当しておりました。そこでなかなかクオリティの高いAIができたのでトヨタの上層部の方にアピールしたところ、横に偶然いらっしゃった錆の担当の方が「色も良いけど錆もお願いします」とご相談があり、それをきっかけに取り組み始めました。
―― 新井先生から見て、この防錆AIプロジェクトはどんな風に感じられますか?
新井:私がトヨタシステムズのテクニカルアドバイザーになった最初の年に、このプレゼンを聞かせていただき、すごく驚いたことを覚えています。防錆技術って、砂漠や北極など様々な過酷な環境を走っているトヨタの車だからこそ求められる技術だ、と思いました。
防錆を実現しようとすると、どうしても教師データが必要になるわけですが、普通の会社だとまずできない。でも、トヨタにはグループ会社に該当事業を展開する会社があるので、教師データがすぐに集まったわけです。その点は、グループの大きさの利点と言えます。AIをやってる人たちにとって、何が一番欲しいかというと「データ」なんです。
教師データがないと何も始まらない。世の中にオープンにあるデータではなく、どこかに隠れている、持ってこなくてはならないような良質なデータが欲しいわけです。だからこそ、「このデータが欲しい」と言ったらすぐに動いて収集できる土壌がある点が、何よりも素晴らしいと感じました。

―― データ分析を研究されている学生さんからは、「データの量が企業選びの一番の軸です」「データにアプローチできる環境があるから選びました」といった声もありますからね。
新井:もう一つ感心したのは、本社の上層部が「防錆は絶対必要だ」という技術の勘所を持ってらっしゃることでした。長くメカでやってきた会社は、安全や品質、防錆といった、安心に直結する技術を大切にされています。AIができることの広がりを改めて感じた瞬間でしたね。
―― トヨタシステムズがこの錆の分析に取り組む意義は、どんなところにあるとお考えですか?
川村:一つひとつの技術を作る会社はたくさんあると思います。しかし、錆で困っているという問題に対して、どのようなプロセスや技術を使えば解決できるのかをトヨタのメンバーと一緒になって悩み、都度データをもらいながら地道に繰り返し検証できる点が、トヨタシステムズならではだったのかなと思います。
―― 先ほど早川さんが担当されているプロジェクトの技術が、2019年に技術開発賞を受賞されたとの話がありましたが、この防錆AIも2023年度にトヨタの技術開発賞を受賞されました。先駆けとなった塗装品質予測も、2021年の技術開発賞に輝いています。川村さんご自身として、受賞に繋がった要因や評価されたポイントはどんなところだったと思われますか。
川村:技術開発賞の中でも、IT企業は当社だけでした。トヨタに出入りしているITの会社はたくさんありますが、これだけトヨタの方と一緒になってデータをかき集めて、コツコツと技術を開発し、大きな成果に繋げた。このトヨタシステムズならではの姿勢が評価されたのかなと考えております。また、当然ですが受賞は私ひとりの力ではなく、チームメンバーに非常に恵まれたとも思っています。アルゴリズムを考えるスペシャリスト、2年間実験場に通ってデータを地道に集め続けてくれたメンバー。本当にたくさんのチームメンバーに恵まれたからこそ、実現できたのかなと思います。
「ベンチマーク高成績」と「実際に使える」は別物

―― ここで少し話を変えて、おふたりの苦労や挑戦についてお話を聞いていきたいです。早川さんは誤検知で苦労されたということでしたが、もう少し詳しくお伺いできますか。
早川:踏切は屋外環境でカメラ映像を使うため、季節が変われば影の出方が変わったり、雨が降って光が反射したりと、我々がコントロールできない要因がたくさんあります。そういう時に誤検知が出てきます。
それを人と間違えてしまうと列車を止めるような事態に繋がってしまいますので、いかに誤検知を潰すか。一つひとつデータを集めてAIに学習させるといったことを、ひたすら繰り返しやってきました。地道にデータを集めるのがすごく大事で、そこに時間をかけましたし、苦労したところかなと思っています。
新井:アカデミアだとベンチマークというものがあって、そこで一番良い成績を取ったAIが良いみたいな世界があります。しかし、先ほどお伝えしたとおり、最初に早川さんのところにお話を持っていった時に、「これじゃあダメです。トヨタ品質の安心安全は無理です」と言われました。
アカデミアでベンチマークを前提にしたものと、リアルの世界で安心・安全を載せて走る時に求められる精度のタイプが、全く別ものなんですよね。そこが本当に難しいところだと思います。そして、そこを乗り越えるコツコツさ具合が、現場では求められるわけです。特に踏切のような現場では、例え0.1%の誤検知でも億単位で会社に損失をもたらす可能性があります。だからこそ、最後まで詰めていく粘りが大切だと感じています。
―― 川村さんはいかがでしょうか?
川村:私も早川さんと同様、防錆AIのプロジェクトでのトライアル&エラーが非常に多かったのが印象的です。具体的にお伝えすると、全国で20の会場で車の下部を撮影する取り組みを実施させていただいたのですが、場所によって撮影環境が異なりますし、撮れる映像も全然違います。ですから、それらをチューニングして、匠の目を通して評価した時に妥当なのかどうかを詰めていくのが非常に地道な作業でした。丸4年間、それをやり続けましたね。
―― おふたりとも、以前からAIの知見をお持ちだったのでしょうか?
川村:私は文系の出身なので、入社をするまでAIはおろか、システム的な部分は全く知りませんでした。プロジェクトと関わり始めた頃、ちょうどトヨタの中でもAIが盛り上がりはじめていて、社内勉強会がたくさん催されていたことから、そこに参加して地道に勉強しました。
早川:私も川村さんと同じで、元々は知見も何もなく、会社に入ってちょうどディープラーニングなどが流行り出した時に、機械学習から初めて勉強しはじめました。最初は本当に手探りで、オンライン学習などを通じてキャッチアップしていきましたね。
―― 先生のお考えとして、技術を学ぶところからビジネスに繋げていくうえで、必要な心構えや取り組みはありますか?
新井:実はトヨタシステムズの中に「新井塾」というものがあり、持っている技術に対して「売る側から見て、どういうストーリーだったらマネタイズできるのか」をみんなで考える場を運営させていただいています。おふたりとも、この新井塾を通じてアドバイスをさせていただきました。今ある等身大のAIを使って、会社やグループの中でどのように落とし所を持っていくと持続可能で社会貢献にも繋がり、自分もやり遂げてよかったと思える仕事になるのか。そこを、皆さんに考えてもらっています。
―― 技術だけでもダメだし、思いだけでもダメ。そのちょうど良いバランスを持ちながら、自分でやりきる気概を持って取り組めるものを一緒に探していく、ということですね。
ピンチはチャンス、だからこそトヨタシステムズが面白い

