今年も行ってきました。
3年連続です。
例によって、聴講してきたセミナーの内容を綴っていきます。
実ビジネスで活用する!Google Cloud Platform上に構築するデータ分析基盤
グーグル・クラウド・ジャパン データアナリティクステクニカルスペシャリスト
下田 倫大 氏
ファームノート デバイス開発マネージャー
阿部 剛大 氏
▼0.Google Cloud Platform上のデータ活用によるビジネスイノベーション事例
ファミリーマート
・GCPを活用したデータ集約
・おむすびの発注業務改善
キューピー
・不純物混入検知
AUCNET(中古車オークション)
・クルマの車種分類の精度向上
▼1.データ分析業務の基本
データを集める(データソース)
↓
データを貯める(データレイク):Cloud Storage
↓
データ処理(加工)する(データウェアハウス):BigQuery
↓
データを分析する(データマート):BigQuery
↓
データを可視化する(分析ツール):Cloud Datalab、DataStudio
太字部分はGoogle Cloud
・データレイク
データの種類(構造化データ、非構造化データ、ストリームデータ(IoT機器からのログなど)、バッチデータ)を問わずにデータを集約する環境
安く保存したい、なくならない環境であることが重要
AWSで言うところのS3のような単なるファイルストレージかなと思いましたが、+αな感じっぽいです。
・データマート
分析ツールが利用しやすい形でDWHからさらに整形して出力
▼2.データ分析基盤としてのGCP
・運用コストが低く分析作業に集中できる
主にインフラ周りの整備に工数が割かれるところを、フルマネージドサービスのGCPを使うことで分析作業に集中できるというお話し
▼3.事例:ファームノート
このパートは、ファームノートの阿部さん
「世界の農業の頭脳を創る」
・Farmnote:牛群管理システム
・Farmnote Color:飼養情報の見える化
データ分析基盤を2017年末からGCP上に構築
Farmnote Color
↓
Farmnote Air Gateway
↓
Fluentd
↓
Cloud Dataflow(Apache Beam)
GCPのメリット
・データ処理のDataflowがよい
・G Suite連携でデータの民主化
・フルマネージドのサービスを活用することで集中すべきことに集中できる
▼4.本日のまとめ
最後は再び下田さん
データ分析基盤のリファレンスアーキテクチャ
所感
これだけ見ると確かに便利だよなあとは思いますが、多分AWSやAzureでも同じことできるんだろうなあと。
ファームノートは帯広にある農業ITベンチャーで、こういうイベントで結構登壇されているイメージ。
RPA/AIを活用した電通「働き方改革」の取組
電通 ビジネスプロセスマネジメント局 CoE推進室 推進1部長
岩井 隆宜 氏
はじめに
電通と働き方と言えば...あの話は出るだろうな...と思ってたら...
・新入社員の過労死を契機に始まった
・22時全館消灯
・休日などのメールやり取り× ←検知できる仕組みがあるらしい
・80-20運動→20%を新しい取り組みに使うという例の奴
これらを進めるにあたりRPAは有効である
本題
電通働き方改革の背景
過重労働
少子高齢化
etc...
・交通費精算RPAの動画がデジタル変革移行への直接的背景となった
・2017年2月~ 年間400工程の自動化を目標にRPA化を進めてきた
ワークダイエット(業務棚卸)してわかったこと
・50%前後がオペレーション業務
・RPA化するには、ルール化して業務フローが記述できる業務である必要がある
・ワークダイエットのRPA化以外の選択肢は廃止、アウトソース、簡素化など
ロボット人事部
・野良ロボ(メンテナンスできないロボットのこと)を発生させないことを重視
・RPAにプチトラブルはつきものと考える(UIが少し変わるだけで動かなくなる)
・推進してきた中で難しかったところ
- (現場が)検討する工数が取れない
- 現場に業務減らされることへの抵抗感がある(人が減らされるのでは的な)
デモ
・視聴率ロボ:視聴率の集計作業自動化
・営業受注登録ロボ:基幹システムへの登録など含めて自動化
現状
・最初は使われるが気が付いたら誰も使ってない状態になっている(デモの営業受注登録ロボがそう)
課題
・創出時間が少ない(効果が薄い)
・人出作業を完全になくせていない
・使い勝手が悪い
・使えるロボットが少ない(ライセンスの問題か?)
