この記事は Qiita Tech Festa 2026 の投稿記事かつ いち受託開発現場での生成AI活用の現在地: 2025年版 の続編になります。
はじめに:あれから半年、生成AI活用はどうなったのか?
一番大きな変化としては(開発部署にではなく) 全社に某生成AI SaaS の Enterprise エディションが導入されました。
そして、短期間でアカウントごとの週次ハードキャップが設定されました。
Token maxxing な発想で利用量の上位者を顕彰する習慣があったわけではないのですが以下の理由で想定以上の勢いで予算を消費してしまったようでした。例えば以下のようなことがあったようです。
- 用途に対して過剰なモデルの利用・長時間の自律稼働
- 料金モデル的にコスト増となるサービス公式の外部連携機能の多用
- 特に無意識に使われていたのが、MCP 経由の社内ドキュメントの自律的な検索・参照
先日米国テック企業でも利用金額の最適化の報道1がされましたが、 規模の差こそあれ、一定のガバナンス機構がセットでの提供を前提としないと予算管理でトラブルがありそう という学びが得られました。
プロジェクトでの利用:既存への導入へ課題
総評は 「AI 駆動開発をする」という目的で PoC をかねたフラグシッププロジェクトの成果は一定あった という話は出てきたのですが、 既存プロジェクトの話は局所作業の利便性向上はあれど、プロジェクト単位での活用成果はあまり聞こえてきていない 状態です。
理由は何かと考えてみたのですが、主な理由は以下かなと思っています。
- 既存業務変更のハードル
- コスト問題
- レガシープロジェクトの足回り未整備
既存業務変更のハードル
受託開発というビジネスモデルの性質上、案件ごとの制約や、既存の業務プロセスがすでに確立されていたりするため、急なワークフローの変更や追加に対しては慎重にならざるを得ません。
また、LLM に提供したデータを学習しないプランであるとはいえ、お客様へ利用にさいしての事前合意も取る判断になりました(各社でスタンス様々であるため。)。
そのあたりの (特に運用費が多く出ているわけでもない) 既存に対して業務変更をしてまで利用をするか? というのはプロジェクトのフェーズや性質に寄って判断が別れたところだと思います。
コスト問題
今のところのプロジェクトの用途だと人件費に比べるとコストとしては大した量ではないのですが、コストの按分や計上先どうするのか問題があります。
これはそれなりの利用額になることが想定される場合は今後はどこかに反映されて請求に入っていくの、かなぁ、という感じですが、今のところ自社負担になっていています。
レガシープロジェクトの足回り未整備
例えばすてぃおさんの『開発チームのAI活用基盤力診断』
の C~D に該当するようなレガシープロジェクトもあり、 AI の導入・活用をより有用なものにするためにも足回りの強化がより必要だなと感じることが多かったです。
例えば、プロンプト一つにしても、レガシープロジェクトは「レガシー」と名前がついている通り、「モダン」ではありません。当然 LLM の知識ベースである近年のベストプラクティスとは異なる常識で動いている内容も多いです。これらを丁寧に言語化していけば活用もできるのだと思いますが、 想像以上にこの「負のコンテキスト」の構築は精神に応えました 。一行書くたびに「次はこの思いをしないで済むように頑張りたい」と思いました。
また、これはどの組織でも一定の傾向としてあると思うのですが 「マイナスをゼロにするための作業」に対してのコスト投下は慎重になります。
コスト見合いで対応しないということとなると、どうしても利用が局所的なものに留まり、外部の成功事例と比べてそれほど効果が出てないという評価になりがちだと思います。
その他業務への影響
これは個別の記事にしたのでそちらをご参照ください。
個人の利用
昨年末に Google AI Pro プランが大幅ディスカウントをしていたので年間で入ったプランを使っています。
- Gemini のコーディングベンチが大体 Claude Code や Codex から大きく離されて辛い2
- Gemini CLI -> Antigravity CLI リブランドで諸々変わった
- コードがプロプラエタリになったのがよく働くのかどうか。機能追加が完全に提供会社のリソース次第なので、注力度合いで機能差が出そう
- 他もバイナリ配布になりつつあるのでどうなるのでしょうか
- NotebookLM、Gem などは思ったほど使えている感じがしてないです
- 天気聞いたり、服決めたりとかそういう雑多な用途でしか使えてないのでうまく使えている感じがあまりしてないです
おわりに
前回の半年前に思っていたところとあまり変わらずという感じでした。
このあたり、事業体によってはドラスティックな変化が起きているところもありそうで、働き方が徐々に違う形になっていくのかなと思いました。
とはいえ、やれることをやっていくしかないので地道にやっていこうと思います。