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Factory の Droid を触ってみた

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Last updated at Posted at 2026-10-31

Factory の Droid に設計から実装・レビューまで任せてみた所感

Factory の Droid を使って、Laravel + Docker の問い合わせ管理システムを作ってみた。コードを書くだけでなく、設計書の作成やコードレビューも任せている。

できあがったものには、特に不満はない。一方で、使い方のほうは思っていたのと違った。「設計担当」「実装担当」と役割を分けておけば、Droid どうしで仕事を引き継いで、しばらく放っておいても進めてくれる。そんな使い方を期待していた。調べてみると、近いことができそうなのはミッションモードだったが、そこでの役割分担は Factory 側が用意したものになる。

図1:想像していた使い方。目標を一度渡せば、役割ごとの Droid が自動で連携して完成まで進む

触った範囲では、Claude Code や Codex との差もそれほど感じなかった。むしろ、使い方を日本語で調べるのに苦労した。これから使い始めるなら、情報を探しやすい Claude Code や Codex のほうが楽そうだ、というのが今の感想だ。

Factory / Droid とは

導入方法や機能については、こちらの2記事が詳しい。

どちらも2025年に書かれた記事で、その後も Factory は大きく変わっている。たとえば、上の記事にある Droid の種類を選ぶ画面は、今回使ったデスクトップアプリには見当たらなかった。料金も変わっている可能性があるので、最新の情報は公式サイトで確認してほしい。

アプリは Factory 公式サイトの「DOWNLOAD」から入手できる。

Factory 公式サイトのトップページ。DOWNLOAD ボタンからアプリを入手する

やったこと

まず、担当を4つに分け、別々のセッションで作業させることにした。名前は、Factory が公式に紹介していた「Knowledge Droid」「Code Droid」「Reliability Droid」「Review Droid」をそのまま借りた。

この時点では、プロンプトに「あなたは Knowledge Droid として」と書けば、その種類の Droid が動くと思っていた。後で分かったのだが、今回使ったアプリにその選択機能は見当たらない。実際にやっていたのは、普通のセッションに役割を指定することだった。このあたりは後で詳しく書く。

役割 担当
Knowledge Droid 要件定義・設計・テスト計画
Code Droid 実装
Review Droid コードレビュー
Reliability Droid テスト実行・品質検証(まだ動かしていない)

別のセッションには会話が引き継がれないので、共通のルールと作ってほしい資料を Markdown に書き、最初に読ませた。基本はおまかせで、「承認を待たずに進めてよいが、判断した理由は資料に残してほしい」と伝えている。ほかの環境に手を出さないよう、Docker で触ってよい範囲や、パッケージを選ぶ基準も決めておいた。

図2:実際にやったこと。人間が司令塔になり、別々のセッションをつなぐ。Droid 間の引き継ぎは共有ファイル経由

Knowledge Droid に設計を依頼したときの画面

ここまでに進んだのは、次の範囲だ。

工程 成果
設計(Knowledge) 要件定義・基本設計・詳細設計・テスト計画など10資料。1資料ごとにコミット
実装(Code) 4つのマイルストーンのうち、M1(Docker 基盤・認証)、M2(登録・一覧・詳細・編集)、M3(担当割当・状態管理・コメント・履歴)が完了。テスト417件がすべて成功
中間レビュー(Review) M1・M2 が対象。指摘16件(Critical / High は0件、Medium 4件、Low 12件)。M3 の前に Code Droid が修正済み

設計資料を1つずつ作ってコミットしていく様子。右側で資料の中身をそのまま確認できる

実装した問い合わせ一覧画面

使用量は思ったより少なかった。設計フェーズを終えた時点で、5時間枠が5%、週間枠が70%、月間枠が82%。月間枠は、設計を始める前からほとんど動かなかった。

所感

成果物の質は十分だった

任せていてよかったと思ったのは、細かいところまで気を配っていたことだ。

たとえば、Docker Hub からイメージを取得できず、通信エラーになったとき。Code Droid は Google が運営する Docker Hub のミラーに切り替えたが、単にダウンロード先を変えて終わりにはしなかった。イメージの中身を特定する digest(ハッシュ値)を、Docker Hub で確認した値に固定していた。取得元を変えても、同じ中身を使うための対応だ。

Laravel の雛形に入っていた AI エージェント向けの指示ファイル(AGENTS.md など)も、そのまま受け入れてはいなかった。外部スクリプトを導入する指示を見つけ、採用せずに削除している。

