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Informatica PowerCenterとCloud Data Integrationの違いをまとめてみた(第4回/全4回)

Last updated at Posted at 2022-12-22

NTTデータ ソリューション事業本部 デジタルサクセスソリューション事業部 の nttd-nagano です。

12月13日の記事 で、Informaticaのクラウドデータマネージメントプラットフォーム「Intelligent Data Management Cloud」(※1)をご紹介しましたが、今回は、そのIDMCのデータ統合サービスである「Cloud Data Integration」(※2)と、同社の旧来のデータ統合製品である「PowerCenter」を比べ、その違いをまとめてみました。

記事が長くなってしまったため、全4回に分割してご説明しております。

前回は第3回目として「マッピングを包む定義体とその実行方法や実行状況の確認方法の比較」「コマンドでの実行方法の比較」「パラメーターの比較」をご説明しました。
今回は第4回目として「バージョン管理方法の比較」「管理者作業の比較」「機能面での進化」をご説明します。

※1. Intelligent Data Management Cloud 略称はIDMC。旧称はIICS。クラウドデータマネジメントプラットフォーム。以下IDMCと記載。
※2. Cloud Data Integration 略称はCDI。データ統合サービス。ETL処理(※3)やELT処理(※4)を担う。以下CDIと記載。

idmc_summary.png
cdi_summary.png

「データ統合」というのは、ETL(※3)と呼ばれていたこともある領域の処理です。

※3. ETL処理 データベースなどに蓄積されたデータから必要なものを抽出(Extract)し、目的に応じて変換(Transform)し、データを必要とするシステムに格納(Load)すること。
※4. ELT処理 ETL処理(※3)と対比して使われることが多い言葉。データ統合処理の順序を従来型のE→T→Lの順ではなく、E→L→Tの順でおこなう。近年ではDBMSの性能が爆発的に向上したことから、その性能を有効活用するために使われる手法。

なお、IDMCにはCDIをはじめ様々なサービスがありますが、本記事はPowerCenterとの比較であるため、CDIのみにフォーカスしてご説明していきます。

バージョン管理方法の比較

cdi_export.png

  1. PowerCenterでは、チームベース開発オプションを購入している場合、バージョン管理をおこなうことができました
  2. 一方、CDIでは、バージョン管理サービスである「GitHub」または「Azure DevOps Git」を使用することができます。 詳細は 公式ドキュメントのOrganization管理のソース管理 および 公式ドキュメントのアセットの管理のソース管理 および 公式KB「FAQ: All about Source Control (Version Control) in IICS」 をご覧ください。
  3. PowerCenterクライアントでは、チームベース開発オプションでのバージョン管理のほかに、リポジトリオブジェクトをXMLファイルにエクスポートしたり、そのXMLファイルからリポジトリオブジェクトをインポートしたりできました。 そして、そのXMLファイルを外部のバージョン管理システムで管理することができました。
  4. 一方、CDIでも、アセットをZIPファイルにエクスポートしたり、そのZIPファイルからアセットをインポートすることができます。 詳細は、公式ドキュメントのアセットの管理 および 公式ドキュメントのREST API および 公式KB「IICS Asset Management CLI V2 Utility: Command Reference Guide」 をご覧ください。そして、そのZIPファイルを外部のバージョン管理システムで管理することができます。なお、インポート時には「プロジェクト」「接続」「ランタイム環境」を差し替えることができます。

管理者作業の比較(権限管理、コネクタ管理)

公式の動画「Administration - Users, Groups, and Permissions」および「Administration - Adding Connectors and Packages in IICS」をベースに筆者の解釈を交えて説明します。
cdi_user.png
cdi_addon.png

  1. PowerCenterでは、Informatica Administratorを使って、管理者作業をしていました。
  2. 一方、CDIでは、アプリケーションピッカーで「管理者」をクリックすると、管理者作業をすることができます。 例:「Organizationの設定」「ライセンスの管理」「SAML認証の設定」「IPU(Informatica Processing Units。前払いで購入したIDMC用のクレジット)の使用状況の確認」「ソース管理の設定」「ユーザーの管理」「ユーザーグループの管理」「ロール管理」「ランタイム環境(Agent)の管理」「サーバレス環境」「接続の管理」「アドオンコネクタの管理」「イベント確認(ログイン履歴など)」
  3. 「管理者」画面の詳細は、 公式ドキュメントをご覧ください。(Organization管理ユーザー管理ランタイム環境
  4. ここでは、上記のうち、「ユーザー管理」「ロール管理」「SAML認証の設定」「アドオンコネクタの管理」についてご説明します。
  5. 「ユーザー」は、Organizationへのセキュアアクセスを許可された個人のCDIのアカウントです。
  6. 「ユーザー」は、割り当てられた「ロール」(特権を管理する定義体)に基づいてタスクを実行したり、アセットにアクセスしたりできます。
  7. 「ロール」はユーザーに直接割り当てることもできますし、ユーザーグループに割り当てることもできます。
  8. さらに、IDMC専用のユーザーでログインするのではなく、サードパーティのアイデンティティプロバイダー使ってSAML認証するための設定もあります。 詳細は、公式ドキュメント をご覧ください。
  9. さて、PowerCenterでは、新しいコネクタを追加したい場合、まずInformaticaのアカウントチームに連絡してリクエストを作成する必要がありました。承認されると、一時的なライセンスキーとソフトウェアをダウンロードするための情報が送られてきました。そして、コネクタを手作業でPowerCenter環境にインストールする必要がありました。
  10. 一方、CDIでは、セルフサービスで新しいコネクタを試すことができます。
  11. まず、CDIにログインして、アプリケーションピッカーで「管理者」を選びます。次に、画面左の「アドオンコネクタ」をクリックしします。セルフサービスで試用できる様々なコネクタの一覧が表示されます。「無料トライアルを開始する」ボタンをクリックすると、CDIは自動的にダウンロードを開始し、ソフトウェアをインストールします。選択したコネクタにもよりますが、これには最大30分かかります。
  12. インストールが完了したら、画面左にて「接続」をクリックすると、新しいコネクタが自動的に利用可能になっています。
  13. コネクタの使用方法の詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。

