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公式サンプルを参考にAgentCoreへDeepDive(Runtime)

Last updated at Posted at 2025-07-20

こちらの記事は公式チュートリアルを参考にkiroとチャットした会話をまとめた記事になります。

Amazon Bedrock AgentCore とは

Amazon Bedrock AgentCoreはPoCレベルで開発していたエージェントをaws環境に簡単にリリース、管理できるマネージドサービスです。

AgentCore全体アーキテクチャ

agentcore_overview.png

6つの核心コンポーネント

コンポーネント 本質的な価値 解決する課題
Runtime サーバーレスエージェント実行基盤 コンテナ管理の複雑性排除
Gateway 外部リソースのエージェント互換化 API統合の標準化
Memory エージェントの状態・パーソナライゼーション管理 文脈保持とカスタマイズ
Identity マルチサービス横断の統一認証 アイデンティティ管理の統合
Tools セキュアなCode実行 + Web操作 エージェント能力の安全な拡張
Observability エージェント動作の透明化 トレース・デバッグの統一化

📍 本記事の位置づけ

この記事では、Runtimeに焦点を当て、エージェントのサーバーレス実行環境について詳しく解説します。


🧠 概要

Amazon Bedrock AgentCore Runtimeは、エージェントとツールを完全にサーバーレスな環境でホスティングするマネージドサービスです。従来のコンテナ管理の複雑性を完全に排除し、開発者がエージェントのビジネスロジックに集中できる環境を提供します。

解決する根本課題

従来は自分でエージェントコンテナを管理する必要がありました。そのためPoCから本番環境で動かすのに大きなハードルがありました。開発者はDockerfile作成、コンテナレジストリ管理、オーケストレーション設定、負荷分散、監視システム構築など、エージェント開発以外の複雑な作業に多大な時間を費やしていました。

Runtimeの解決アプローチ

  • Framework Agnostic Design: 任意のフレームワーク(Strands、LangGraph、CrewAI等)をサポート
  • Serverless Agent Hosting: エージェント関数をHTTPサービスとして自動デプロイ
  • Unified SDK Integration: Memory、Gateway、Observability等との統一連携
  • Dual Protocol Support: HTTP・MCPプロトコルの両対応

🎯 1. Framework & Model Agnostic Design

設計思想

AWSは「フレームワーク戦争」や「モデル戦争」に参戦せず、インフラストラクチャレイヤーで差別化を図っています。開発者がStrands、LangChain、CrewAIのどれを選んでも、Claude、GPT、Geminiのどれを使っても、AWSのマネージドインフラで統一運用できる環境を提供しています。

💭 コメント
ユーザーがagentのフレームワークをstrandsを使おうが、langchain,CrewAIどれを使ってもいいからインフラ回りはawsでマネージドに管理できるってことだね。awsのキャッシュポイントはインフラだから賢い選択だね。モデルに関してもどのモデルを選んでもよくなっているんだね。

技術的実現方法

AgentCore Runtimeは「プロトコル抽象化レイヤー」を提供し、@app.entrypointデコレータがフレームワーク固有の実装を統一HTTPプロトコルに変換します。

一般ユースケース例

ケース: マルチフレームワーク環境での統一運用

従来の課題: 企業で複数のエージェントフレームワークを併用する際、技術選択がインフラ選択まで決定してしまう問題がありました。LangChainを選べばLangServe、LangGraphならLangGraph Cloudといった具合に、フレームワーク選択が運用負荷・学習コスト・ベンダーロックインリスクを伴っていました。

AgentCore Runtime導入後の改善: フレームワーク選択とインフラ選択が完全に分離されます。開発者は純粋に「どのフレームワークが問題解決に最適か」だけで判断でき、運用チームは単一のAWSマネージドインフラで全てのエージェントを管理できます。新しいフレームワークの導入も、既存の運用プロセスをそのまま活用可能です。


🔧 2. @app.entrypointデコレータ

核心的な役割

@app.entrypointは「ローカル関数をマネージドサービス化する魔法の接着剤」です。開発者は既存のエージェント関数に単一のデコレータを追加するだけで、その関数が自動的にHTTPエンドポイントとして動作するようになります。

