本稿は 2025 年アドベントカレンダー Day 18 の記事です。
「私、文系なんで……」
新卒研修で何度も聞いてきた言葉です。
プログラミング未経験で、数学も苦手で、周りの理系がサクサク進んでいるのを見て、「やっぱり無理なのかも」と思う。その気持ちはわかります。
でも、何年も新人を見てきた講師として言わせてください。
文系かどうかは、エンジニアとして伸びるかどうかにほとんど関係ない。
最初の2週間は、確かに差がある
正直に言います。
研修開始から2週間くらいは、理系の方が進みが早いです。「変数」「条件分岐」あたりは、理系がすんなり理解する一方、文系は「変数って何?」から始まる。
ここで焦る文系の新人を、何人も見てきました。
でも、3ヶ月後にはほぼ差がなくなる。
なぜか。
大学で学ぶプログラミングと、実務で使うプログラミングは違うからです。環境構築、フレームワーク、Git。理系でも初めて触る。みんなスタートラインに戻る。
実際、こんなケースがありました。
研修初期では「わかってる組」にいた新人が、フレームワークを使った応用に入った途端、あっという間に転落した。アルゴリズムは若干強かったけど、それ以外は初学者と同じレベルに。
「最初できた」は、最後までできるとは限らない。
研修最終日に起きたこと
ある年の新卒研修。最後のシステム開発演習でのことです。
文学部出身の新人がいました。プログラミングは完全未経験。最初の週は「変数がわからない」と言っていた。
正直、プログラミングへの苦手意識は、研修が終わる頃も完全には消えていなかったと思います。
でも、最終日の成果発表で、その人のチームが一番評価が高かった。
なぜか。
プログラミング以外の部分で、チームを救っていたから。
要件を整理する。ドキュメントをまとめる。メンバー間の認識をすり合わせる。発表資料を作る。
これ、全部「言語化能力」が必要な仕事です。文系が得意なやつ。
その新人は、自分がコードを書くのが遅い分、チームが開発に集中できる環境を作っていた。
研修後、こう言っていました。
「プログラミングは得意じゃないけど、自分がチームに貢献できることがわかった」
エンジニアの仕事は、コードを書くだけじゃない。
文系に伝えたいこと
私自身は理系です。中学でHTMLを触り、高校でCやBasicを学び、SQLも資格試験も経験してきました。プログラミングの課題で苦労した記憶がない。
だからこそ、文系の人に伝えたいことがあります。
「文系だから不利」は思い込みです。
プログラミング言語は、確かに英語っぽいし、数式っぽい。だから理系がわりと慣れているだけ。
でも、書き方に慣れてしまえば、あとはアルゴリズム。訓練の数がものを言う世界です。
そして、反復練習への耐性は、文系の方が強い人が多い。
語学の勉強、レポートの執筆、文献の読み込み。地道な作業を続けてきた経験は、プログラミング学習にも活きます。
「なぜそうなるか」を説明できるか
私が文系の新人によく言う言葉があります。
「重要なのは『なぜそうなるか?』を説明できる力だから、文系・理系は実は関係ない。まったく新しい概念だから、みんな同じスタートラインだよ」
理系だから有利、文系だから不利。そう思いたくなる気持ちはわかる。
でも、3ヶ月後には追いついている。1年後には、文系だったことなんて関係なくなっている。
君へ
「文系だから」「未経験だから」で諦める必要はない。
最初は苦労する。周りが先に進んでいるように見えて、焦る。
でも、それは最初だけ。
手を動かせ。わからないことを放置するな。質問を恥ずかしがるな。
エンジニアに必要なのは、学歴でも専攻でもない。
学び続ける姿勢だ。
その姿勢があれば、文系でも、未経験でも、大丈夫。
エンジニア、目指してみないか。