・保守管理が大変
今後
・手動で動かしているのを計画実行
・今は定型業務の自動化のみだが、非定型業務の自動化そして高度な自律化(AIを使って)をしていきたい
・庶務コンシェルジュロボ(RPA + ChatBOT)
所感
RPAで生産性向上と言っても、銀の弾丸的なものはなく地道に泥臭くやって苦労しているのが伝わってきて、まだまだこれからな分野であると感じられた。
Google Cloud で変革する!ビジネスのデジタル化とそのジャーニー
グーグル・クラウド・ジャパン カスタマーエンジニア
寳野 雄太 氏
グーグル・クラウド・ジャパン Google Maps セールス マネージャー
倉田 知明 氏
▼前振り
Googleの検索を使ったことがある方どれぐらいいますか~
から始まる。
当然ほぼ全員挙手w
そこから検索って一瞬で返ってきますよ(´・ω・)(・ω・`)ネー
それってGoogleがインフラに莫大な投資をしているからなんですよって話に繋がっていく。
その金額は過去3年間で何と$300 Billionだそうで。
▼本題
今日お話しするのはGoogle Cloudの下記に絞った内容
・データ分析、機械学習
・インフラ、ストレージ、ネットワーク
1.ビジネスにおけるゲームチェンジ
デジタルトランスフォーメーションにより、ビジネスの速度が変わってきている。
利用者が5,000万人に到達するまでの期間
電話は75年
自動車は62年
テレビでも14年だったのが、
Netflixは7年
そしてtwitterは何と9か月。
Google Cloud Platform
ビジネスのデジタル化を支えるプラットフォーム
Google Maps Platform
ビジネスの視覚化を支える位置情報プラットフォーム
2.デジタル化を支えるクラウド基盤
Google Cloud Platformについてのお話し
99.977%:2017年の稼働率
2017年の新機能数1000+
Google Cloudで変わる分析業務
午前中の別の方もお話しされていた内容ですね...
インフラの構築などの付随作業をフルマネージドのCloudサービスに任せられるので、分析と洞察に専念できるというお話し。
事例紹介でこれまた午前中の別の方がお話しされていたファミマが出てきました。
機械学習の活用によるおむすびの発注業務改善というお話しで、開始2週間で11.65%改善したそうです。
3.ロケーションを活用した意思決定
このパートだけ倉田さんがお話しされてました。
最初にエンジニアと営業の割合を確認されていて、思ったより営業の人少ないですね...営業の方向けの内容なんですよ...と仰ってましたが、倉田さん自身が営業の方だったんですねw
内容は7/16から始まるGoogle Maps Platformについてのセールスのお話がほとんどでした。
Google Maps Platform
これまでのGoogle Maps APIに代わるもの
料金体系を簡素化
API Keyの実装を義務化→実装されていないと機能制限が出るそう
地図上での視覚化
- お店や道路の混雑情報
- 各店舗の売上額をヒートマップで示す
所感
Googleって技術は凄いのにビジネスが下手って印象がありまして。
使ったことがない人がいないであろう検索機能やGoogle Maps、Gmailなど、なくてはならない機能を多く提供していて、その基盤となるインフラにも多くの投資をしているのにビジネス向けではAWS、Microsoftに大きく後れを取っている現状。
ここ数年、こういったカンファレンスにも積極的に出てくるようになって知名度も上がってきてますが、ビジネス向けって考えると使い勝手がよくないのかなと。
エンジニア向けな感じがまだまだあるように思うので、そこが変わってこないと少なくても日本市場では厳しいんじゃないかなと改めて感じました。
地方版IoT推進ラボ 特別企画セッション 『IoTで日本全国活性化!進む地方創生プロジェクト』
札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアム
札幌市経済観光局国際経済戦略室 IT・クリエイティブ産業担当課長
瓦本 一大 氏
函館市IoT推進ラボ
公立はこだて未来大学 社会連携センター長・教授
田柳 恵美子 氏
釧路市IoT推進ラボ
釧路ITクラスター推進協会 会長
中島 秀幸 氏
猿払村IoT推進ラボ
猿払村 企画政策課 課長補佐
新家 拓朗 氏
<モデレーター>
日経BP総合研究所
フェロー
桔梗原 富夫 氏
時間が15分オーバーしました( ゚∀゚)・∵. ガハッ!!
一応パネルディスカッションということでしたが、ディスカッションが盛り上がったわけではなく...そもそもディスカッションに行く前のそれぞれのお話しでほとんど時間を使ってしまい...完全にモデレーターの配分ミスかと思われます。
現状の取り組み
それぞれの立場で話す内容に差がありましたね。
札幌市、猿払村は役所らしく淡々と実績を話す感じで、函館市は大学の教授らしく熱のこもった内容でした。
札幌市
・2016年8月:札幌市IoTイノベーションコンソーシアム設立
・2017年7月:SAPPORO AI LAB誕生
- 初心者向けAI勉強会 全5回×2
- マネジメント層向けAI講座
- AIを活用した画像解析による動物行動の把握
- 札幌コールセンターデータを活用したAI自動応答システム構築実証事業(Botサービス)
函館市
・AI/IoT + ものづくり「インダストリー4.0」的な展開を目指す
・2018年:地方版MaaSのモデル化
→函館市、北斗市含めた道南圏がターゲット
・20-30万人の生活実証実験都市を舞台に社会連携、産学連携を展開し、未来AI社会をデザイン
・オープンデータとディープラーニングで縮小最適化社会を実現
釧路市
・観光立国ショーケース
・水のカムイ観光圏
猿払村
猿払村について
・日本最北端の村
・人口2,765人
・2017年市区町村別所得ランキング第3位(813万円)
課題
・なのに人口減少が止まらない(昭和30年代8000人台→2700人台)
・高校がなく、村外に出て行った若者が戻ってこない
・定年後に村外に出て行く
・主要産業は漁業(ホタテ)、酪農
・酪農業の高齢化
↓
産業のIoT化に向けた取り組みを模索
・スマート漁業
・スマート酪農
・スマート農業
進捗状況・今後の取り組み
札幌市
現状の取り組みで話された内容の繰り返しでした。
函館市
・食品加工産業へのAI/IoT導入
・品質検査ロボットの開発
・ベンチャー企業の設立(AIハヤブサ)
・AIを何に使うのか?というのが大切
釧路市
・スマホアプリ経由で飲食店のメニュー多言語対応
・観光IoTアイデアソン、ハッカソンの開催
猿払村
活動はこれからのため、今後の意気込みのみ
所感
都市規模上かとは思いますが、札幌市の活動が一番先を行っている印象。
釧路市のスマホアプリ経由で多言語対応をし、インバウンド層を取り込もうという試みは面白いなあと感じたが、”何でそこまでしなくちゃダメなのか”的な地元の反応も多いそう...
