本稿のセミナーイベント(当日のLT資料)
留意事項
- 本稿では、AIサービスをどれだけ使いこなしているか、ということを是とする意図はない事を明記する
- 本稿は個人の周囲の報告でしかないため、統計的なデータではないことを明記する
- 講義内容や手法の話はしない
- セミナーセッションではないので、図表は少なめ
非エンジニア研修の生成AIの取り扱い事例報告
自己紹介
(常連が多ければ詳細は省略)
- (※)今日は非エンジニア向け講座のメイン講師として「AIを使おうね!」と指導している立場からの意見
- 普段はエンジニア向け新入社員研修が主業務
- 本業はWebアプリベースのソフトウェアエンジニア(フリーランス)
AIに対する認識度合い
既にAI格差は大きく開いている
- AIを知らない層
- AIは知ってるが使ってない
- AIを使ったことはあるが、定着していない
(高い壁)
- 実務で使える範囲(会社のAIポリシーなど)で活用中
- AIのテックリーダーに追従しようとしている
↑
2.3の間に大きな差がある
AIに対する理解度分析
- 講義の場で受講生に「AIとは何か」と聞くと、ニュースになっている内容程度の例が出される
- 「AIを使って何がしたいですか?」と聞くと過半数が「よくわからない」と回答している
- 何かしらの回答をした方へ「AIを活用してみましょう」と案内すると、AI=ChaGPTのことだと思ってる人が多い
「AI」と「使えるAI」が潜在的に異なる可能性がある?
仮説
- AIとは、何かよくわからないが生活を楽にしてくれるもの
- 使えるAIとは、検索をサポートしてくれるもの
程度の差こそあれ、認識レベルはこの辺り?
AIに対する理解度分析(仮説)
正しくはこうではないか?
- AI(ChatGPT含む)を知らない層
- AI(ChatGPTを含む)は知ってるが使ってない
- AI(ChatGPTのみ)を使ったことはあるが、定着していない
- AI(ChatGPTもしくはGPTsのサービス)を普段から使っているが、他の生成系AIを使ったことがないか、知らない
- Text2xxx〜は使ったことがあるが、テキスト以外のxxx2xxxは使ったことがないか、数度きり
- 業務領域に合わせてxxx2xxxを使いこなしている
ただし、text2生成以外の分野はまだまだ実用に足るレベルではないということも考慮したい
一般認識におけるAIの課題
まずは「AIの使い方」を定義する必要がある
- その人にとって必要なものは何か
- 解決したい課題はなにか?
- AIを使って解決すべきものか
- AIを導入しない理由はなにか?
- 分析が足りない(サービス利用コストに見合うメリットを享受できるか)
- 経営者向けには「人を雇うより優秀で安価」とはいうが、個人向けには?
- 分析が足りない(サービス利用コストに見合うメリットを享受できるか)
一般認識におけるAIの課題
以下、個人の見解
- システムの要件定義と同じ
- AIを導入するプロジェクトにおいても「AI要件定義」を実施しているし、すべき
- ユーザー目線でAIの位置付けを考える
- システムは「業務上の都合で使わされるもの」である
- AIが技術進歩しても、ユーザー目線では「業務上の都合で使わされるもの」程度にしかうつらないのでは?
