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優秀な技術者を追い出してしまった事例3 - 技術を買えばいいは本当か -

Last updated at Posted at 2018-12-02

副題をつけました。

これも優秀な技術者を追い出してしまった事例だ。

ある書籍に書かれた事例(固有名詞・技術名は伏せ字にします。)

エンジニアが「大量脱走」

「先に説明した研究開発の本丸、〇〇研究所では、先進△△や□□を担当する部署の若手技術者が、コスト削減ばかりを追求する本社の経営方針に反旗を翻して、大量に退職する事態が発生した。この『大量脱走』が先端分野でのリソース不足につながり、先に述べた▽▽性能テストで最下位という結果と大きく関係していることは想像に難くない。」

「この事態に焦った□□は、社内公募で◯◯の技術者を公募するも、それども足らずに◯◯県や〇〇県内などで、〇〇関連のエンジニア中途採用セミナーを開催。その回数は16年中だけで10回以上になるという。」

『◯◯の技術は、他社から買えばいい、と本社から指示が出ました。技術への夢を語る管理職は周囲を見てもほとんどいませんし、みんなエクセルでコスト計算をしているような感じ。夢がないわけです。□□で仕事をするのが馬鹿らしくなって辞めました。』

「エンジニアの多くは、次世代技術や新(製品)の開発といった前向きで夢のある仕事ではなく、リコールの事後処理に忙殺された。」


固有名詞や技術名を伏せ字にした理由は、同じようなことが起きっていないか身近な問題として捉えてもらいたいからだ。

技術を買えばいいは本当か

日本の従来型企業の多くは、キーとなる技術を開発している人に対する本来的な市場価値よりも低い賃金で雇用しようとする傾向がある。その状況の中で、将来的な賃金上昇の可能性が見えず、雇用削減の可能性だけが見えてくる状況では、無理して今の企業に居続ける理由をなくしてしまっているのです。

買うのでさえ評価できる技術者が必要

「〇〇の技術を他社から買えばいい」とするためにするには、〇〇の技術を適切に評価できる技術者がいなければなりません。また、販売元の言いなりにならないためには、代替候補を持っておく必要があります。自分で開発できるだけの力量があったときにだけ、適正な価格で購入することができます。
 しかし、「〇〇の技術を他社から買えばいい」という多くの人々は、そのことに無自覚なので、その分野の技術者を追い出してしまって、使えない技術を高く買い込んでしまったりするのです。

開発を重ねてきた技術者は、他社の技術の良さと弱点とを評価できる。

その分野で開発を重ねて結果を出してきた技術者は、他社の技術の良さと弱点とを評価できます。どのような評価をその技術分野でしなければならないのか、評価方法を身に着けていますから、他社の技術であっても、自分が開発してきた技術と同様に評価できます。
 その評価にかかる時間が、圧倒的に短くなります。

 ときとして、開発を重ねてきた技術者は、その分野の事業化を推進する力になることもあります。

  • どのような応用分野があるのか、
  • 利用する側の技術者が何を気にするか、
  • どのようにしたら利用者の技術者たちを満足させることができるのか

技術者に事業のマネジメントができないなどという決め付けは、百害あって一利なしです。

複数の候補の技術から選択できる能力が必要

ある目的を達成するための技術は、複数の候補があるのは普通です。その中で適切な技術を選ぶのは簡単なことではないのです。仕様書と見積りがあれば足りるものではないのです。仕様書で言っているほどの性能が実は出ていないことが得てしてあるものです。

嘘でなくても適切ではない評価に騙されるな

 技術を売りこんで契約をとろうとする側は、捏造した評価結果を持ち込むことがありうるのだと自覚しなければなりません。
 嘘ではないけれども正しくはないことが山ほどあるのです。ユーザーが自覚していない「たちの悪い」条件は抜いたデータセットは除外したデータで評価した結果を使えば、とてもいいもののようにユーザーは勝手に思い込んでしまうのです。

欲にかられると適切な評価ができなくなる

技術を持つとする会社を買う際にも同じようなことが起こります。買うとうまくいくはずだという欲目で物事を見ていますから、実はそれほどの技術を持ち合わせていないかもしれないという可能性について軽視してしまうのです。しかも、その案件を提案している人は社内の実力者であるはずです。そうすると、それがうまくいかないかもしれないという指摘は、社内の中で無視される運命にあるのです。

そのような組織的な欠点が、大手電機メーカーの海外の発電事業の買収などに現れているのです。

他国の企業の技術・製品を購入する際には、政治リスクも考えにいれなければならなくなってしまっている。

2018年下半期の動向としては、こういった状況だ。

安易に考えないことが必要になってきている。


追記

手持ちの選択肢がなければ、相手と交渉する際の手持ちのコマがなくなる。
交渉する際の手持ちのコマを持ちあわせていないことが相手に伝わると、
相手に足元を見られることになってしまう。

だから、社内に力量を持ちわあせた技術者を抱えておく必要がある。

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