機能面での進化

公式の動画「CDI Functionality」をベースに筆者の解釈を交えて説明します。
cdi_intelligent_structure_model.png

  1. 使い勝手がよくなった
    • 「同期タスク」
      連携元と連携先でデータを同期するためのタスクです。マッピングタスクを作る際はマッピングデザイナーを操作する必要がありましたが、同期タスクを作る際はウィザード形式でより簡単に作れます。同期タスクの詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。
    • 「データプレビュー」
      マッピングの任意のトランスフォーメーションの時点でのデータをプレビューできる機能です。PowerCenterのデバッガ でやっていたようなことができます。データプレビューの詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。
  2. モダンな統合ユースケースに対する包括的な支援機能がある
    • インテリジェント構造検出
      「新規」>「コンポーネント」>「インテリジェント構造モデル」で表示される画面に解析対象のファイルを入力すると、AIでパターンと構造を解析し、出力グループのトランスフォーメーション、解析、および生成に使用されるモデルを作成します。非構造化データ、半構造化データ、または構造化データを解析できます。結果は、階層パーサートランスフォーメーションで使えます。インテリジェント構造モデルの詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。
    • REST API
      外部のWebアプリケーションに対してREST APIを発行できます。詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。
  3. クラウドデプロイへ最適化されている
    • クラウドデータウェアハウスへのプッシュダウン
      SnowflakeAWS RedshiftAzure Synapse AnalyticsGoogle Cloud BigQuery などにプッシュダウンすることができます。これを適用すると、CDIはマッピング処理をSQLクエリに変換し、そのSQLクエリをクラウドデータウェアハウス側に送信します。SQLクエリはクラウドデータウェアハウスで実行されます。マッピングのターゲットに対して適用した場合、伝統的なETL処理(Extract-Transformation-Load)ではなく、モダンなELT処理(Extract-Load-Transformation)となり、効率よく処理できます。 この機能はマッピングタスクの「詳細セッションプロパティ」で設定できます。プッシュダウン最適化の詳細は、各コネクタ毎に公式ドキュメントをご覧ください。たとえば、Snowflakeであれば、 こちら です。
    • Advanced Serverless
      従来のSeucre Agentはオンプレやクラウドのマシンにインストールするものでしたが、完全にInformaticaのネットワーク上のマシンにホストされたAgentを使うこともできます。「管理者」の「サーバレス環境」で設定できます。詳細は、 公式ドキュメント をご覧ください。

おわりに

以上、「PowerCenterとCDIの違いをまとめてみた」の第4回目でした。

全4回に渡ってお送りしてきた「PowerCenterとCDIの違い」ですが、いかがでしたでしょうか。
差異はありつつも、劣化ではなく、進化していることが分かっていただけたかと思います。

PowerCenterはすでに新規の販売を終了しています。
いずれ保守期限を迎えますので、Cloud Data Integrationへの乗り換えをご検討ください。

CDIのCDIは30日間の無料体験ができる ので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

なお、PowerCenterの既存の定義体をCloud Data Integrationへマイグレーションするノウハウ・サービスもあり、弊社がお取次ぎできます。 こちら からお問い合わせください。

CDIには今回ご紹介したCDIの他にも、API統合、マスターデータ管理、データガバナンス関連など様々なサービスがあります。
これらについても、今後、当Organization の記事でご紹介していく予定ですので、ご興味がございましたらご覧ください。

仲間募集

NTTデータ ソリューション事業本部 では、以下の職種を募集しています。

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これまでPartner of the Year, Japanを4年連続で受賞しており、2021年にはアジア太平洋地域で最もビジネスに貢献したパートナーとして表彰されました。
また、2020年度からは、Tableauを活用したデータ活用促進のコンサルティングや導入サービスの他、AI活用やデータマネジメント整備など、お客さまの企業全体のデータ活用民主化を成功させるためのノウハウ・方法論を体系化した「デジタルサクセス」プログラムを提供開始しています。
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tableau/

NTTデータとAlteryxについて
Alteryxは、業務ユーザーからIT部門まで誰でも使えるセルフサービス分析プラットフォームです。

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導入時のプロフェッショナル支援など独自メニューを整備し、特定の業種によらない多くのお客さまに、Alteryxを活用したサービスの強化・拡充を提供します。

https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/alteryx/

NTTデータとDataRobotについて
DataRobotは、包括的なAIライフサイクルプラットフォームです。

NTTデータはDataRobot社と戦略的資本業務提携を行い、経験豊富なデータサイエンティストがAI・データ活用を起点にお客様のビジネスにおける価値創出をご支援します。

https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/datarobot/

NTTデータとDatabricksについて
NTTデータでは、Databricks Inc.とソリューションパートナー契約を締結し、クラウド・データプラットフォーム「Databricks」の導入・構築、および活用支援を開始しています。

NTTデータではこれまでも、独自ノウハウに基づき、ビッグデータ・AIなど領域に係る市場競争力のあるさまざまなソリューションパートナーとともにエコシステムを形成し、お客さまのビジネス変革を導いてきました。
Databricksは、これら先端テクノロジーとのエコシステムの形成に強みがあり、NTTデータはこれらを組み合わせることでお客さまに最適なインテグレーションをご提供いたします。

https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/databricks/

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