変換の本質

デコレータは内部的にHTTPサーバーを起動し、リクエストの受信、ペイロードの解析、レスポンスの形式化、エラーハンドリングを自動的に処理します。また、AWSの標準的な監視・ログ機能との統合も自動的に行われるため、運用面での追加作業も不要になります。

設計原則

  • Minimal Invasion: 既存のエージェント実装に対して、デコレータ1行の追加のみで本番化が可能
  • Framework Neutrality: どのフレームワークでも同じパターンで動作
  • Separation of Concerns: ビジネスロジックとインフラロジックの分離

🔄 3. HTTP vs MCP Protocol

プロトコルの特性

AgentCore Runtimeは、エージェントとツールをホスティングするために2つの異なるプロトコルをサポートしています。プロトコルは ProtocolConfigurationserverProtocolで選択します。

HTTP Protocol

  • 従来のREST APIパターン: JSON・Server-Sent Events出力
  • 固定エンドポイント: /entrypoint(メイン処理)、/ping(ヘルスチェック)
  • エージェント向け: 完全なエージェントアプリケーションのホスティング

MCP Protocol

  • Model Context Protocol: エージェント・ツール間の標準化された通信
  • ツール向け: 再利用可能なツールやサービスの提供
  • 標準準拠: MCP仕様に基づく統一インターフェース

使い分けの戦略

HTTP Protocolは完全なエージェントアプリケーションをホスティングする場合に適しており、MCP Protocolは再利用可能なツールやサービスを提供する場合に威力を発揮します。

💭 コメント
staterless streamableを使って独立したセッションを維持しつつ、どういつクライアントからのアクセスはmcp-session-idで論理的にステートフルなアクセスを可能にする。それでリアルタイム双方向通信をサポートしていいとこどりするってかんじかな

セッション分離の技術的詳細

AgentCore Runtimeは、各ユーザーセッションを専用microVMで実行し、完全な分離を実現します:

microVM分離アーキテクチャ

  • 完全な実行環境分離: CPU、メモリ、ファイルシステムが完全に独立
  • 決定論的セキュリティ: 非決定論的AIプロセスでも一貫したセキュリティ境界
  • セッション終了時の完全消去: microVM終了とメモリサニタイズで汚染リスク排除

拡張実行能力

  • 8時間の拡張実行時間: 複雑なエージェント推論・非同期ワークロードに対応
  • 100MBペイロード対応: マルチモーダル(テキスト、画像、音声、動画)処理
  • 消費ベース課金: アクティブ処理時間のみ課金、I/O待機時(LLM応答待ち等)は無料

セッション管理

  • runtimeSessionId: アプリケーションが生成する一意のセッション識別子
  • セッション状態: Active(処理中)、Idle(待機中)、Terminated(終了)
  • 自動終了条件: 15分非アクティブまたは8時間最大実行時間
  • エフェメラルコンテキスト: セッション終了時に全データ・メモリを完全消去

一般ユースケース例

ケース: 長時間実行エージェントでの安全な分離

従来の課題: 複数のユーザーが長時間実行されるエージェントサービスを利用する際、セッションの混在や情報漏洩のリスクがありました。特に、AIエージェントの非決定論的な動作により、予期しないデータ共有や権限昇格が発生する可能性がありました。

AgentCore Runtime導入後の改善: 各ユーザーが専用microVMで完全に分離された環境でエージェントを実行できます。ユーザーAの8時間にわたる複雑な分析処理がユーザーBのセッションに影響することがなく、セッション終了時には全データが確実に消去されます。消費ベース課金により、LLM応答待ち時間は課金されず、コスト効率も最適化されます。


🔗 4. Unified SDK Integration

統合SDKの設計思想

従来のクラウドサービス開発では、各サービスが独立したSDKを提供し、開発者がそれぞれのAPIを個別に学習・統合する必要がありました。AgentCore Unified SDKは、この問題を根本的に解決するため、全てのAgentCoreサービスを単一のSDKで統合しています。

