はじめに
これは、すぐにわすれてしまう RAID の構成の、解説と図解の記事。初心者向け。
RAIDの、構成は、以下を覚えておく。
- ストライピング
- ミラーリング
- パリティ
上記の組み合わせを覚える。この記事では以下を扱う。
RAID | 構成 |
---|---|
RAID 0 | ストライピング |
RAID 1 | ミラーリング |
RAID 5 | パリティ |
RAID 6 | ダブルパリティ |
RAID 10 | ストライピング + ミラーリング |
RAID 50 | ストライピング + パリティ |
RAID 60 | ストライピング + ダブルパリティ |
RAIDの、速度と対障害性は、以下を覚えておく。
-
速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1 -
対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0
以下に、それぞれのRAIDの解説を続ける。
時間ができたら各構成毎にLinux上でソフトウェアRAIDを構築する記事をリンクする。
耐障害性について、RAID 5でいいのでは?と思うことがある。が、経験上同時に購入したディスクはほぼ同時期に逝ったりする。で、1台逝ってパリティでセーフと思っていたら、不良セクタで回復できない、とかまであった。
RAID 0
ストライピング
- 必要なディスク数
最低2台 - メリット
高速な読み書き性能で、データが複数のディスクに分散されるため、同時にアクセスが可能 - デメリット
冗長性がなく、1台のディスクが故障すると全てのデータが失われる - 対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0(なし) - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1
RAID 1
ミラーリング
- 必要なディスク数
最低2台 - メリット
ミラーリングにより高いデータ冗長性 - デメリット
ストレージ容量の半分が冗長性のために使用される - 対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1(1台のディスクが故障してもデータは安全) > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1(読み込みは高速だが、書き込みは通常の速度)
RAID 5
パリティ
- 必要なディスク数
最低3台 - メリット
ストライピングとパリティ(誤り訂正情報)により、1台のディスクが故障してもデータは保護される - デメリット
書き込み時のパリティ計算によるオーバーヘッドがある - 対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5(1台のディスク故障まで許容) > RAID 1 > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5(読み込みは高速、書き込みはやや遅い) > RAID 6 > RAID 1
RAID 6
ダブルパリティ
- 必要なディスク数
最低4台 - メリット
パリティをダブルで使用し、2台のディスクが同時に故障してもデータは保護され、パリティには、「2D-XOR」と「P+Q」方式がある - デメリット
ダブルパリティ計算のためのオーバーヘッドがさらに増加 - 対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6(2台のディスク故障まで許容) > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6(読み込みは高速、書き込みはRAID 5より遅い) > RAID 1
Linux上で実際の構築を行った記事 → 【2024年01月版】Ubuntu で RAID 6 構築 - 障害復旧 メモ 【中年エンジニアのためのLinuxメモ】
RAID 10
ストライピング + ミラーリング
- 必要なディスク数
最低4台(偶数) - メリット
ストライピングとミラーリングを組み合わせた高速性と冗長性 - デメリット
高コストで、利用可能な総ストレージ容量はディスク総容量の半分 - 対障害性
RAID 60 > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10(1つのミラーセット内で1台のディスクが故障しても安全) > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1
RAID 50
ストライピング + パリティ
- 必要なディスク数
RAID 5のセット × 2以上(最低6台) - メリット
RAID 5の冗長性とRAID 0の高速性を組み合わせた構成 - デメリット
複雑な構成と高いコスト - 対障害性
RAID 60 > RAID 50(RAID 5よりやや高い) > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1
RAID 60
ストライピング + ダブルパリティ
- 必要なディスク数
RAID 6のセット × 2以上(最低8台) - メリット
RAID 6の冗長性とRAID 0の高速性を組み合わせた構成 - デメリット
高コストと複雑な構成 - 対障害性
RAID 60(RAID 6よりやや高い) > RAID 50 > RAID 6 > RAID 10 > RAID 5 > RAID 1 > RAID 0 - 速度
RAID 0 > RAID 10 ≈ RAID 50 ≈ RAID 60 > RAID 5 > RAID 6 > RAID 1
さいごに
要点だけだと、かんたんでしたね