本稿は 2025 年アドベントカレンダー Day 24 の記事です。
この記事は以下のプロセスで書いています。
- テーマを決める
- 叩き台を書いてもらう
- 足りない部分を調整する(特にエピソード)
- 原文は書きすぎるので要約して整える
2025年の春、ふと「来年、仕事あるのかな」と思いました。
AIの進化が加速し、毎月のように新機能が出てくる。
自分がやっている「教える」「作る」「整える」みたいな仕事が、道具としてのAIに吸い込まれていく感覚がありました。
この記事は、その不安が現実味を帯びた瞬間と、そこから立て直すために実際に効いた考え方と行動をまとめたものです。
「終わったかも」と思った瞬間を、だいたい3種類ぐらいで考えてみる
不安はふわっと来ますが、振り返るとパターンがあります。
1) 質問が減った
研修中に「質問が減る」ことがあります。
最初は「理解が進んだのかな」と思う。
でも実際は、受講者がAIに聞いていることが増える。
これは合理的です。
早いし、何度聞いても気まずくない。
ただ、その場に立っている側としては、自分の役割が揺れます。
講師はAI時代でも必要だよね!という記事をここまで書いてきてなお、ふとした時にあれ?となります。
2) 作業が短時間で終わるようになった
資料作成や構成づくりなど、以前は時間をかけていた作業が短くなる。
短くなるのは良いことです。
一方で、短くなった瞬間に「この作業は自分の価値だったのか?」という問いも立ち上がります。
一応補足すると、資料を作る目的というのは受講生が理解できるように視覚的要素を取り入れるため、ですがあくまでも資料は資料でしかなく、みたものを定着させるのは視覚より聴覚による補足情報があってようやく完結するものです。
講師スキルに依存しますが、補足説明で資料の内容を分かりやすくも分かりにくくもできます。なので資料作成は本来の研修業務の支援でしかないということを忘れてはいけません
3) 周囲の不安が言語化される
自分だけが不安なら、気のせいとして処理できます。
でも同業者が「この先どうなるんだろうね」と口にすると、急に現実味が増します。
不安が共有されると、空気が変わります。
とはいえ、この辺りはアプリとインフラで違うかもしれないですし、また技術研修や非技術研修によっても違う部分はありそうです。
講師仲間よりエンジニアやデータサイエンティストなどの方が周囲に多いのでそもそもこういう会話になりにくいかもしれません。
立て直すために考えたこと
ここからは「精神論」ではなく、仕事の組み替えの話です。
1) 「AIに代替されない」を追いかけるのをやめた
最初は「AIにできないことを見つけよう」と考えました。
でも、この方針は長持ちしません。
理由はシンプルで、AIができることの境界が動き続けるからです。
境界を当てにいくと、当たり外れに振り回される。
代わりに、次の問いに切り替えました。
- AIが前提の世界で、自分の仕事の勝ち筋はどこか
- 自分の価値を「成果の出方」で言語化できるか
2) AIを「敵」ではなく「工程」にした
AIを道具として使う、という話はよくあります。
自分の場合はもう一段進めて、工程に組み込みました。
例:
- 下書き生成は前提にして、講義設計の時間を増やす
- 素材作りを短縮して、レビューと改善の回数を増やす
- 個別対応を減らすのではなく、個別対応の質を上げる
AIがあると「速く作れる」だけで終わりがちです。
速くなった分をどこに再投資するかが、差になります。
3) 受講者がAIを使う前提で、研修の設計を変えた
質問がAIへ流れるのを「禁止」しても勝てません。
なので、前提を変えます。
- まずAIに聞いて良い。ただし、引用元と根拠を添える
- AIの答えをそのまま貼らず、解釈と判断を言語化する
- クラスで共有するのは「答え」ではなく「調べ方」と「判断基準」
ここで講師側の役割が変わります。
- 正解を言う人、から
- 判断の仕方と境界線を教える人、へ
4) 学び続けるを、気合ではなく運用にした
学ぶべきことが増えるほど、気合は続きません。
なので、続く形に寄せました。
例:
- 毎日30分だけ新しいものに触れる(触るだけで良い日も作る)
- 週1回、学びを短くメモにして残す
- 月1回、外の場に出て情報のズレを修正する
ポイントは「量」より「復帰のしやすさ」です。
1日サボっても戻れる設計にしておく。
5) 人との関係を、甘い話ではなく生存戦略として扱った
AIが伸びるほど、説明文や下書きは作りやすくなります。
一方で、次の要素は依然として人間側に寄ります。
- 相手の前提を推測する
- その場の空気と緊張を読む
- 言いにくいことを、壊さずに伝える
- チーム内の役割や責任を線引きする
講師業は「内容」だけではなく、場の運用が半分です。
運営側と連携して、場が崩れないように先回りする。
この部分は、AIが賢くなっても簡単には短縮されません。
2026年に向けて、やることイメージ
| 観点 | やること | 具体アクション例 |
|---|---|---|
| AIとの付き合い方 | 工程化する | 生成で短縮した時間を、設計・レビュー・改善へ再投資する |
| 研修設計 | AI前提にする | 根拠提示、判断の言語化、調べ方の共有を評価に入れる |
| 学び | 運用にする | 毎日30分、週1メモ、月1外に出る |
| 関係性 | 場を守る | 運営と線引きを決める、一次受けルールを作る |
| 心理 | 境界を当てに行かない | 代替されない探しより、勝ち筋の更新を優先する |
2026年の研修想定
2025年に感じた不安は、AIが賢くなったからだけではなく、仕事の前提が変わったからでした。
- 答えを出す人、から、判断を支える人へ
- 作る人、から、改善サイクルを回す人へ
- 教える人、から、学びの運用を設計する人へ
立て直しは、勇気より設計で進みます。
まずは工程を1つだけ変える。
そこから、戻れる形で続ける。
この記事を書いておいてこんな話で締めるのもなんですが、来年度にとお声かけいただいている講師案件もAIを主軸に据えたものであったりAIを使わないで技術を教えて欲しい、という話もあったりします。
AIの成長・進化は人と比べて圧倒的に早いのですが、AIの進化に人が対応できるようにしておくのがエンジニア研修で重要なのかもしれません。