レビューでは、「権限を再チェックする処理を消しても、107件のテストがすべて通ってしまう」という指摘があった。テストが通るかどうかに加えて、そのテストで何を見落としているかまで確認してくれたのはよかった。

Docker Desktop が起動していなかったときには、どうするかを選択肢つきで聞いてきた。基本は任せつつ、こういうところでは確認を挟んでくれると助かる。

Docker Desktop の起動を選択肢つきで確認してくる

「○○Droid」の使い分けがよく分からない

一番戸惑ったのは、この名前の扱いだった。Factory を調べると、「Code Droid」「Knowledge Droid」「Reliability Droid」がよく出てくる。2025年8月の Factory の記事に載っている名前だし、Anthropic の導入事例には「Review Droid」も登場する。先ほどの Qiita 記事にも、それぞれの役割が書かれていた。

YouTube の解説動画には、Web 版の「Droids」ページから Code / Knowledge / Reliability / Product / Tutorial の5種類を選ぶ画面まで出てくる。これを見たら、自分もそこから選んで使えると思ってしまう。

ところが、手元のアプリでは選ぶ場所が見つからない。入力欄の下に並んでいるのは、モデル、自律レベル、モード、コネクター、スキルだけだった。

Web 版の Droids ページ(app.factory.ai/droids)も開いてみたが、デスクトップアプリと同じホーム画面に着いた。公式ドキュメントで見つかった標準の Droid は、worker(作業用)と explorer(調査用)の2つ。Knowledge Droid などを選ぶ機能は、画面にも説明にも見当たらなかった。

ここでようやく、プロンプトに名前を書いても、専用の機能を呼び出していたわけではないと気づいた。モデルが「設計担当として振る舞って」と受け取ってくれていた、ということらしい。

いつ変わったのかも調べたが、公式の変更履歴やニュースに「Droid の種類を廃止した」「別の機能に置き換えた」という告知は見つからなかった。2026年4月のデスクトップアプリ公開や、その後の「Factory 2.0」への方向転換に伴って変わったのかもしれないが、そこは推測だ。古い記事や動画から入ると、少し迷うところだと思う。

図4:「○○Droid」の移り変わり。古い記事・動画が紹介している画面と、今の画面がずれている

入力欄の下にはモデル・自律レベル・モード・コネクター・スキルが並ぶ

今、役割ごとの Droid を自分で作るには「カスタム Droid」を使うらしい。これはメインのセッションから呼び出す補助役(サブエージェント)で、以前の記事で見た Droid の種類分けとは少し話が違ってくる。

日本語対応は一部怪しい

アプリの UI は日本語になっているが、ところどころに英語が残っている。

たとえば「表示」メニューを開くと、「実際のサイズ」「拡大」「縮小」は日本語なのに、「Reload」「Force Reload」「Toggle Full Screen」は英語のままだ。同じメニューの中でも表記が揃っていない。

「表示」メニュー。「実際のサイズ」「拡大」「縮小」と、Reload・Force Reload・Toggle Full Screen が混在している

作業ログでも「探索済み 5 件の検索」と出る一方で、ステップ名は「Inspect project Git state」「Validate and commit system architecture」と英語のままだ。日本語で依頼しても、セッションのタイトルは「Build inquiry management system with Laravel and Docker」になっていた。

回答の表示にも気になるところがあった。太字になるはずの場所に ** がそのまま出ることがある。下の画像の1行目がそれだ。日本語と Markdown の組み合わせで見かける問題ではあるが、回答を読むたびに目に入ると気になる。

回答の1行目で ** がそのまま表示されている

操作に困るほどではないが、メニューの翻訳も回答の表示も、もう少し整ってほしい。

モデルは選び放題だが、把握するのが大変

Cursor と同じように、Claude、GPT など複数社のモデルから選べる。同じ作業を Claude のモデルと他社のモデルで比べられるのは面白い。

ただ、一覧には聞いたことのないモデルもある。どれが何に向いていて、利用枠をどれくらい使うのか。全部追いかけるのは大変だ。選べるモデルが多いツールでは、どうしても出てくる悩みだと思う。

今回は、結局ずっと「Auto Model」で進めた。公式ドキュメントによると、Auto(Factory Router)はステップごとにモデルを選ぶ。簡単な作業には安くて速いモデルを、考える必要のある作業には強いモデルを使う仕組みだ。

