1. 概要（Overview）
Decompose Conditional とは、
複雑な条件式や分岐処理を 明示的なメソッドや変数に分解 して、コードを読みやすくするリファクタリングです。
目的：
- 長大で複雑な
if-else/whenを理解しやすくする- 条件や処理の意図を名前に表すことで、自己文書化コード にする
2. 適用シーン（When to Use）
- 条件式が長く、読みにくい
-
if/whenの分岐に 複雑な式 が直接書かれている - 分岐ごとの処理もごちゃ混ぜになっている
「条件式が何を意味しているか一目で分からない」ときが適用のサイン。
3. 手順（Mechanics / Steps）
- 条件式の各部分を メソッドまたは説明変数 に抽出
- 分岐ごとの処理も可能なら メソッド抽出 する
-
if-else/whenの中身を「名前」で説明できる状態にする
4. Kotlin 例（Before → After）
Before：条件式が複雑で読みにくい
fun payAmount(employee: Employee): Int {
if (employee.isSeparated || employee.isRetired) {
return 0
} else {
if (employee.isPartTime) {
return employee.rate * employee.hours
} else {
return employee.salary
}
}
}
- 条件が直接ベタ書きされていて意図が分かりにくい
After：条件式を分解
fun payAmount(employee: Employee): Int {
return when {
isNotEligibleForPay(employee) -> 0
isPartTime(employee) -> partTimePay(employee)
else -> fullTimePay(employee)
}
}
private fun isNotEligibleForPay(e: Employee) = e.isSeparated || e.isRetired
private fun isPartTime(e: Employee) = e.isPartTime
private fun partTimePay(e: Employee) = e.rate * e.hours
private fun fullTimePay(e: Employee) = e.salary
→ when の各分岐が「名前付き条件」と「名前付き処理」になり、読みやすさ大幅向上。
5. 効果（Benefits）
- 条件式の意図が「名前」で説明される → 理解が容易に
- 分岐ごとの処理を 独立してテスト可能
- 変更に強くなる（分岐の追加・変更が容易）
- コメント不要で「自己説明的コード」になる
6. 注意点（Pitfalls）
- 単純な条件まで過剰に分解すると逆に冗長化
- 名前の付け方が曖昧だと逆に読みにくくなる
- 戦略パターン（Strategy）やポリモーフィズムで置き換えた方がよいケースもある
まとめ
- Decompose Conditional は複雑な条件式を「名前付きの小さなメソッドや変数」に分解するリファクタリング
- 効果：読みやすさ・テスト容易性・保守性 の向上
- 基本思想：条件式は「意図を名前で説明」できる形に整理する