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プログラム言語 MQL5の基本

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以下は、MQL5の基本的な構文、変数、関数、そして取引機能についての簡単な解説と、コード例を含む本文例です。

MQL5の基礎

MQL5は、MetaTrader 5というプラットフォーム上で動作するプログラミング言語です。MQL5は、金融取引用のプログラムを開発するために使用され、高度なグラフィックス、取引機能、およびデータベース操作機能を備えています。

MQL5の構文と構造

MQL5の基本的な構文はC言語に似ています。プログラムは、様々なブロックで構成されており、各ブロックは波括弧{}で区切られています。以下は、簡単なMQL5プログラムの例です。

// プログラムの開始
void OnStart()
{
   // メッセージを表示する
   Print("こんにちは、世界!");
}
// プログラムの終了

この例では、OnStart()関数がプログラムのエントリーポイントであり、プログラムの開始時に呼び出されます。Print()関数は、引数で指定したテキストをコンソールに表示する関数です。

変数とデータ型

MQL5では、様々なデータ型の変数を宣言することができます。以下は、いくつかの基本的なデータ型の例です。

int    count;         // 整数型変数
double price;         // 浮動小数点型変数
string symbol;        // 文字列型変数
datetime datetime;    // 日付型変数
bool   flag = true;   // ブール型変数

変数には初期値を設定することができます。上記の例では、flag変数に初期値trueが割り当てられています。

演算子と制御フロー

MQL5では、算術演算子、比較演算子、論理演算子などの様々な演算子が使用されます。以下は、演算子の例です。

int a = 5, b = 10;
double c = 3.14, d = 2.71;

// 算術演算子
int sum = a + b;
double product = c * d;

// 比較演算子
if (a > b) {
   Print("aはbよりも大きい");
}
else {
   Print("aはbよりも小さいか等しい");
}

// 論理演算子
if ((a > b) && (c > d)) {
   Print("aはbよりも大きく、cはdよりも大きい");
}

// 代入演算子
sum += 1;
product *= 2;

// 三項演算子
int max = (a > b) ? a : b;

MQL5では、if文やfor文、while文などの制御フローがサポートされています。以下は、制御フローの例です。

int i;
for (i = 0; i < 10; i++) {
   if (i == 5) {
      continue;  // iが5の場合、次の繰り返しを開始する
   }
   Print("i = ", i);
   if (i == 7) {
      break;     // iが7の場合、ループを終了する
   }
}

int j = 0;
while (j < 5) {
   j++;
}
do {
   j--;
} while (j > 0);

上記の例では、for文でiが0から9までループします。if文でiが5の場合、continueキーワードが呼び出され、ループの次の繰り返しを開始します。iが7の場合、breakキーワードが呼び出され、ループを終了します。また、while文とdo-while文では、条件が満たされる限り繰り返し処理を行います。

関数の定義と呼び出し

MQL5では、関数を定義して呼び出すことができます。以下は、関数の例です。

// 整数型引数を受け取る関数
int square(int x)
{
   return x * x;
}

// 浮動小数点型引数を受け取る関数
double cube(double x)
{
   return x * x * x;
}

// 引数を受け取らない関数
void printHello()
{
   Print("こんにちは、世界!");
}

// 関数の呼び出し
int result = square(5);
double value = cube(2.5);
printHello();

上記の例では、square()関数とcube()関数が定義されています。square()関数は、整数型の引数を受け取り、引数の2乗を返します。cube()関数は、浮動小数点型の引数を受け取り、引数の3乗を返します。また、printHello()関数は、引数を受け取らず、Print()関数を呼び出して"こんにちは、世界!"というメッセージを表示します。

取引システムの基礎

MQL5には、金融取引のための多くの関数が含まれています。以下は、いくつかの基本的な取引関数の例です。

// 買い注文を発行する関数
bool buy(double volume)
{
   return OrderSend(Symbol(), OP_BUY, volume, Ask, 3, Ask - StopLoss * Point, Ask + TakeProfit * Point);
}

// 売り注文を発行する関数
bool sell(double volume)
{
   return OrderSend(Symbol(), OP_SELL, volume, Bid, 3, Bid + StopLoss * Point, Bid - TakeProfit * Point);
}

// 注文をキャンセルする関数
bool cancelOrder(int ticket)
{
   return OrderDelete(ticket);
}

// 現在のポジションサイズを返す関数
double getLots()
{
   double lots = 0;
   for (int i = 0; i < OrdersTotal(); i++) {
      if (OrderSelect(i, SELECT_BY_POS, MODE_TRADES)) {
         if (OrderType() == OP_BUY) {
            lots += OrderLots();
         }
         else if (OrderType() == OP_SELL) {
            lots -= OrderLots();
         }
      }
   }
   return lots;
}

// 注文の種類
enum ORDER_TYPE {
   BUY,
   SELL
};

