この記事は「電通大プログラミング教室 Advent Calendar 2025」の12/6のもので、Qiita限定共有投稿になっています。
挨拶
こんにちは。講師のN.W.です。イニシャルだけで失礼致します。初めてのAdvent Calendarですが、がんばります。
技術者のコミュニティでアドベントカレンダーがあるのは噂には聞いてましたが、まさか自分の身近でこれが行われるとは!という驚きとともに、こういうのは乗っておくのが吉、筆が乗る気分になったので今書いて投稿してしまおうと思いました。
自分が持ってるブログ系のサービスのアカウントで、技術的な話をするならQiitaかな〜と思ったら、Qiitaは呟きみたいなことを書くなら限定共有投稿にしてねというルールがあるみたいで。何かと都合がいいのでこれでいいかと思って書きました。
Antigravityについて
Antigravityは、18歳以下の利用を規約により認めていません。
今回はタイトルにある通り、Antigravityの話を寄稿しようと思います。無重力になりましょう。
というのは冗談で、Antigravityとは、簡単に言うとGoogleが開発した次世代のエディタです。詳しいことはどうせならGeminiに聞いてみましょう。
以下Geminiのセリフです。
GoogleのAntigravity(アンチグラビティ)は、AIエージェントを活用した新しい統合開発環境(IDE)です。
これは、従来のAIによるコード補完やアシスタント機能から一歩進んで、AIエージェントに複雑なプログラミングタスクを自律的に実行させることを目的としています。🚀 Antigravityの主な特徴
- エージェント・ファースト:開発者が複雑なタスクを指示すると、AIエージェント(主にGemini 3 Proモデルを使用)が自ら計画を立て、コードの作成・実行、テスト、検証、ブラウザ操作までの一連の作業を自動的に行う
- 開発環境の統合:コードエディタ、ターミナル、ブラウザなど、複数の環境を横断してエージェントが連携して作業できる
- VS Codeベース:MicrosoftのVisual Studio Codeを基盤として開発されており、使い慣れた開発体験を提供しつつ、AIエージェントに特化した機能が追加されている
- 二つの主要ビュー:
- エディタビュー:従来のIDEのように、コードの編集やAIコードアシスタンスを利用する画面
- マネージャービュー:複数のAIエージェントを管理・統制し、並行してタスクを実行させるためのコントロールセンター
簡単に言えば、Antigravityは、AIに開発タスクを丸投げし、進捗を管理できるようにすることで、開発のワークフローを根本的に変革することを目指したプラットフォームです。
要は最後の一文に集約されています。「AIにタスクを丸投げして開発できるプラットフォーム」です。我々は指示を出してコーヒーを飲む、AIは出されたタスクを忠実に行うという感じですね。ここからは、実際にどう使ってるか、使った感想はどうかを書いていこうと思います。(インストールなどはGeminiに聞けばわかるので割愛します。すみません。)
どう使ってるか
コーディング
私は今大学院で研究をしていますが、Antigravityにはもっぱら研究の相方になってもらってます。私がやることは以下の通りです。
- 解決したいタスク・問題点を用意する
- どういう方向性で解決したいのかを考える
- 1と2で考えたことをAntigravityのチャット部分に書き込む
ここまでやると、Gemini 3 ProなどのAIが必死に解決策を考えてくれます。考えてくれてる間、我々はコーヒーを淹れたりおやつを食べたりSNSを見たりします。
しばらく待つと、AIが、「今回はこのようにしてあなたの課題を解決しようと思います。計画書はこちらです。」と言って、全文英語の計画書を見せてくれます。日本語に翻訳したかったら「日本語に翻訳して」と言う、またはあらかじめ日本語で計画書を書くように指示するとそうしてくれます。
