若手に存分に活躍してほしい! TISの育成/採用担当が語る「TISの若手技術人材に対する取り組み」
TIS株式会社(以下、TIS)は1971年の創業以来、様々な業種業態の顧客に伴走して問題解決を進めてきました。現在は会社をあげて技術人材の増強に注力しており、技術専門部隊であるテクノロジー&イノベーション本部(以下、T&I)が中心となって様々な活動に取り組んでいます。
中でも技術人材の「モチベーション層」に位置付ける若手エンジニアへのアプローチに関しては特に精力的に活動しており、未経験であっても技術のスペシャリストをめざせるための支援環境を整えているとのこと。
今回は10年以上にわたって実践している若手技術人材の「育成」と「採用」について、具体的な取り組み内容とその中で得られた知見について、それぞれのリーダーにお話を伺いました。
※T&Iが進める各施策については以下の記事もご参照ください。
▶︎独自の方針と施策でITアーキテクト人材活躍の場を整える、TISの活動戦略を探る
プロフィール
テクノロジー&イノベーション本部 開発基盤センター セクションチーフ
テクノロジー&イノベーション本部 テクノロジー&イノベーション人材採用室 チーフ
新入社員の6割が受講する「プログラミング実践研修」
―― T&Iには様々な部署があると伺っています。まずは、おふたりの所属組織やお仕事内容について、それぞれ教えてください。
平野:私は開発基盤センター(DPC)でセクションチーフを務めています。DPCでは「技術」をキーワードに全社の事業の強化を図ることをミッションとしており、特にアプリ開発領域の施策を担当しています。現在、開発現場の生産性を上げるために様々な施策が動いていますが、それらの中でも私はエンジニアの育成に関する取り組みとして、新入社員を対象にしたプログラミング実践研修や、「モチベーション層」を対象にしたOJT施策を進めています。
瀧沢:私が所属するテクノロジー&イノベーション人材採用室(TIR)では、TISの技術人材採用に向けた活動や、TISにおける技術活動の外部認知向上への取り組み、それら採用活動を通じてTISへ入社し、T&Iへ配属された方々を組織として迎え入れるためのオンボーディングなどを進めています。その中でも私は、技術人材の新卒採用でエンジニアの仕事を知ってもらうためのイベントの企画リーダーを務めています。
―― 今回のテーマは「若手技術人材の育成と採用」ということで、平野さんが進めているエンジニアの育成施策について教えてください。
平野:まずは4〜5月に入社後研修として人事部が主催する共通研修が行われ、そこでITの基礎知識などを学んでいただきます。そこから配属組織に応じて研修が枝分かれしていきます。私たちが主催しているのは「プログラミング実践研修」でして、こちらは1ヶ月半ほどの間に実際の設計書を元にWebアプリケーションを作っていくというもので、今年の実績では新入社員の約6割にあたる165名が我々の研修に参加しています。
―― どのような経緯で始まったのでしょうか?
平野:もともとの始まりはT&Iでの部内教育です。全体の研修だと個別の要素技術の学びだけなので、簡単なアプリを作れるところまで引き上げることを目的に、T&I配属者に向けて独自に実施していました。その内容を他組織にも展開しようとなった2014年以降、全社に向けて募集をかけ始めました。
―― TISでは文理不問で募集・配属していると伺っています。そうすると研修の進捗にも相応の個人差が出てくると思うのですが、そのあたりはどうされているのでしょうか?
平野:おっしゃる通り、学生時代の学びなどによって研修期間中の進捗スピードの差は出てきますが、それはそういうものと捉えています。研修ではある程度の人数をグルーピングして管理しており、各個人の進捗をしっかりと確認しながら研修課題を進めていくような教育カリキュラムになっています。
―― 2014年から全社展開をされているということで、事業部からの反応なども教えてください。
平野:事業部が研修に申し込む動機は様々なので一概には言えませんが、概して、配属後の本質的な指導に割ける時間が増えたという評価をいただいています。最初の1年は覚えなければならないことが沢山ありますよね。TISでは新入社員の1年間を丸ごとOJT期間と位置付けており、先輩社員にフォローされながら日々の業務にあたってもらいます。現場ごとにある固有の決まり事やお作法などの他にプログラミングも教えるとなると相当な負荷になりますが、それをある程度解消できています。また、営業部門などにもニーズがあります。配属後に開発経験を積みにくいため、開発者側の知識や経験を得られる機会として活用いただいていますね。
実践で自走する力を身につけられる研修内容
―― 冒頭で「モチベーション層に対するOJT施策」とおっしゃっていましたが、具体的にどういうものでしょうか?
