はじめに
「あなたのサービスを、“世界中のハッカー”が守る時代 が来た。」
セキュリティ事故が毎日のように報じられる現代、攻撃者に先手を打つには——
攻撃者の思考を理解すること。
そして、攻撃者と手を組むこと。
そんな発想から生まれたのが「HackerOne(ハッカーワン)」だ。
HackerOneとは?
HackerOne は、企業とホワイトハッカー(倫理的ハッカー)をつなぐ
クラウドソーシング型セキュリティプラットフォーム。
企業は自社のアプリケーションやシステムを登録し、
世界中のホワイトハッカーが脆弱性を発見・報告する。
その成果に応じて報酬(バウンティ)を支払う、いわゆる バグバウンティモデル だ。
公式サイト https://www.hackerone.com/
提供されている主なサービス
| サービス | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| Bug Bounty Program | 脆弱性を発見したハッカーに報酬を支払う仕組み | Web, Mobile, Cloud |
| Vulnerability Disclosure Program (VDP) | 公開脆弱性報告制度の整備・運用支援 | 公共機関, SaaS企業 |
| Penetration Testing as a Service (PtaaS) | 定期的またはオンデマンドのペンテストを提供 | 企業・組織 |
| AI Red Teaming / AI Security | AIモデルの攻撃検証と安全性評価 | AI企業, 研究機関 |
特に最近は AIセキュリティ に注力しており、
ChatGPTや生成AI系のモデルに対するレッドチーミング案件も増えている。
世界規模のハッカーコミュニティ
HackerOneには、世界中で100万人を超える登録ハッカー が存在し、
企業・政府・大学などと協力して日々脆弱性を発見している。
有名な導入例:
- Google / Meta / PayPal / Shopify / Nintendo / 米国国防総省(DoD)
- 日本でも LINE / Mercari / DeNA / 楽天グループ などが参加。
このスケール感が、他のセキュリティプラットフォームにはない圧倒的な強みだ。
HackerOneの魅力
1. 専門家の知見を“クラウド化”
自社にセキュリティチームがなくても、世界中の専門家の力を借りられる。
脆弱性の発見スピードと多様性は、社内だけでは到底追いつかないレベル。
2. トリアージ&分析支援ツール
大量の報告を自動で整理・優先度付けできる。
HackerOneのAIアシスタント「Hai」は報告内容を分析し、
“再現性あり” “誤検知” などを迅速に判定する。
3. 信頼性向上
バグバウンティを実施している企業は、「セキュリティを重視している」という社会的信頼を得られる。
公開VDP(Vulnerability Disclosure Policy)は、ユーザーにも安心感を与える。
注意すべきポイント
報酬と予算のバランス
報酬は柔軟に設定できるが、重大な脆弱性が複数報告されると予算を超える場合も。
計画的な上限設定が重要。
ノイズ報告の処理
経験の浅いハッカーからの「低品質報告」が増えることもある。
HackerOneはトリアージ支援を提供しているが、一定の運用リソースは必要。
テスト範囲の設計
「どこまで攻撃していいか?」を明確にしておかないと、
実システムへの影響が出る可能性もある。
明確なスコープ定義とNDAの締結 が鍵。
使っている企業が語るメリット
- 「社内では発見できなかったゼロデイが見つかった」
- 「開発スピードとセキュリティが共存できるようになった」
- 「ホワイトハッカーとのコミュニケーションが新しい発想をくれた」
これらの声が示すのは、HackerOneが単なるツールではなく、
“セキュリティ文化の共創プラットフォーム” であるということ。
まとめ:ハッカーと共に未来を守る
HackerOneは「攻撃者=敵」という固定観念を覆し、
“共に安全を築くパートナー” という新しい関係を築いた。
攻撃者の手で、より強固な防御を。
その哲学こそ、HackerOneの真髄だ。