開発プロセス
アンチパターン
ソフトウェア開発

優秀な技術者を追い出してしまった事例

伝え聞いたある企業での話である。

優れた製品を作り出す著名な研究者

その企業ではある技術分野でリーダーシップを持っていた。先駆的な研究を学会に発表していると同時に、製品化もしており
その技術を他社にライセンスをしていた。
国内企業でその技術分野ではTop3の一つといってよかっただろう。

著名な研究者の名前の論文が出なくなった

その会社の製品にはかねがね興味をもっていたので、ライブラリの性能を問い合わせることがあった。
しかし、そのライブラリの更新がある時期以降に改善がほとんど進んでいないことを知った。
しかも、ある時期から、論文の主力のメンバーの名前を、論文調査で見かけなくなってしまっていた。

今まで開発の主力を担ってきた人が、何らかの理由によりその会社のその分野から離れてしまったらしいことがわかった。
展示会でその会社のブースを見る限りだと、その企業はその技術は「もう技術的に進展が終わった分野」と思っているらしかった。
使い方の広がりの進展はあっても、技術の本質での進展はないと思っているように思えた。

ライブラリの性能比較

後日、その分野のライブラリを比較調査する機会があった。
そのライブラリの性能は、海外の新興企業に対して、格段に差を開けられていた。
実行速度を別とすると、その分野のオープンソースの実装に対しても劣っていた。

開発を行なった主力の技術者が離れてしまうと、そのアルゴリズムは更新されず、データのチューニングもされず、結果として更新されないままになってしまうことは、私の会社経験でも見てきたところだった。

偶然知った移籍先

いったいどうしたのだろうと思っていたが、そのうちの一人は大学に移っていた。
またそのうちの一人は、別の企業に異動されていたことをとあるタイミングで知った。
その企業が、ベンチマークで高い性能を上げている海外の新興企業だった。

その新興企業では、技術進展のうねりを自分たちのものにして、その前の世代の技術を遥かに上回る性能を達成していた。そしてそのようなことを可能にする開発者の採用を世界的な規模で実施していた。

対する日本の会社の経営陣は、「その技術は安定期に入って、研究開発に投資をしなくていいタイミング」と判断していて、現場の技術者が「大きな進展を遂げている激動の時代に突入したらしい」という感覚と大きな乖離をしているようだった。

企業の技術マネジメントをしている人にお願いする。

優秀な技術者を追い出さないでもらいたい。
技術は人が開発するものです。誰もが同じ水準で開発を成功に導けるものではありません。先駆的な開発を成功に導ける人を獲得するのはとても大変なことなのです。
今ある技術的なリーダーシップを保とうとするには、常に先に進み続ける必要があります。

追記:

優秀な技術者の価値

優秀な技術者は、既存技術の改良ができる。
優秀な技術者は、新しい技術の良し悪しを評価できる。
優秀な技術者は、その得意とする分野の知見を元に、別の分野に対して改良をすることができる。
優秀な技術者は、実現させたい機能に対して、少ないハードウェアリソースで実現する方法を複数の候補のアルゴリズムから選び出すことができます。
優秀な技術者は、新しい技術を必要とする人々に対して、求めるものを理解して説得力のある活動をすることができます。


参考事例

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1809/18/news011_4.html

国内でも、良い研究者がいっぱいいて、画像認識領域で世界に存在感を示していた企業はあります。ですが、ディープラーニングが出てきたタイミングで拒否反応が出て、苦戦しています。


優秀な技術者を追い出してしまう方法