平野:背景からお伝えすると、社内の各部署にいる優秀なITアーキテクト(ITA)やその卵となるエンジニアを全社的につなげるべく、2022年から組織横断型ITA相互支援体制(UNIITA、読み方:ユニータ)というT&Iの全体施策を進めています。この図(aの枠内)にある通り様々な施策が走っているわけですが、その中の一施策として2023年からスタートしたのが若手技術人材に対するOJTの取り組みになります。
平野:具体的には、事業部に配属された新入社員及び2年目社員の中でも特に技術力向上へのモチベーションが高いメンバーを「モチベーション層」と位置付け、T&Iのデザイン&エンジニアリング部と呼ばれるお客さまとの協業案件を扱う部署を兼務してもらい、2年ほどかけて現場での開発経験などを積んでもらいます。そして技術力が相応に向上した3年目から順次事業部へと帰任し、そこで身につけたスキルを存分に発揮し活躍してもらうという流れになります。
―― 去年からスタートということは、今はまだデザイン&エンジニアリング部で修行中ということですね。事業部からの反応はいかがでしょうか?
平野:受入れ後は対象者の育成状況を3ヶ月ごとに事業部へレポートし、成長の過程を確認していただいています。技術面やヒューマンスキルがどのように向上しているのかがわかり、まだ育成期間の途中ではあるものの、我々の組織を挙げた指導に対し、事業部から感謝のお言葉をいただいています。
―― 具合的にどのような案件に入ることになるのでしょうか?
平野:様々ですね。Webアプリケーションのケースもあれば、モバイル特化のアプリ、APIの開発など多岐にわたります。最終的なアサインはデザイン&エンジニアリング部の案件状況にもよるのですが、前提として本人の希望や、兼務組織の期待なども事前に聞いて反映するようにしています。
―― ここまでプログラミング実践研修とモチベーション層育成の2つのカリキュラムについて伺いましたが、育成施策を設計されている平野さんとして、特に大事にされていることを教えてください。
平野:いざ実践に入り、覚えたスキルや知識を応用する際になるべく困らないような「考え方」を理解してもらうことを意識しています。技術の調べ方や、分からないことを解消するためのアプローチなどを気にしながら習得してもらうようにしていますし、「教えすぎない」ということにも注意していますね。
―― というと?
平野:言われた通りにだけやってプログラムを作るのは、あまり意味がありませんよね。特に昨今では生成AIが発達してきているのでなおさらです。もちろん最初は真似するところからスタートしますが、徐々に情報を少なくしていき、後半では学んだことを引き出して問題を解決できる状態になっている必要があります。そういった状態に辿り着かせるため、指導側としてレールを引いておく部分と自分で考えさせる部分に注意を払って設計しています。
―― そういう意味で「教えすぎない」ということですね。
平野:はい。あとは自身のキャリアイメージと重ね合わせながら研修を進めてもらうことも意識しています。T&Iでは、組織を挙げてエンジニア一人ひとりがめざすキャリアプランや活躍の方向性にかなり目を向けるようにしています。同じことをするとしても、学んでいる本人にとってそれがどう役立っていくのかを、キャリアイメージと重ねながら動機づけるなどの働きかけもしています。
「開発体感イベント」を通じて学生に体験してもらいたいこと
―― 瀧沢さんは冒頭で「新卒向けにエンジニアの仕事を知ってもらうためのイベント企画」を担当されているとおっしゃっていましたが、具体的にどのような内容でしょうか?
瀧沢:「開発体感イベント」というタイトルで、夏と冬にそれぞれ開催しているイベントです。こちらは学生のエンジニア採用におけるミスマッチをなくし、全社での活躍・貢献を期待できる人材を採用することを目的に、学生の皆さまに「チーム開発」の体験をご提供し、併せてTISエンジニアの業務内容を知ってもらうような設計になっています。夏に開催されるのは「チーム開発実践コース」というもので、8〜9月に1週間(平日5日間)かけて「Webアプリ開発」もしくは「モバイルアプリ開発」にチームで取り組んでいただきます。また冬に開催されるのは「開発体感セミナー」で、こちらは11〜2月頃にかけて土日の2日間、Webサイトの開発を進めていただくものになります。
―― こちらはT&Iが独自で取り組んでいるものなのでしょうか?
瀧沢:一昨年まではそうだったのですが、昨年からはTISとしてより多くの体験機会を提供すべく、TISのIT基盤を専門とする部署による「インフラコース」もスタートしています。
―― イベントの規模感はいかがでしょうか。
瀧沢:夏は1開催あたり20名弱の受け入れ人数で、計3回実施しています。冬は1開催あたり30〜40名ほどの受け入れ人数で、今年は5回程度の実施を予定しています。
―― TISエンジニアの業務内容を知ってもらうということで、現場で活躍されている開発エンジニアもアサインされるのでしょうか?