とはいえ「AIを活用しない活動は現代において縛りプレイのようなものだ」と感じてしまう。ちょっと使える程度(私)の意見である。
転職、リスキリング講座のITコース講義の例
調査概要
- 期間: 2024年と今月まで
- 会場: 3箇所・オンライン(ただしリアル開催日もあるため受講者は関東圏在住)
- 規模: 30名程度
- 講座概要: リスキリング・就職支援のためのIT系講義(エンジニア・デザイナー・マーケター)
- 参加者ペルソナ: 女性多め。30代〜50代がメインストリーム
- 調査方法: 初回講義のオリエンテーションで「AIを使う事を推奨している」ことと、「講義においてAIをどのように活用すればよいか」を案内している。その過程でAI利活用や習熟度をリアクションスタンプ数で取得
- ただし、取得目的は「AIの利活用の講義時間をどれぐらい取れば良いか」の指標にするものであり、本稿に利用を想定していない
きちんとしたデータとして活用するのは難しいものの、一定の参考値としては活用できる事を期待したい。
集計
大別すると以下のケースに分けることができる。多い順
- ケース1:半数 受講するまでAIを知らなかった方
- ケース2:半数 一度でもChatGPTを使ったことがある方
- ケース3:各会場1~2名 普段から使ってます
ケース1 受講するまでAIを知らなかった方
- AIについてはニュースで聞いたことがある
- プログラミングは難しいと思っており、マーケターをやりたい
- エンジニア(データサイエンティストを含む)志望ではない
前職の有無は不問として、情報系については初めて触れる方もいればそうでない方も含めてAIの利活用経験なし
興味はあるが使おうと思わなかった(使える事を知らなかった)層がここ
ケース2 ChatGPTをちょっと使ったことがある方
IT系の業務経験がある方。IT業界ではない方も含む。
- ユースケースとして多かったのが料理レシピ系
- ChatGPT自体がどうやって使えばいいか分からず、結局検索がメインになったとのこと
AIと検索の違いがわからないという課題がありそう
ヒアリングすると、ニュースで聞くAIとChatGPTは別だと認識はしているがAIを使うと考えた場合は検索をしたい(AI=ChatGPT)となっている印象
AIを使って何ができるか、AIがそもそも何ができるかか、を知らなさそう
ケース3 普段から使ってます
ITの開発より(非エンジニア)ポジション
- 調べ物はAI(テキスト生成サービス)を使う
- テキスト生成系以外はあまり使っていない
ヒアリングすると「調べること自体に難度が高いもの(プログラムだとエラーの対処法)の初動で使うと時短できる」という目的がある
〜〜〜
テーマとは外れるが、開発系エンジニアのメインストリームがこのレベル。
ノーコード・ローコードツールの開発をAIがサポートできるならtext2imageまたはmovieの需要がより高まりそう
おまけ:非開発系の講師(本業は大学系プロダクトのベンダー側PO)
私が知る範囲では「AI講師に講義させれば講師いらなくね?」を実現したらこうなる(実解由するためにこうやる)を体現化されている印象
いくつもの生成系を使いこなしている
資料はMarpやMermaidなど、テキスト生成系の品質の高さを使いつつ、スライド化に専門サービスを活用
「生成AIの利点は高速に試行錯誤できること」と強調されており、教材作成もいくつかのパターンを生成
AI自身にディスカッションを、なかなか見えにくい定性による講義品質の評価も実施されている
(時間があれば)ディスカッション
テーマ(私の関心どころ)
- 一般ユーザーからAI職へのスキルロードマップが必要
- AIネイティブ世代を考える
- AIネイティブ時代と、その親への研修
一般ユーザーからAI職へのスキルロードマップが必要
デジタルスキル標準とは別に、一般ユーザーからAIスキルを活用した職種ごとにロードマップを考えていくべきか?
- AIユーザーサポート
- 企業独自のチャットボットサービス自体
- プロダクトのカスタマーサポート
- プロンプトエンジニアリングの専門家
- AIモデル設計者(いわゆるSE)
- AIエンジニア(いわゆるプログラマ)
- AIモデル評価者(いわゆるQA・セキュリティスペシャリスト・データサイエンティスト相当)
- AI(ユーザー)インストラクター
就職支援を考えると、ITスキルとは別にAIスキルを定義して指導すべき?
AIネイティブ世代を考える
ChatGPTかGPTsを入れてAI教育!と主張されて終わりそうな気がしている
- AIの技術進歩や研鑽により解決できる課題もある
- インターフェースの問題?
- スマホマイクやスマートスピーカーなどもあるが、普及しているとは言い難い
- キッズロボット・コンピューターとAI
- 知育玩具としてロボットやコンピュータを模したものはあまり実用的ではない
- オンプレのため教育指導要綱の変化に対応できない
- 育児から見たAIの需要は高いはず
- 「困ったら保育士または小児科に相談する」レベルではAIは考えられない(責任の所在)
- こどもAI
- 現状、AIの回答がこどもには難しすぎる。プロンプトやファインチューニングで対応しているが、それ自体がハードルを上げている
AIネイティブ世代と、その親への研修
コロナ禍でオンライン対応やリモートワークへの対応を進めたが、最新技術に対応できない社員が発生した問題を考える
Z世代の例を見てみると
- 現実問題として、結局リモートはダメだよね(リモートがダメなのではなく、従来型業務の見直しが必要だがこれを無視して)、という流れになってしまっている
- 新しい世代はむしろリモートに慣れている(慣れさせられてしまった)
- 業務や人間関係のギャップが退職を促進し、また退職自体を容認・支援する仕組みが受け入れられてしまっている
同様の課題が生じた時、やはり新しい世代に対してスムーズに業務に入ってもらうために、研修の価値は「スキルインプット」以上に「離職防止策として会社への定着」が求められるのではないか?
特に新卒の場合、会社に定着するために親の協力が必要になる