「あなた、もういらないんじゃない?」── AI時代の講師が自問した話
本稿は 2025 年アドベントカレンダー Day 23 の記事です。
この記事は以下のプロセスで書いています。
- テーマを決める
- 叩き台を書いてもらう
- 足りない部分(いっぱい)を調整する。特にエピソード
- 私の原文は書きすぎるので、うまいこと要約してもらう
自分の仕事、なくなるんじゃないか
AIを推進していながらこういう話をするのはムシがいいのではないか?という気持ちもありつつ、しかし嘘を言っても仕方ないのでこの機会に明言しておこうかと思いました。
今日は、AI時代の講師の存在意義について、正直に書いてみます。
現実:AIにできることは増えている
まず、事実を直視します。
私がやってきた仕事の一部は、すでにAIで代替可能です。
| 講師の仕事 | AIの実力(2025年時点) |
|---|---|
| 知識の説明 | 十分できる |
| エラーの解決 | かなりできる |
| 個別質問対応 | 24時間対応可 |
| 資料の作成 | 十分できる |
「変数とは何か」「HTTPの仕組みは」——こういう説明は、AIが私より上手かもしれません。体系的で、わかりやすく、何度聞いても嫌な顔しない。
が、同時にこうも思うわけです。
- AIを使って勉強できるスキルを受講生に求めるのか?
「それでも講師が必要だ」と思った瞬間
結構色々ありますが、インパクトが大きいものでいうと「できる人ほどハルシネーションの疑い方を知らない」という現実でした。
プログラマーなり開発経験者には伝わる話で、AIを使っていてもそうじゃないんだけどなー、と感じるシーンが多いんですよね。
これを新人目線ではAIを使いこなしているし自力でコードも書けるけど、AIの出力を疑っている印象はない。
で、AIの出力を前提に、AIの間違いややり方の失敗に気づかずにそのまま試行錯誤を続けて時間を溶かしているような、そんな印象がありました。
彼らは彼らなりに自力でやり遂げなければ!という意識を強く持っているのでなかなか相談してこないんですよね。
AIがなかった頃でもできる人が質問を持ってこないように、AIでうまく出力できない、という相談を彼らは講師に相談するタイミングがわからないので、できるまで挑戦を繰り返していました。
私もなるべくなら自力で解決できた方が良いだろうと思ってしばらく見守っていたのですが、ハマって抜け出せなくなっているのは分かりきっていたので「このやり方を続けてうまくいかなさそうであれば、別のAIを入れたら解決できるかもしれないね」という形でアドバイスを入れてみました。
AIを使って正解できれば問題ないが、AIのやり方で進めてもうまくいかない時はどうするのか?
これのリカバリーがあるという意味でも、AIを使えつつ、AIに依存しないために講師の存在自体が必要だと私は思います。
講師にしかできないこと(今のところ)
この経験から、私なりに整理してみました。
1. モチベーションの管理
「今日やる気出ないな」という受講生に、AIは何ができるでしょうか。
講師なら、声をかける。「昨日より進んでるね」「ここまでできたら休憩しよう」「一緒に考えよう」。
心のケアは、まだ人間の仕事です。
昨今では自分からAIに相談をする人も増えましたが、AIへの相談の仕方は千差万別です。
そこに良いも悪いもないので評価という観点で語るのは烏滸がましいのですが、ユーザー側でなんでもAI、なんでも人間という形で決めつけてしまいやすい傾向があるのは気になりました。
2. 「何を聞くべきか」を教える
AIは「聞かれたこと」には答えられます。でも、「何を聞くべきか」は教えてくれない。
初心者は、そもそも何がわからないかがわからない。エラーが出ても、何を調べればいいかがわからない。
その視点を与えるのは、人間の役割だと思います。
プロンプトエンジニアリング以前に要件固めは人間と壁打ちした方が良い事もあるし、AIと壁打ちして人間にない観点を引き出す事もできる。
やっていることは違うけど、人間の出力とAIの出力は異なるのです。
3. 責任を持つ
「この研修で、この人が育つ」——この責任を負うのは、AIではなく人間です。
AIはツール。ツールは責任を取れない。最終的に受講生の成長に責任を持つのは、講師であり、企業であり、人間です。
AIを使って自己学習に励むのは個人で、同様に講師を使って(教わって)学ぶのも個人ですが、特に後者は個人学習であったとしても成果には一定の対応や責任を持ちますし、だからこそコミットするわけです。
AIに依存すると全部自分でやらなければならないという意味では、使う側のスキルがある前提になります。
私の結論:必要だが、役割は変わる
「講師は必要か不要か」
この問いに対する私の答えは、「必要だが、役割は変わる」です。
これまでの講師は、知識を教える、質問に答える、進捗を管理する、といった役割を担っていました。
これからの講師は、学習の方向性を示す、モチベーションを管理する、AIの使い方を教える、受講生の成長に責任を持つ、といった役割にシフトしていくと思います。
「知識を教える」という部分は、AIに任せられるようになりますが、それでも完全ではない。人間も知識を教える部分は完全ではないので、相互に補い合う関係になると考えています。