―― おふたりの今後の未来の展望についても教えてください。
早川:まずは国内で、大手の私鉄さんやJRさんなどに広く導入展開をして、踏切事故が減る景色を見たいと考えています。また、鉄道会社さんとのお付き合いを通じて相応のドメイン知識がつきましたので、踏切のAIを活用するにあたってアドバイスができると思っています。そういうコンサルティング的なところも、自分としては目指したいと思っています。
―― 「踏切AIコンサル」というと、もはや第一人者ですね!川村さんはいかがでしょうか?
川村:匠の目をAI化するという考え方を「工場で人が集まらない」という深刻な人材問題に適用して、しっかりとビジネス化していきたいと思っています。このプロジェクトを通じて、現場の方と寄り添って技術も高められるという、非常に良い経験をさせてもらいました。今ではチームを持っているのですが、若手のメンバーにもそのような経験をさせてあげられるようなきっかけ作りや後押しができる存在に、キャリアアップしていきたいと思っています。
―― 技術を突き詰めたい早川さんと、チームで得意なものを組み合わせながら取り組む川村さん。対照的なお二人のお話が聞けて、楽しかったです。新井先生からお二人へ期待されることはありますか?
新井:まず早川さんのプロジェクトについて、一度できたら終わりじゃないかと思っている方もいるかもしれませんが、電動の車いすや電動キックボードなど、踏切に入ってくるものの多様性はどんどんと広がってきています。このようなモビリティの活用が広がれば広がるほど、踏切でのヒヤリハットのパターンも違ってくるでしょう。そういう観点でも、この分野の第一人者として、技術を突き詰めていってほしいなと思っています。
また川村さんのプロジェクトについては、今後はスマート工場に向けたデジタルツイン活用にも取り組むという話があります。今、トランプ政権による政策動向で環境が激変していますが、「ピンチはチャンス」なんですよね。アメリカ国内へとスピーディに工場を建てる必要が出た時に、いかに迅速に建てて、熟練工が少ない中でも精度高くトヨタ品質の車を作っていくか。これを考えると、本当にピンチはチャンスで、やることはいっぱいある感じになっています。トヨタシステムズがこれから担う仕事はまだまだいっぱいあるなと思って楽しみにしています。
―― それでは最後に、本日ご参加の皆さんへメッセージをお願いします。
早川:今回お話しさせていただいたとおり、新規事業という形で新しいチャレンジをしています。トヨタシステムズは、そういうチャレンジの機会を与えてくれる会社だと思っています。自分で提案し切り開いていくと、仕事はどんどんと面白くなりますので、ぜひ、そのように考えていただきたいなと思います。
川村:トヨタシステムズには技術を磨く場所があり、そのためのデータを手に入れるフィールドもあります。ということで、皆さんどんどんバッターボックスに立っていただきたいなと思います。
新井:AIの話になると、「自分は関係ないかも」「DXの仕事しかやっていない」と思う若手社員の方、あるいは「AIを勉強していないとトヨタシステムズでは活躍できない」と思う学生さんもいるかもしれません。でも、実はAI活用には文系的なセンスも必要です。社会に目を向ける気持ちがあれば、技術はチームで補うことができるので、文系理系問わず、活躍できる場があると思います。
本日おふたりからお話があった通り、最初はデータ収集からなんです。データ収集を丁寧にする、DXで人の困り事を丁寧に解決するところから、「何をすれば解決に繋がるのか」という体感が出てくるように思います。
「このデータは良いデータ、このデータは雑なデータ」「このソリューションは良いソリューション」といった体感を身につけるうえでも、最初はやはりDXを真面目にやるところから始まるし、データを取るところから始まるのではないかと思っています。まずは目の前にあるデータを一生懸命見よう、と思ってくださる方だったら、どなたでも本当に大歓迎でお待ちしたいなと思っています。
編集後記
本セミナーを通じて印象的だったのは、AIが「踏切事故防止」や「防錆品質向上」といった、私たちの日常に密接した課題解決に結びついている点でした。華やかな自動運転やロボティクスの陰に隠れがちな“地道な課題解決”こそが、社会を支える技術革新のリアルなんだと、改めて実感します。就活生の皆さまにとっても、未来のモビリティ社会にどう関わるかを考える良いきっかけとなったのではないでしょうか。
取材/文:長岡 武司
撮影:平舘 平