実装中には「Sol Ultrafast」という見慣れない名前も出てきたが、成果物に気になる問題はなかった。少なくとも今回は、モデルを自分で選ばなくても済んだ。

想像した使い方は、デスクトップアプリではできなさそうだった

Code Droid や Knowledge Droid の紹介を見て期待していたのは、冒頭の図1のような流れだ。設計が終わったら実装に進み、レビューで指摘があれば修正に戻る。その受け渡しも含めて任せたかった。

実際には図2のとおり、自分でセッションを立ち上げてプロンプトを貼り、終わったら結果を確認して次の担当に渡していた。設計中や実装中は任せられるが、「次は誰に何を頼むか」は自分の仕事として残る。4工程くらいなら回せても、レビューと修正を何度も往復するとなると手間がかかる。

この受け渡しを任せる方法がないか、カスタム Droid やミッションモードも調べてみた。

図3:今の Factory にある3つの仕組み。役割を自分で決められるかと、長時間の自律作業の両方を満たすものは見当たらない

カスタム Droid は .factory/droids/ に役割ごとの定義を置く仕組みで、補助役がさらに補助役を呼ぶこともできない。ミッションモードでもカスタム Droid は使えるが、作業担当が補助役として呼べるだけで、作業担当そのものにはできない。

カスタム Droid なら、メインのセッションに「設計担当を呼んで、終わったら実装担当、次にレビュー担当」と頼む方法はありそうだ。ただ、結果はすべてメインに戻るので、長く続けると会話も膨らんでいく。補助役は途中で人間に確認できないという制約もある。今回くらいの規模を最後まで回せるかは、まだ試せていない。

長時間の自律作業という点では、ミッションモードが Factory の本命だ。2026年2月末に「数日にわたる自律的なソフトウェア開発」として発表されている。Factory の資料を引用した記事によると、1回のミッションは平均で約2時間、37%は4時間を超え、最長では40日続いた例もあるという。

Factory の開発者による講演(AI Engineer での Luke Alvoeiro 氏の発表)を見ると、ミッションの設計は次のようになっている。

  • 1本の長い会話ではなく、共有された状態と、構造化された引き継ぎでつながったエージェントの集まり
  • 計画・実装・検証を分担し、実装の前に完成条件を決めておく
  • 主な実装は1つずつ順番に進め、読むだけの調査などは並列にする
  • 役割ごとにモデルを選ぶ

役割を分け、完成条件を決め、ファイルで引き継ぐ。講演を見ていると、今回手作業でやっていたことと考え方はかなり近い。ただ、ミッションでは Factory が用意した役割分担に乗ることになる。自分で決めた工程や人数で動かしたい場合に、どこまで合わせられるのかが気になった。

Factory の外も調べると、複数のエージェントを管理するツールが見つかった。自分で役割を決めて動かすなら、このあたりも候補になりそうだ。

ツール 概要
herdr 複数のコーディングエージェントを並べて動かす、ターミナル用のマルチプレクサ。各エージェントが作業中か、止まっているかを検知できる。エージェント側から別のペインを立ち上げたり、他のエージェントの終了を待ったりもできる
Orca 複数のエージェントを並行して動かすデスクトップアプリ。エージェントごとに Git の worktree を分け、結果を比べて取り込める

ここまで調べておいて何だが、今回はミッションモードを使っていない。月間の枠が残り少なく、自分で用意した工程とミッション側の計画を両方管理することになりそうで、いったん見送った。長時間の作業を任せる機能をまだ試していないので、実際に触ると印象が変わるかもしれない。

なお、第三者のまとめによると、ミッションは利用枠の上限に達すると一時停止し、続けるには追加課金(Extra Usage)の設定が必要になるらしい。公式の情報では確認できていないが、枠に余裕のあるタイミングで試すのがよさそうだ。次は同じお題をミッションモードでやらせて、今回の手作業のリレーと成果物の質や使用量を比べてみたい。

一方、公式ドキュメントには、CLIでカスタムDroidを作成・管理する手順がある。今回はCLIでの動作や、作成した定義をアプリから使えるかまでは確認していない。

Claude Code のサブエージェントと何が違うのか

カスタム Droid の仕様を読んでいて、Claude Code のサブエージェントに似ていると思った。定義ファイルの置き場所から結果の返し方まで、共通する部分が多い。