計画書を読んで、自分の意図通りになっていないところがあったらコメントしてReviewを押すと、コメントを反映して新しい計画書を書いてくれます。問題なくなったらProceedを押します。そうすると、AIが必死に実行してくれます。たまに「このコマンドを実行していいですか?」と聞いてくるので、良さそうだったらいいよ〜と言ってボタンをポチ〜っとします。この辺全部自動でやっていいよ〜とするモードもあるのですが、それは怖いのでやってません。
基本的にこのループで進めています。私がやっているのは、結果を見て次に打つ手を考えるという感じです。1と2は今まで通りですが、従来はその次に人力でコーディングするパートが挟まるので、ここで詰まると余裕で1週間消し飛ぶこともありました。今はコーディング部分と実行を外注 (Geminiに)できるので、進捗がバリバリ(当社比)生まれています。
環境整備
全く新しいことを始めたい時にも使えます。最近は修論を書くために、Antigravityに頼んで環境整備をしてもらいました。
修論はLaTeXを使って書く必要があるのですが、LaTeXは環境構築がとても面倒で、大体は、研究室などで秘伝のタレのように継ぎ足しされたものを使い回すか、全てをクラウドに任せるOverLeafを使うかの2択になります。できる限りローカルでやりたい私は、研究室の秘伝のタレを守りつつ、makeコマンドを使って簡単にコンパイルできるようにしたかったので、これらの要件をAntigravityに指示しました。
私がやったのは
- 「修論」という名前のフォルダを用意する
- main.texというファイルを作って「修論」フォルダに保存する
- main.texに研究室の秘伝のタレ(ヘッダや表紙を作るコード)を貼り付ける
- Antigravityのチャットで「main.texをコンパイルできるmakefileを作って」と指示する
これだけです。種を蒔いて水をやると、あとは全部書いてくれます。OSなどの環境依存も考慮してくれるので、自分で調べて作る手間が省けます。めっちゃ快適。
ついでにGitで管理したかったので、それらも全部コマンド打ってもらいました。
中身は自分で書かないといけません。全部AI丸投げ修論はさすがに許されないです。
使った感想
快適。とにかく快適。
まず、コーディングの煩わしい作業からの解放。デバッグも自動でやってくれるし、コメントもつけろと言ったらつけてくれる。解説も全部つく。また、需要に合わせてモデルを選べるから、サクッと書いてほしい時はトークンの無駄遣いを防ぎながらパパッと作ってもらえる。ちゃんと議論もしたいと言えばしてくれるし、今悩んでいることを書くと、「じゃあこの辺が原因かもしれないですね」と提案してくれて、そのまま実行にうつして結果を見せてくれる。単純に今までより手数が増えたと思います。
でも正直、ちゃんとわかってやらないと危険だとも思いましたね。研究で使っていても、実は得られた結果が自分の意図しない動作のもとで得られた結果だったとか、「できました!」と堂々と見せてきた結果が全然思った通りじゃなかったりとかもします。自分の意図がきちんと伝わる文章で、定義もはっきりさせないと、ぼんやりとしたものが返ってくるので、その辺は従来の生成AIと変わらないですね。
最後に
今までのコードアシストは、自分で書いたものの補完という優秀な予測変換の域を脱しないと思っていました。これでも十分すごいと思っていましたが、研究において、方針の相談とか、実行結果の考察とかは、どうしても自分で考えるしかなかったのです。今の時代AIのチャット欄に打てばある程度意見がくるのも本当にすごい話ですが、正直こう思ってました。「実行までまとめて全部AIがやってくれたらな〜」と。Antigravityによって、まさか本当に「お前がやれ」が叶うとは。
じゃあ私たちは一体なんのために勉強したり研究したり、プログラミングをするのでしょうか?私は「それらが出す間違いを正すため」だと思ってます。今の技術ではハルシネーションは避けられないでしょう。事実と違うことを言われていると気づくには、事実を知ってる必要があるんですよね。AIに全部やってもらえることは、怠ける理由にはならないですからね。
以上でAntigravityが楽しすぎた話を終わります。みんなも無重力になろう。
あとがき
実はもう一つネタがあって、そちらは公開にしているので私のQiitaアカウントからもアクセスできるのですが、人数合わせが必要になったらAdvent Calendarにも含めようと思います。