開発者体験の向上

統合SDKにより、開発者は複数のサービスを組み合わせる際の学習コストが大幅に削減されます。各サービスの個別APIを学習する代わりに、統一されたインターフェースパターンを習得するだけで、全てのAgentCore機能を活用できます。

一般ユースケース例

ケース: 包括的な顧客サポートエージェントの構築

従来の課題: 顧客サポートエージェントを構築する際、会話履歴の保存(Memory)、外部CRMシステムとの連携(Gateway)、ユーザー認証(Identity)、エージェント実行(Runtime)を個別に実装・統合する必要がありました。各サービスの認証情報を個別管理し、APIの呼び出し方式やエラーハンドリングもサービスごとに異なるため、開発・保守の複雑性が高く、サービス間の連携不具合も頻発していました。

Unified SDK導入後の改善: 単一の bedrock_agentcoreパッケージから全ての機能にアクセスでき、BedrockAgentCoreAppMemoryClientrequires_access_token、MCPツール連携が統一されたインターフェースで利用可能になります。認証情報の共有、設定の一貫性、エラーハンドリングが自動化され、開発者は顧客サポートのビジネスロジックに集中できます。サービス間の連携も透明化され、統合テストやデバッグが大幅に効率化されます。


🚀 5. Serverless Agent Hosting

デプロイメントプロセス

AgentCore Runtimeでは、@app.entrypointデコレータを追加したPythonコードを提供するだけで、AWSが自動的にコンテナ化、デプロイメント、スケーリング、監視、セキュリティ管理を処理します。

💭 コメント
ecrに登録したら、そこからマネージドにagent coreが管理してくれるって感じか。

Configure & Launch プロセスで作成されるリソース

デプロイ後のリソース構成

Amazon ECR Repository

  • コンテナイメージの保存・管理
  • 自動的なイメージバージョニング
  • セキュアなイメージ配信

AgentCore Runtime Endpoint

  • agentRuntimeArn: 一意のエージェント識別子
  • HTTPSエンドポイント(ポート8080)
  • /entrypoint/pingエンドポイント

統合サービス

  • CloudWatch Logs: 自動ログ収集
  • CloudWatch Metrics: パフォーマンス監視
  • IAM Role: 最小権限での実行
  • AgentCore Identity: 企業IdP統合とOAuth自動管理
  • エージェント専用可観測性: 推論ステップ・ツール呼び出し・モデル相互作用の詳細トレース

開発者体験の変革

  • 設定: configure(entrypoint, execution_role, requirements_file)
  • デプロイ: launch() 一発でECR + Runtime作成
  • 監視: status() でリアルタイム状況確認
  • 呼び出し: invoke_agent_runtime(agentRuntimeArn, runtimeSessionId, payload)
  • セッション管理: 同一 runtimeSessionIdで継続的なコンテキスト維持

一般ユースケース例

ケース: スタートアップでの迅速なエージェントサービス立ち上げ

従来の課題: 従来は自分でエージェントコンテナを管理する必要がありました。そのためPoCから本番環境で動かすのに大きなハードルがありました。Docker設定、コンテナレジストリ、オーケストレーション、監視システムなど、エージェント開発以外の作業に多大な時間を費やし、市場投入が大幅に遅延していました。

Serverless Agent Hosting導入後の改善: @app.entrypointデコレータを追加するだけで、数時間で本番対応のエージェントサービスを立ち上げることができます。ECRリポジトリ、コンテナ化、デプロイメント、監視が全て自動化され、開発チームはエージェントのビジネスロジックに集中できます。利用量に応じた従量課金により初期投資を最小限に抑え、成長に合わせて自動スケールするため、最適なコスト効率を実現できます。


📊 シリーズ進捗状況

# コンポーネント リンク
Runtime(実行基盤) 👉 本記事
Gateway(統合レイヤー) 公式サンプルを参考にAgentCoreへDeepDive(Gateway)
Memory(状態管理) 公式サンプルを参考にAgentCoreへDeepDive(Memory)
Identity(認証) 準備中
Tools(実行ツール群) 準備中
Observability(可観測性) 準備中

🔗 参考

チュートリアル

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