// 注文を発行する関数(注文の種類によってbuy()関数またはsell()関数を呼び出す)
bool order(ORDER_TYPE type, double volume)
{
   if (type == BUY) {
      return buy(volume);
   }
   else if (type == SELL) {
      return sell(volume);
   }
   return false;
}

上記の例では、買い注文を発行するbuy()関数と、売り注文を発行するsell()関数が定義されています。OrderSend()関数は、注文を発行するために使用され、第1引数にはシンボル、第2引数には注文の種類、第3引数には注文サイズ、第4引数には注文価格、第5引数にはオーダータイプ、第6引数にはストップロス価格、第7引数にはテイクプロフィット価格を指定します。また、cancelOrder()関数は、注文をキャンセルするために使用され、OrderDelete()関数を呼び出します。

また、getLots()関数は、現在のポジションサイズを計算して返します。OrdersTotal()関数は、現在のオープン注文数を返します。OrderSelect()関数は、注文を選択するために使用され、SELECT_BY_POSモードは注文のインデックスを指定することを示します。OrderType()関数は、注文のタイプを返します。OrderLots()関数は、注文のサイズを返します。Point変数は、現在の通貨ペアの価格単位を表します。

order()関数は、注文の種類によってbuy()関数またはsell()関数を呼び出します

コード例:移動平均クロスオーバー取引戦略

以下は、移動平均クロスオーバー取引戦略の例です。この戦略では、2つの移動平均線を使用して、短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を上回った場合に買い注文を発行し、逆に短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を下回った場合に売り注文を発行します。

// 変数の宣言
int ma_fast = 5;
int ma_slow = 20;
double lot_size = 0.1;

// ローソク足の終値を取得する関数
double getClose(int shift)
{
   return iClose(Symbol(), PERIOD_CURRENT, shift);
}

// 短期間の移動平均線を計算する関数
double maShort()
{
   return iMA(Symbol(), PERIOD_CURRENT, ma_fast, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 0);
}

// 長期間の移動平均線を計算する関数
double maLong()
{
   return iMA(Symbol(), PERIOD_CURRENT, ma_slow, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, 0);
}

// 買い注文を発行する関数
bool buy(double volume)
{
   return OrderSend(Symbol(), OP_BUY, volume, Ask, 3, Bid - 30 * Point, Bid + 30 * Point, "");
}

// 売り注文を発行する関数
bool sell(double volume)
{
   return OrderSend(Symbol(), OP_SELL, volume, Bid, 3, Ask - 30 * Point, Ask + 30 * Point, "");
}

// エキスパートアドバイザーのエントリーポイント
void OnTick()
{
   // 現在のポジションを取得する
   int position = PositionsTotal();

   // 短期間の移動平均線と長期間の移動平均線とのクロスオーバーを確認する
   double ma_short = maShort();
   double ma_long = maLong();

   // 短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を上回った場合に買い注文を発行する
   if (ma_short > ma_long && position == 0) {
      buy(lot_size);
   }
   // 短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を下回った場合に売り注文を発行する
   else if (ma_short < ma_long && position == 0) {
      sell(lot_size);
   }
}

上記の例では、ma_fastma_slowという2つの移動平均線の期間、lot_sizeという注文量が変数として定義されています。getClose()関数は、指定したバーの終値を取得する関数です。maShort()関数とmaLong()関数は、短期間の移動平均線と長期間の移動平均線を計算する関数です。

buy()関数とsell()関数は、買い注文と売り注文を発行するための関数です。注文が発行された場合は、trueを返します。OnTick()関数は、エキスパートアドバイザーのエントリーポイントであり、maShort()関数とmaLong()関数を使用して移動平均線とのクロスオーバーを確認し、必要に応じてbuy()関数またはsell()関数を呼び出します。

以上が、MQL5の基本的な構文、変数、関数、および取引機能についての簡単な解説と、移動平均クロスオーバー取引戦略の例でした。MQL5の機能は非常に多岐にわたるため、より詳細な解説や応用例を知りたい場合は、公式ドキュメントやオンラインコミュニティを参照することをお勧めします。また、MQL5には多くの統合開発環境(IDE)があります。これらのIDEは、プログラムの開発、テスト、および最適化を行うための豊富な機能を提供しています。以下は、MQL5の主要なIDEのいくつかの例です。

  • MetaEditor:MQL5の標準IDE。構文のハイライト、コード補完、およびデバッグ機能を備えています。
  • Visual Studio Code:Microsoftが提供するオープンソースのコードエディタ。MQL5拡張機能を使用してMQL5プログラミングをサポートしています。
  • MetaTrader 5 Strategy Tester:MQL5プログラムをテストするためのシミュレーション環境。テストの結果を分析し、最適な取引戦略を見つけることができます。

まとめ

MQL5は、金融取引用のプログラムを開発するための高機能なプログラミング言語です。MQL5は、C言語に似た構文を持ち、様々な変数、関数、および取引機能がサポートされています。MQL5には、多くのIDEがあり、プログラムの開発、テスト、および最適化を行うための豊富な機能を提供しています。

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