瀧沢:はい、T&Iの若手社員からベテランメンバーまで、様々な方に来ていただいています。基本的には私たちの方で業務調整を進めてアサインしつつ、手を上げていただくケースもありますね。いずれにせよ、しっかりと現場を語ることができるメンバーに入ってもらうようにしています。
―― 様々な学生さんが参加されると思うのですが、イベント設計者として特に意識されていることを教えてください。
瀧沢:就活イベントは山のようにあるので、一つでも多くの学びがあるようなイベントとして存在する必要があり、学生さんにとって何が一番嬉しいことかをいつも心がけながら設計・対応するようにしています。フィードバックもいただくのですが、特にチーム開発実践コースに関しては「チームでものづくりをするのは初めてで、すごく楽しかった」という声を多くいただいています。またスタッフの手厚さを上げてくださる方も多く、現場で活躍する開発エンジニアが終日張りついてくださっているのが大きいと感じています。
―― イベントに参加した後に入社に至った学生さんに、実際に社内で会われることもありますか?
瀧沢:もちろんあります!入社される方のうち、事業部門に配属される方もT&Iに配属される方もおられるのですが、私がもっとも接点が持ちやすいのはやはりT&I配属となる方々です。毎年、T&Iに配属された新入社員を歓迎するイベントがあるのですが、そこで一年ぶりに会ってお話をすると、やってて良かったなと感じます。そのイベントに限らず、日々執務スペースでも話していますね。
「真面目に真摯に」がTISのカラー
―― 今後、どのような方に入社してほしいですか?
瀧沢:技術専門部隊であるT&Iでさえ開発経験や文理は不問です。TISでは熱意のある方が技術経験を積み育つ環境をご用意しているので、エンジニアとして何かに貢献したい、技術習得に対するやる気と熱意/意欲のある方にぜひ来ていただきたいです。
平野:詳細はネットで無料公開しているT&I社員向けドキュメント「しごとのきほん」をご覧いただければと思いますが、TISではOKRs(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)の仕組みを導入しています。ですから高い目標を設定し、自身のスキルセットや仕事上の成果の両方でチャレンジを楽しめる人に、ぜひ来ていただきたいと考えています。あとよく質問される技術面に関しては、T&Iは技術を軸にしている組織だからこそ、特段前提となる知識に制約はありません。瀧沢も申し上げた通り、入っていただいてからきちんと習得できる様々な環境があると自負しています。
―― 最後に、おふたりのTISの好きなところを教えてください。
平野:何個もありますが、まずもって、みんな真面目で良い人です。育成関連の施策を通じて他の部署の方々とも毎日やり取りをするのですが、どの人とお話ししても冷たくあしらわれることがなく、「真面目に真摯に」がTISのカラーだと日々実感しています。
あとT&Iで特にいいなと感じているのは、OKRsも然り、目標とする状態の定義やそこに対するプロセスなど、かなり綿密かつ具体的な内容を求められるので、ある意味でハードルがすごく高いとも感じています。組織長たちの視座が非常に高いので、追いつくために現場社員もかなり頭を使って施策を考えている印象です。「目標として意味のある状態を作るにはどうしたら良いか」をしっかり考える文化が浸透している点も、私としては大きな魅力だと感じています。
瀧沢:人をすごく大事にしてくれる会社だなと思っています。育成面でしっかりと学習機会を提供してくれるし、研修の選択肢も多いです。またキャリアの面でもコンサルタント、ITアーキテクト、PM、データサイエンティスト、営業など本当に様々な選択肢があり、社内の公募制度もあるので、自分のキャリアをしっかりと自分で考えて決めて選択できる点が魅力的だと思います。例えば私の場合、就活生時代では数年のエンジニアを経てコンサルになりたいと考えていたのですが、実際にTISに入社して数年エンジニアを経験したところ、想定していたコンサルのキャリアは自分としては違うなと感じました。そこで社内での選択肢を検討し、結果として今の業務に就いています。キャリアチェンジ含めて非常に柔軟性のある企業だと思います。
編集後記
ネットで無料公開されている「きほんのせんりゃく」にある施策の全体像を見ても、技術人材をものすごく大事にしている会社であることが分かりますし、だからこそ採用イベントや研修でも、現場エンジニアが積極的に協力しワンチームとなって施策を進めているんだなと感じました。キャリアの選択肢が広く設計されている点も、従業員としては非常に有難いと思います。
取材/文:長岡 武司
撮影:平舘 平
TIS株式会社
テクノロジー&イノベーション本部