項目 Factory のカスタム Droid Claude Code のサブエージェント
定義する場所 .factory/droids/(プロジェクト)、~/.factory/droids/(個人) .claude/agents/(プロジェクト)、~/.claude/agents/(個人)
定義の形式 Markdown + YAML の前置き(名前・説明・モデル・使えるツール) 同じ
呼び出し方 メインが自分の判断で呼ぶ。人間が名前を指定して呼ばせることもできる 同じ
会話の履歴 補助役ごとに新しい文脈で動き、最後に結果を1回返す 同じ
補助役からさらに補助役を呼べるか 呼べない 呼べる(既定で3階層まで)
その他の設定 推論の強さ、使える MCP サーバー 上記に加えて、Git worktree での分離実行、補助役ごとの記憶、最大ターン数など
選べるモデル Claude、GPT など複数社 Claude のみ

Factory には、Claude Code の定義ファイル(.claude/agents/)をカスタム Droid として取り込む機能もある。すでに作ってある役割を持ち込めるのは便利そうだ。

表に挙げた設定では、Claude Code のほうが細かく指定できる。一方、Factory では担当ごとに別の会社のモデルを割り当てられる。実装は Claude、レビューは GPT 系、といった組み合わせを同じツール内で試せるのは面白い。

自分が期待していた「役割ごとの Droid」の仕組みも、こうして見ると Claude Code のサブエージェントに近い。名前から想像していたほど、別の使い方になるわけではなさそうだった。

Claude Code / Codex と比べてどうか

今回の設計やコード、レビューを見て、Claude Code や Codex から大きく変わったとは感じなかった。ただし、同じお題を同じ条件で比べたわけではないので、ここは普段使っている感覚との比較になる。

それよりも困ったのは、使い方を調べるときだった。Droid の日本語記事はなかなか見つからず、自律レベルやモードの設定も英語の公式ドキュメントを読んで確認した。Claude Code や Codex なら、つまずいたところを検索すると誰かの解説にたどり着くことが多い。普段使ううえでは、この差が大きかった。

英語でも探したが、情報集めには苦労した

日本語の記事が見つかりにくかったので、英語でも探してみた。参考になるものはあったが、利用者の体験談が次々に見つかる、という感じではなかった。公式の説明やツールの紹介ページは出てくるものの、「実際に使って、どこで困ったか」を知るには、少し探し回る必要があった。

たとえば Every の Danny Aziz の記事には、自分が開発するサービスのデータベース移行に Droid を使った経験が書かれている。Ray Fernando の動画付き投稿もあり、長いセッションを使った本人の話や、Factory の開発者による履歴管理の説明を確認できる。好意的な感想だけでなく、Reddit にはミッションにかかった時間や費用への不満を書いた投稿もあった。

ただ、これらは個別の体験談で、紹介者と Factory に接点のある記事や動画も含まれる。記事を網羅的に数えたわけではないので、日本語と英語で何倍違うか、海外ではどれくらい使われているかまでは分からない。今回探した範囲では、英語まで広げると手がかりは増えるものの、情報集めが楽になるほどではなかった。

なぜ見つけにくいのかは、はっきりしない。Factory の発表には NVIDIA や Adobe などの企業名が出てくるので、企業での利用が中心だと個人の体験記事にはなりにくいのかもしれない。また、「Factory」はデザインパターン、「Droid」は Android や別の製品の話とも重なり、検索しづらい名前ではある。どちらも、記事が少なく感じられる理由として考えたことで、確かめられたわけではない。

日本に限れば、東京オフィス開設の発表が2026年8月31日で、まだ2か月ほどしか経っていないことも関係していそうだ。ただ、それだけでは英語でも探しにくかったことまでは説明できない。

公式ドキュメントにも公式サイトにも、日本語のページはある。それとは別に、使った人の工夫やつまずきをもっと読めると助かる。今回の記録も、その1本になればと思う。

おわりに

Droid に設計からレビューまで頼んで、仕事ぶりには満足している。ただ、担当どうしの引き継ぎまで任せるつもりが、そこは自分でつなぐことになった。古い記事で見た「Code Droid」「Knowledge Droid」と、手元のアプリの違いに気づくまでに時間もかかった。

今のところ、自分が Claude Code や Codex から乗り換える決め手は見つかっていない。ただ、複数社のモデルを1つのツールで試したい人には、気になる選択肢だと思う。

実装はまだ M4 が残っていて、品質検証の Droid も動かしていない。最後まで終わったら、同じお題をミッションモードで試し、手作業のリレーと比べた結果を書くつもりだ。

参考

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