人工知能の最前線とその応用
北海道大学 大学院情報科学研究科 教授
川村 秀憲 氏
朝から土砂降りと言う悪天候の中、満席の周囲を立ち見が囲むと言う超満員での開催に知名度の高さが伺えました。
▼自己紹介
・親が新しもの好きでPC98(だったと思う)があって、小さい頃からプログラミングしていた
・書いた通りに動くを超えて、書いたものがどう動くか想像できないものに興味を持ったというのが人工知能のきっかけ
▼概要
総じて初見者向けな内容でした。
・今のブームのきっかけ
・ディープラーニングの仕組み
・世間一般の事例
・関わってきた案件の事例紹介
・まとめ
▼詳細
人工知能と未来社会
「20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される」 ラリーページ
「創造性のない仕事はすべてテクノロジーに代行される」 ビルゲイツ
「現在人間が行っている47%の仕事が20年以内に機械によって代行される」 オクスフォード大学調査報告
「2045年、人工知能の能力が人類のそれをはるかに超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が訪れる」 レイカーツワイル
第3次人工知能ブーム
・ビッグデータ
・GPU
・ディープラーニング
が牽引
ディープラーニングの基礎
・根幹をなしているニューラルネットワークの内実は掛け算と足し算の組み合わせで決して複雑ではない
・ニューラルネットワークの学習
ニューロンを階層的に連結し、適切な重みを設定することを目指す
最初は適当な値を重みに設定し、計算させ、教師データとの誤差を小さくするよう重みを変えていく
・ディープラーニング用フレームワーク
Tensolflow
Chainer
Caffe
Torch7
各国のAI投資額
政府レベルでは米国、中国に大きな後れを取っている
・政府
日本:770億円
米国:5,000億円
中国:4,500億円
・民間
日本:6,000億円以上
米国:7兆円以上
中国:6,000億円以上
ゲームプレイを学習するAI
・DEEP Mind社が開発したDEEP Q-Network
・ディープラーニングと強化学習の融合
人工知能は人間の知性に勝るか
・ゲームにおいてコンピューターが人間を超えた年
1997年:オセロ、チェス
2015年:将棋
2016年:囲碁
・膨大な医学論文を学習したAIが名医の働き 難しい白血病を見抜く(IBMワトソン)
多分これ
・AIによる画像の変換
・Pix2pixによる対画像(顔画像⇔線画)の学習・生成
・GANによる動画生成
1枚の画像から数秒後を予測して動画生成
調和系工学研究室が目指すもの
関わってきた案件の紹介的な内容でした。
・ゆずりあう車を実現する技術
NHKでの放送時の動画でしたが、こちらも同じ内容。
KDDI総合研究所との共同研究
・ファッション画像の理解(TSIホールディングス)
タグ付けする(シック、ストリート、なめらか、ふんわり、夏らしい、上品etc)
・飲食カテゴリーの自動タグ生成アルゴリズム(食べログ)
・畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による積雪状態の認識とロードヒーティングの制御(北ガス)
・AIによる俳句の自動生成
NHKでも紹介されましたね
▼これからのAI時代を生きるために
1.川上、川下のみが勝ち組に
2.最先端のAI叡智を手に入れろ
3.演繹的ものづくり→帰納的ものづくりへ
4.AIものづくりの暗黙知を学べ
5.サラリーマン集団からプロフェッショナル集団へ
所感
内容的には初学者向きで物足りない感があったが、最後のまとめには業界の最前線を走っている説得力を感じた。
■総括
私個人として専門外で詳しくないので細かく見てませんが、
クラウド、IoT、働き方改革を進めていくうえでセキュリティの必要性が重要視されてきている印象で、展示はそういうのが目立ちました。
来年も来れたらセキュリティ関連の講演を見て、基礎的な話にはついていけるようにしないとなと。
以上